私が生徒用に編集したヴァージョンでどうぞ。
旅の話
ドレスデンのプラットホームで電車を待っていたら、ひとりのおじさんに話しかけられました。最初(さいしょ)はうざかったので、無視(むし)していましたが、おじさんは話しかけてきます。「マダム・ウクライナは悪い女。だけどあの女は、もうビザがないのでウクライナへ帰らなければならない」とオジサンは言いました。そのオジサンはウクライナの女の人にだまされたらしいのです。
オジサンの話
3年前に、私はホテルで仕事をしていた。
そこに、ひとりの女の人が来た。彼女はウクライナ出身(しゅっしん)だった。彼女は仕事をさがしていた。それが、マダム・ウクライナだった。
それから、マダム・ウクライナは、色目をつかってせまってくるようになった。最初、私はマダム・ウクライナをうたがっていた。けれど、マダムウクライナはとっても優しくていい人だった。
ある日、マダム・ウクライナは私の部屋の前に来て、そこから愛を交わし、すべては始まった。
マダム・ウクライナは2人の子供がいて、前の夫は同じくウクライナ人で飲んだくれのアル中だ。
私のお母さんや家族は、「あの人はよくない」と言ったが、私はそれを信じなかった。
だけど今はわかる。お母さんたちがただしかった。
オジサンは「ぜんぜん綺麗じゃないでしょう」と言って写真を見せてきました。「スタイルも太って全然よくない」と言いました。
マダム・ウクライナは、だんだん本性(ほんしょう)を見せてきて、車が欲しい、お金が欲しいと言うようになった。最後(さいご)は結婚をしたい、と言った。全部、ビザのためだった。
私は拒否(きょひ)したので、マダム・ウクライナはウクライナへもどらなければならない、知ったことか!とオジサンは言った。
だけど、オジサンは、ときどき悲しそうに、窓の外を見ていました。
ついつい、オジサンとコンパートメントを共(とも)にしてしまった私だけれども、最後に、オジサンは私の荷物(にもつ)を地下鉄(ちかてつ)まで持って行ってくれていい人でした。オジサンにも幸あれ。