鳥取県倉吉市、行政視察報告
対応していただきました方; 倉吉市議会事務局長・西尾賢一様
局長補佐・大西康浩様
産業部次長兼商工観光課長・涌嶋博文様
商工観光係長・内海洋介様
教育委員会事務局文化財課長・真田廣幸様
市勢概要より
平成17年3月、合併により、人口約5.3万人、面積272平方キロメートル、
鳥取県中央部に位置し、北部は日本海沿岸の主として水田地帯、市域中央部は盆地となって市街地を形成、南西部は火山灰台地で主に畑地で名産20世紀ナシを始めとする果菜類の産地である。
歴史は古く、奈良時代は伯耆国の政治・文化の中心地、吉野朝時代は城下町として発展、明治時代は産業面で製糸工場・それに付随する機械を生産する町として栄えた。
現在は第2次・3次産業を主体とする鳥取県中部の中核都市である。
(1)、企業誘致プロジェクトについて
平成18年度を初年度とする第10次倉吉市総合計画において、倉吉市産業部商工観光課、雇用創出推進室が中心となって、「若者の定住化促進」をまちづくりにおける重点課題として位置づけ、この達成のため企業誘致による雇用創出が不可欠であり、
「キラリと光る新中核都市」を目指している。
その為に鳥取県と連携し、大阪事務所を設置し、関西圏の製造業をターゲットとした誘致活動を行っている。
企業立地促進法施行に伴い、鳥取県と19市町が作成した「鳥取県地域産業活性化基本計画」に基づき、現在「西倉吉工業団地」には22社の企業が活動している。
団地の分譲も工業用地21.6ヘクタールのうち19.2ヘクタールの分譲を完了、約1300名の従業員が勤務されており、雇用創出の面でも重要な拠点となっている。
(注釈、視察後の金融不安に端を発した、経済危機の影響については未知数であり、報告時点では相当の誤差を生じてくると予想しているところであります。)
従来、山陰への交通アクセスは大変不便なイメージがある。
しかし現在整備中の山陰自動車道と地域高規格道・北条湯原道が全面開通することで
時間短縮につながり、生活感も向上し、活性化にもつながる。
(注釈、私たち愛知県の立地条件とは相当の地域格差があることが逆に企業誘致に関してより積極的に活動・推進する力になっていると感じます。)
☆具体的な成果目標
新規企業を22年度までに4件増加させる。
☆倉吉市企業立地促進補助制度の概要
工場等の操業を開始した日から1年以内に、市が取得または造成した工業団地、その他市長が適当と認める土地に立地することを条件に、投下固定資産の3%を3年間の分割にて交付する。(投下固定資産とは地方税法第341条に規定する土地建物及び
償却資産の取得に要する費用、準ずる費用をいう)
平成19年度までに延べ18社が利用、雇用397人の増加があった。
☆企業立地促進資金・融資制度
貸付限度額:対象施設取得額又は2億円のいずれか低い額、ただし、取得額・雇用者数により最高50億円。対象経費又は3千万円のいずれか低い額。
10年以内、変動金利、年2.24%
☆ほかに県が企業立地事業補助制度を行っている。
☆企業立地促進法と鳥取県地域産業活性化基本計画、認定第1号
明治製作所(自動車部品製造業)
市の施策:地方税課税の免除
要件・土地建物取得価格が5億円以上
固定資産税の課税を3年間、免除
工場立地の特例、緑地面積率の緩和(敷地の有効活用)
☆今後の課題
① 新交流都市
都市間の交流・連携
インフラ整備(幹線道路の整備促進、高速情報通信網の整備促進)
② 人材の確保
企業が求める人材の確保(人口減対策)
若者向け情報サービス事業をはじめインターンシップによる、雇用の安定
子育て支援策(夫婦で働きながら子育てしている家庭に対し、両立していける支援―――延長保育・学童保育の促進、保育料は国の基準の65%程度に軽減、医療費の軽減等の実施)
③ 視察後の経済状況の悪化に伴う今後の見通しについては、非常に厳しいものがあり、それは我々の都市にも同様の課題が残されておりますが、今回は把握できておりません。
特に、製造業が極度に不振であり、したがって、失業者等、雇用の問題が大きな課題として表面化してくると思われます。
今後の経済情勢の流れについては、注意深く見守り、改めて伺う予定であります。
(2)、遥かなまち倉吉プロジェクトについて
倉吉市における中心市街地活性化及び観光推進について
☆町並み保存対策と保存地区の現状
