釧路市議会一般質問の一問一答は、1回目の質問の際に、今回聞きたいテーマ全てについて一通り質問します。その上で、一問一答の質疑に入ります。1回目の質問の際に言及していないテーマを、いきなり再質問時にすることはできないというルールで行っています。
2023年12月議会では、下記のテーマで質問しました。議事録が公開されましたので、1回目の質問をご紹介します。
1 支所・分室の廃止
2 コロナ禍での学生支援策
3 福祉灯油
4 インボイスに伴う免税事業者への対応
おはようございます。 早速ですが、通告に基づいて質問いたします。 釧路市が、春採、桜ケ岡、大楽毛支所、それに鳥取支所分室を廃止する計画を表明して1年がたちました。 この間、住民説明会やパブリックコメントの募集などが行われ、市民の民意が明らかになったのではないでしょうか。反対、懸念は9割を超し、賛成は6件だけです。市民は、支所廃止に反対の意思表示をしたはずです。 当初は、廃止ありきで住民説明会を行っているのではないと市民環境部長は表明されていましたが、圧倒的に反対が多数になったのであれば、市民の意見に耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。 これで支所を廃止するとなれば、市は聞く耳を持たないと思われ、行政への不信感を募らせることになってしまいます。 このような支所廃止案が出される背景は、行政サービスを費用対効果だけで計ろうとするからではないでしょうか。費用対効果を考えて、無駄な事業はなくすということは当然のことです。しかし、住民が望んでいる施設にもかかわらず、経費がかかるからとばっさりと削るというのは民主的な行政のやり方ではないと思います。 支所の維持費は無駄な経費ではありません。必要な方に行政サービスを行うために、どうしてもかかってしまう経費ではないでしょうか。住民説明会やパブリックコメントを実施して市民の意向が分かった以上、支所廃止は撤回すべきと考えますが、市の考えをお聞きします。 次に、コロナ禍での学生支援策に関する質問に移ります。 新型コロナウイルス感染症は、第8波に入り、深刻な状態になっています。コロナの影響で、アルバイトが減ったとか、親の所得が減って経済的に困窮している学生が多くいます。さらに、この間の物価高が追い打ちをかけています。 学生への支援策は、国も釧路市もある程度は行っていますが、まだ不十分だと思います。 保護者の援助が受けられず困窮している学生には、生活保護を支給するのが本来の在り方です。しかし、今年6月7日の参議院厚生労働委員会で、生活保護法は国が生活に困窮する全ての国民に対し必要な保護を行うとしているのに、なぜ大学生は対象にならないのかという質問が出されました。 これに対し厚労省社会・援護局長は、一般世帯で高校卒業後就職する方や奨学金やアルバイトで大学等に通う方とのバランスもあるという答弁に終始していました。まるで、大学に通うことはぜいたくだから、生活保護を受けるほど困窮するなら大学を辞めて働きなさいと言っているかのように感じられましたが、これが我が国の現実です。 そもそも、我が国の学生は高い学費に苦しめられています。大学の授業料は無償化にすべきですが、国には、受益者負担の原則に縛られてその気がありません。しかも、入学金という先進国にはない日本独特の制度があり、私立大学で平均約25万円、国立大学では約28万円と高額です。これさえも、なくなる兆しがありません。 このように、国の支援策が冷たい中、全国各地で民間のボランティア団体などがフードバンク、食料支援活動を行っていますが、用意していた食料品が1時間もしないでなくなるなど、食べることにも困っている学生が多くいることが明らかになっています。これは釧路公立大学でも例外ではありません。 ボランティア団体も頑張って募金活動をしていますが、一度、二度くらいなら何とかなっても、継続的に支援活動を行うとなると資金集めが本当に大変だと訴えています。 ちなみに、100人用の食料支援をするのに16万円、それを年3回やると50万円かかるそうです。だからといって、やめてしまってよいのでしょうか。 行政が直接食料支援活動を行うことは無理でも、そのような活動をしている団体を経済的に支援することは可能ではないでしょうか。 一つの方法としては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用して、ボランティア団体を支援することは可能ではないでしょうか。 例えば今回の補正予算の中に、コロナ交付金を使って公衆浴場に30万円支援するという補助金があります。食料支援を行っているボランティア団体に対しても、同様な支援事業を創設することは可能と考えます。 国の制度設計を待っていては、学生支援策はいつになるのか分からない状況です。