釧路公立大学事務組合議会会議録シリーズ第4回は、2022(令和4)年11月定例会のものを公表します。
11月4日に開催され、2023年度から2028年度までの6年間の公立大学法人としての中期目標がこの議会で示されました。
質問したのはこの会も私1人だけでした。
尚この次の議会は2023年3月定例会ですが、議事録ができるのは半年くらい先になると思いますので、このシリーズは一旦終了します。🔚
法人化で経営優先にならないか
1回目の質問
(中期目標骨子案における財務内容の改善)
議案第5号の令和3年度決算には法人化事業費としておよそ1800万円支出されています。書類審査の時に具体的な使い道をお聞きしましたら、有限責任監査法人トーマツに委託料としておよそ1600万円支払ったとのことでした。人件費も含めると法人化準備に関わる経費は前年に比べ6000万円も増加しているという説明を聞いて驚きました。また議案7、8、9、10号は今後の法人設立申請に向けての手続きを定める条例であり、今議会の議決を契機に法人化が一層加速されるものと思われます。報告事項にもあったように法人化されると中期目標が求められ、実現できたのかが評価の対象となります。今回はこの中期目標のうち、4番目に挙げられた財務内容の改善について質問をさせてもらいます。この財務内容の改善については、「自主財源の確保」と「経費の効率的な執行」の2つの項目からなっています。
そこでまず初めに「自主財源の確保」についてお尋ねします。資料の中に「授業料等の自主財源を安定的に確保するとともに、新たな自主財源の獲得に努める」という記載があります。そもそも大学に新たな自主財源を獲得させることは酷な話です。国からの運営費交付金が大学にとっての命綱となるはずです。国立大学では2004年度から法人化がはじまり、運営費交付金も減らされ、その結果論文の数が減ったしまったという状況が起きています。大学の研究力が落ちてしまっていると言えるのです。この点については、今年3月28日の参議院決算委員会で、岸田総理も論文数などの研究水準について「深刻な事態であると認識している」と答弁しているものであります。
釧路公立大学においても、先生方には研究に専念してもらい、新たな自主財源の獲得という競争に追いやるべきではないと考えます。そもそも地方の文系の単科大学に自主財源を求めることは無理があるのではないでしょうか。また授業料を安定的に確保するとありますが、授業料は本来なら国が負担すべきもので、管理者として国に対して大学授業料を無料化してほしいと積極的に要望すべきと考えます。
運営費交付金の増額を国に求めることをしないで、授業料を安定的に確保せよとか、新たな自主財源を探せということは、大学の財政基盤を危うくすることにもなりかねません。このような国の政治の流れを変えなければ、研究力の向上とか、学生から選ばれる魅力ある大学にはなりえないと考えますが、管理者はどのような認識でいられるのかお尋ねします。
1回目の質問は以上です。
〇管理者 蝦名大也
まず自主財源の確保についてでございます。授業料等とかのご質問等々ございますが、つまりは高等教育全般の方向性、こういったこよにつきましては、これは国においてですね、しっかりと協議がされていくものと、このように認識をしているところでございます。
その中で、自主財源の確保ということであります。これは新たな法人、ここが魅力ある大学運営、そういったものをしっかりと行っていくということで、引き続き、例えば一定の倍率を確保する、受験料ですよね、こういったものでございますとか、入学料、授業料、こういったものをしっかり安定的に確保に努めていくということは当然のことと思ってますし、併せて、いろんな民間企業との連携、現在も様々な研究で民間企業と連携しながら行っているものでございますけれども、こういったことを、視野に入れていきながら、自主財源の確保に努めていくという、こういったことでございますので、この点をご理解いただきたいと思う次第でございます。
2回目の質問
次に中期目標における財務内容の改善の2つ目の柱「経費の効率的な執行」について質問します。報告事項の資料では、管理運営費の効率的な執行に努めるという記載がされており、それ以外の経費は削減しないのかどうかまでは不透明です。今決算でも総務費の中で最も大きいのは職員給与費の6億円で、管理運営費は2番目で1.7億円です。そのため水道光熱費などが中身である管理運営費は例示的に挙げたに過ぎないのではないかと疑念をもっております。職員給与費については何ら言及されていないから削減される恐れはないとは思えないのです。国立大学法人では、法人化された2004年以降任期付きの常勤教員が増え続けています。例えば国立大学の常勤教員のうち、任期付き教員は2001年で1666人だったものが、2021年では24,501人にまで増えています。国立大学法人でも雇用の流動化がおきているのです。事前にお伺いしたこところ、釧路公立大学では42人の教員のうち、任期付き教員は過去も含めて0とのことで、これは良い点だと評価しています。法人化後も任期付き教員は採用しないことをお約束して頂きたいと思います。
更に給料についても、令和4年度予算書から推計すると社会保険料の雇用主負担など一切を入れた場合、平均年収は教員は1000万円、事務局770万円位になっているようです。これは予算なので多めに組んでいるにせよ、とりわけ今後新規に採用される人たちにはこの水準が維持されるのかも危惧されるところであります。
国立大学法人の事例を見ると、人件費が特に減らされています。今回の釧路公立大学の決算では、歳出に占める人件費の割合は50%近くになっています。人件費の総額が多いからと言って今後それを削ると、教職員のやる気を削ぐだけではなく、大学の研究力の低下にもつながる事態になりかねません。
今年5月17日の参議院内閣委員会では、国立大学や国立研究機関であわせて最大4500人の非正規雇用の研究者が雇止めになる恐れがあると問題になりました。釧路公立大学における非正規雇用の研究者は今はいなくても、今後はどのようになるのでしょうか。仮に非正規雇用の研究者を採用することになった場合は、労働契約法の通り、有期雇用が10年を超えたら無期雇用に転換する考えはあるのか管理者の認識をお尋ねします。
尚、この場をお借りしまして、議案第6号と11号については、法人化とは無関係ですので、賛成できますが、それ以外の議案は全て法人化を進める内容でありますので、賛成・認定はできないとの態度表明もさせてもらいまして、私の質問を終わります。
〇管理者 蝦名大也
「経費の効率的な執行」というのは、これは当然の表現だと思うわけでございまして、常に効率ということをですね、考えながら進めていくということは必要なことだと思ってます。その時に、そもそもこの地方独立行政法人化がどういった目的であるのか、まさにこの中期目標骨子の中にもございます、教育研究の質の向上でございますとか、こういった中でしっかりとまた、学生に選んでいただける、つまりそういった価値を高めていく、このことをベースに置いた中で、効率的な執行を行っていくという考え方でございますので、全国の事例、確かに他と比較しながらということも必要なことだと思いますが、ご質問にありましたとおりに、私しどもの釧路公立大学では非正規雇用の常勤教員はいないということもご承知の中でのお話だと思いますので、具体的にどういった形の中で進めていくのかといったことがですね、重要なことだと思っております。
その上で、そういったしっかりとした目標を掲げた中で、この法人化後におきます、大学経営また教職員の雇用等、これにつきましては、法人の理事長及び学長が中心となってですね、しっかりと適切に判断していくものと、この様に認識しているものでございます。
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