本町通り沿いに位置する商家の主屋の内約76%が江戸時代後期から昭和の戦前までに建てられた。また、玉川沿いの土蔵も昭和戦前以前に建築されたものが約78%
継承、伝統的建造物の遺存率が高い。
平成4年から特定商業集積法に基づく取り組みを開始、県が「先駆的商店街にぎわい創出モデル事業」として市と共に助成。
平成10年に伝統的建造物「赤瓦」が活動を開始、市内を流れる玉川沿いの白壁土蔵群周辺の回遊性を創出し、観光客の誘客と商店街の活性化に積極的に取り組んでいる。
保存地区内の景観は商家を主体としたものと土蔵を主体としたものであるが、両者とも建物の屋根瓦が赤褐色を呈する共通性と土蔵の白色が微妙な色合いの違いを見せている。
特に我々が注目してみてきたものは、
① 保存地区の町屋建築
主に店舗併用住宅で構成、間口より奥行きが深い短冊型の敷地と道路に面した主屋・背後に中庭・両側に水周り・一番奥に土蔵を構える基本構造。
それは当時の資金力等、力関係で1列3間・2列3間・3列3間と云う様に仕切られ、切妻造り平入り瓦葺を原則に軒先に倉吉特有の絵様彫刻を施している。
出格子を付けているのが一般的で、近年になり鉄格子・手すりを取り付けている。
(津島の町屋建築の構造と比較検討するのも面白いのではないか)
② 比較対照できるか、津島にある旧「津島信用金庫」の建物
明治41年に建築された「国立第3銀行倉吉支店」と昭和9年に建築された「日本産業貯蓄銀行倉吉支店」で両者とも近代的な建築で周辺の町屋とは異なるが、町屋の風景と程よく調和している点であります。
前者は寄棟瓦葺2階建て土蔵建築物で登録有形文化財、現在は大店会事務所として
使用されているそうであります。
観光としては、やはり伝統的建造物群の保存地区の一つとして捉えており、他に博物館・民俗資料館・物産館等がそろって、観光客を飽きさせない工夫が随所に見られます。
☆今後の課題
空き店舗の活用・老朽化した建造物等の取扱い・起業の促進・若者視点の重視
観光駐車場整備・市民雇用を約束する企業との連携
特に「若者の定住」を実現するため、「雇用の維持と確保」の面から行動計画を
策定することを強調されました。
平成20年11月、津島市議会・新生クラブ(垣見信夫、西山良夫)
対応していただきました方; 倉吉市議会事務局長・西尾賢一様
局長補佐・大西康浩様
産業部次長兼商工観光課長・涌嶋博文様
商工観光係長・内海洋介様
教育委員会事務局文化財課長・真田廣幸様
市勢概要より
平成17年3月、合併により、人口約5.3万人、面積272平方キロメートル、
鳥取県中央部に位置し、北部は日本海沿岸の主として水田地帯、市域中央部は盆地となって市街地を形成、南西部は火山灰台地で主に畑地で名産20世紀ナシを始めとする果菜類の産地である。
歴史は古く、奈良時代は伯耆国の政治・文化の中心地、吉野朝時代は城下町として発展、明治時代は産業面で製糸工場・それに付随する機械を生産する町として栄えた。
現在は第2次・3次産業を主体とする鳥取県中部の中核都市である。
(1)、企業誘致プロジェクトについて
平成18年度を初年度とする第10次倉吉市総合計画において、倉吉市産業部商工観光課、雇用創出推進室が中心となって、「若者の定住化促進」をまちづくりにおける重点課題として位置づけ、この達成のため企業誘致による雇用創出が不可欠であり、
「キラリと光る新中核都市」を目指している。
その為に鳥取県と連携し、大阪事務所を設置し、関西圏の製造業をターゲットとした誘致活動を行っている。
企業立地促進法施行に伴い、鳥取県と19市町が作成した「鳥取県地域産業活性化基本計画」に基づき、現在「西倉吉工業団地」には22社の企業が活動している。
団地の分譲も工業用地21.6ヘクタールのうち19.2ヘクタールの分譲を完了、約1300名の従業員が勤務されており、雇用創出の面でも重要な拠点となっている。
(注釈、視察後の金融不安に端を発した、経済危機の影響については未知数であり、報告時点では相当の誤差を生じてくると予想しているところであります。)
従来、山陰への交通アクセスは大変不便なイメージがある。
しかし現在整備中の山陰自動車道と地域高規格道・北条湯原道が全面開通することで
時間短縮につながり、生活感も向上し、活性化にもつながる。
(注釈、私たち愛知県の立地条件とは相当の地域格差があることが逆に企業誘致に関してより積極的に活動・推進する力になっていると感じます。)
