今回の豊年祭には、NHK沖縄放送局の取材班が来島していた。島のあちこちで住民を撮影する姿が見かけられた。聞いてみたら、毎週日曜日の午前8時に放映される「小さな旅」のための取材であった。撮影クルーは、ディレクター、カメラ、音響、照明の4名であり、豊年祭の前後2週間滞在して取材するのだそうである。民放であれば予算の関係でディレクターとカメラの2人で、2泊3日くらいの短時間で取材を終えるようだ。大人数で長期に取材するとは、資金力のあるNHKでしかできないこと。どのような内容に編集するかは教えてくれなかった、取材する前には大体の台本が出来ていて、その線に沿って撮影するはずなのだが、筋書きは絶対に教えない。取材の前に筋書きを教えてしまうと、被取材者の対応が変わってくるからだ。
さて、「小さな旅」とは、日曜日の朝に「オニャーラオニャオニャ」と何とも間延びした音楽で始まる紀行番組である。1983年より始まったが、最初は首都6県が取材の対象であった。その後、取材エリアがどんどん広がり、現在は全国の地方(要するに、田舎町のことである)が取材の対象地域となっている。日頃は事件や目立った出来事も無く、テレビ番組では絶対に取り上げられないド田舎に出掛け、そこに住んでいる人達の生活や風習を紹介する番組と考えればよい。このため、取材する場所は農村漁村が大半で、聞いたことの無い町名、村名が出てくることもある。つまり、大きな事件が無かったので、今までどのマスコミも取り上げなかったような地方に光を当て、全国の聴取者に紹介する番組と言える。
なぜ、このように地方を取材するのかと言えば、NHKの放送受信料にからんでくると思われる。現在、NHKは全視聴者から放送受信料を徴収することが困難となっている。大都会では、放送受信料を支払っているのは全世帯の半分以下ではないか、と囁かれている。しかし、人口の少ない地方では、ほぼ全ての世帯が放送受信料を支払っている。つまり、NHKの経営は、地方に住む人達の負担で成り立っているようなものである。こうしたことから、「小さな旅」は日頃からNHKに経済的な支援をして頂いている地方の住民へのサービスである、と考えて良いのではなかろうか。
こうして豊年祭はNHKのクルーにより取材され、その映像は2023年10月22日の朝、「島づくりの心 つないで~沖縄県 南大東島」とタイトルして放映された。番組は、奉納相撲における親子相撲と島歌を伝承する民謡教室を軸として、島の人達が伝統をどのように承継していくかという内容であった。再放送される可能性は薄いが、現在、NHKオンデマンドで視聴することができる。視聴できる期限は2025年10月1日までとなっているため、ご覧になりたい方は今のうちでしょう。
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