駐在所の前庭には証拠保全のためか、事故にあった自動車が保管されていた。島では人身事故は少ないようだが、自損事故は多いようだ。その原因は農地の土壌にある。農地から流れ出た土により自動車のタイヤがスリップし、事故を起こすらしい。
南大東島の農地は石灰岩に腐食土が混じったもので、粒子が非常に細かい。石灰岩はセメントの材料になるものであり、島の土がセメントの粉と同じ大きさの粒子と考えればいかに細いかが判るはず。内地の粘土よりも細かいのではないかと思われる。また、石灰岩による土は結合力が弱く、水と混合しても粘土のように固まらない。あたかも重油のようにドロッとした半流動性の状態を維持している。二段目の写真は県道に接近した農地を写したものである。雨が降ると、農地の土に雨水が混じって水泥状となって県道に流れ出る。固いアスファルトの上を水と混じった石灰質の土が覆うと、アスファルトには滑りやすい皮膜が形成されたことになる。ここを自動車が走行すると、あたかもグリースの上を走行するようにハンドル操作ができず、車体が流されて衝突することになる。島では、このスリップ事故が一番多いようだ。
私もバイクを運転中、水泥状となったアスファルトの上を走行しているときスリップし、危うく転倒しそうになったことがあった。島の観光協会が発行しているパンフレットには、「バイクは滑らないようにご注意!」と印刷されていた。これは、観光客がバイクで転倒する事故がいかに多いのか、という証左であろう。
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