☆具体的な成果目標
新規企業を22年度までに4件増加させる。
☆倉吉市企業立地促進補助制度の概要
工場等の操業を開始した日から1年以内に、市が取得または造成した工業団地、その他市長が適当と認める土地に立地することを条件に、投下固定資産の3%を3年間の分割にて交付する。(投下固定資産とは地方税法第341条に規定する土地建物及び
償却資産の取得に要する費用、準ずる費用をいう)
平成19年度までに延べ18社が利用、雇用397人の増加があった。
☆企業立地促進資金・融資制度
貸付限度額:対象施設取得額又は2億円のいずれか低い額、ただし、取得額・雇用者数により最高50億円。対象経費又は3千万円のいずれか低い額。
10年以内、変動金利、年2.24%
☆ほかに県が企業立地事業補助制度を行っている。
☆企業立地促進法と鳥取県地域産業活性化基本計画、認定第1号
明治製作所(自動車部品製造業)
市の施策:地方税課税の免除
要件・土地建物取得価格が5億円以上
固定資産税の課税を3年間、免除
工場立地の特例、緑地面積率の緩和(敷地の有効活用)
☆今後の課題
① 新交流都市
都市間の交流・連携
インフラ整備(幹線道路の整備促進、高速情報通信網の整備促進)
② 人材の確保
企業が求める人材の確保(人口減対策)
若者向け情報サービス事業をはじめインターンシップによる、雇用の安定
子育て支援策(夫婦で働きながら子育てしている家庭に対し、両立していける支援―――延長保育・学童保育の促進、保育料は国の基準の65%程度に軽減、医療費の軽減等の実施)
③ 視察後の経済状況の悪化に伴う今後の見通しについては、非常に厳しいものがあり、それは我々の都市にも同様の課題が残されておりますが、今回は把握できておりません。
特に、製造業が極度に不振であり、したがって、失業者等、雇用の問題が大きな課題として表面化してくると思われます。
今後の経済情勢の流れについては、注意深く見守り、改めて伺う予定であります。
(2)、遥かなまち倉吉プロジェクトについて
倉吉市における中心市街地活性化及び観光推進について
☆町並み保存対策と保存地区の現状
本町通り沿いに位置する商家の主屋の内約76%が江戸時代後期から昭和の戦前までに建てられた。また、玉川沿いの土蔵も昭和戦前以前に建築されたものが約78%
継承、伝統的建造物の遺存率が高い。
平成4年から特定商業集積法に基づく取り組みを開始、県が「先駆的商店街にぎわい創出モデル事業」として市と共に助成。
平成10年に伝統的建造物「赤瓦」が活動を開始、市内を流れる玉川沿いの白壁土蔵群周辺の回遊性を創出し、観光客の誘客と商店街の活性化に積極的に取り組んでいる。
保存地区内の景観は商家を主体としたものと土蔵を主体としたものであるが、両者とも建物の屋根瓦が赤褐色を呈する共通性と土蔵の白色が微妙な色合いの違いを見せている。
特に我々が注目してみてきたものは、
① 保存地区の町屋建築
主に店舗併用住宅で構成、間口より奥行きが深い短冊型の敷地と道路に面した主屋・背後に中庭・両側に水周り・一番奥に土蔵を構える基本構造。
それは当時の資金力等、力関係で1列3間・2列3間・3列3間と云う様に仕切られ、切妻造り平入り瓦葺を原則に軒先に倉吉特有の絵様彫刻を施している。
出格子を付けているのが一般的で、近年になり鉄格子・手すりを取り付けている。
(津島の町屋建築の構造と比較検討するのも面白いのではないか)
② 比較対照できるか、津島にある旧「津島信用金庫」の建物
明治41年に建築された「国立第3銀行倉吉支店」と昭和9年に建築された「日本産業貯蓄銀行倉吉支店」で両者とも近代的な建築で周辺の町屋とは異なるが、町屋の風景と程よく調和している点であります。
前者は寄棟瓦葺2階建て土蔵建築物で登録有形文化財、現在は大店会事務所として
使用されているそうであります。
観光としては、やはり伝統的建造物群の保存地区の一つとして捉えており、他に博物館・民俗資料館・物産館等がそろって、観光客を飽きさせない工夫が随所に見られます。
☆今後の課題
空き店舗の活用・老朽化した建造物等の取扱い・起業の促進・若者視点の重視
観光駐車場整備・市民雇用を約束する企業との連携
特に「若者の定住」を実現するため、「雇用の維持と確保」の面から行動計画を
策定することを強調されました。
平成20年11月、津島市議会・新生クラブ(垣見信夫、西山良夫)