食料支援活動を行っているボランティア団体を援助することならば、自治体としてもできるはずです。 この点、釧路市はどのように考えるのか、答弁を求めます。 次に、3つ目として、福祉灯油に関わる質問に移ります。 異常円安と世界的な農産物、エネルギー価格の高騰は、食料自給率38%、エネルギー自給率10%という食料とエネルギーを外国に大きく依存し続けている経済の危うさを浮き彫りにしています。 そのような中、灯油、ガスなどの高騰が著しく、一般家庭を苦しめています。今年の灯油価格はリッター120円と昨年を大きく上回っています。そのため、年金生活者や独り親世帯など社会的弱者の方々は、かつてないほど厳しい冬の生活を余儀なくされています。 北海道民主医療機関連合会の調査によりますと、コロナ禍で家にいる時間が長く暖房費がかさむとか、暖房をつけず電気毛布で寒さをしのいでいるとか、訪問看護や訪問介護の日だけストーブをつけて、そのほかの日は我慢しているなどの声が寄せられているそうです。 WHO、世界保健機関は、寒さによる健康影響から居住者を守るために必要な室内温度として、18度以上を強く勧告しています。特に、高齢者や慢性疾患患者の住宅は18度以上の温度が必要となるとしています。ですから、高齢者にとって、寒い暮らしをすることは命の危険があるのです。 昨年度、本市では、原油価格高騰対策助成金が支給され、暖房費の一部が助成されて、多くの高齢者から喜びの声が上がりました。市民から大変好評を得た事業だったと思います。 国も、電力、ガス、食料品などの価格高騰に対する支援として、住民税非課税の世帯などに対して現金5万円を支給する事業を行っています。 この緊急支援金のほかに、道内では、市町村が独自に福祉灯油を支給しているところもあります。町村のみならず、札幌市や旭川市といった人口の多い自治体でも独自の給付を行っています。 そこで本年も、昨年実施した原油価格高騰対策助成金のような事業を実施することを強く求めるものでありますが、市の見解をお尋ねします。 続いて、インボイスに伴う免税事業者への対応について質問いたします。 政府が来年10月から導入を予定しているインボイス、適格請求書制度は、数百万もの小規模事業者やフリーランスで働く人々に消費税課税事業者になることを余儀なくさせ、深刻な負担増をもたらしています。 全国で70万人の会員がいるシルバー人材センターの経営も脅かされます。 多くの中小業者の団体が中止や見直しを求め、中止、延期などの救済を求める意見書が、本年9月末現在で全国289自治体から543件も提出されています。 令和3年度の消費税の新規滞納発生額は5,121億円となり、コロナ前の令和元年度に比べて1,000億円以上も増えました。このままでは、消費税が払えなくて、倒産、廃業する事業者が続出してしまいます。 インボイスが導入されると、消費税免税事業者は取引から排除されるおそれが出ています。地方自治体の公共事業から免税事業者が排除されるおそれも出ています。 地方自治体の特別会計や企業会計は、年間売上げ1,000万円以上であれば消費税を納めています。インボイス制度導入後は、免税事業者から仕入れに含まれる消費税額を差し引くことができなくなり、自治体の消費税納税額が増えてしまいます。 総務省は、今年6月20日、都道府県に対して、インボイス制度への対応を求める通知を送付しました。その下で、令和5年度以降の入札参加資格にインボイス登録を加える自治体が出ています。 例えば福島市は、9月に公表した令和5年から令和6年度の入札参加資格申請の手引に、インボイス制度の登録がない場合、水道局及び下水道室発注の工事等ができなくなりますのでご注意くださいと明記していました。 しかし、日本共産党国会議員団の指摘を受け、財務省は各省庁に、地方自治体などの入札から免税事業者を排除することは妥当ではないとの判断を伝え、その後、福島市は規定を修正、年間売上高1,000万円以下の免税事業者を排除する文言は削除されました。 福島市の規定は、公共工事や公共調達から小規模事業者を切り捨てる行為であり、許されるものではないと思います。 釧路市も、令和5年から令和6年度、入札参加資格申請の手引が公開されています。この中には、インボイス登録については何も言及されていません。釧路市は、免税事業者を入札や公契約から排除するのか、それとも消費税負担の増加を覚悟して免税事業者の取引を続けるのか、このどちらかが国によって迫られていると思われます。 来年10月以降、免税事業者との取引について、市の基本的見解をお聞かせください。 1回目の質問は以上です。
答弁と再質問の全文はこちらから
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