”NINE DRAGONS" をあっと言う間に読んでしまい、まだ読んでいない
”THE SCARECROW"を買ってきてしまいました。
作者MICHAEL CONNELLYは刑事HARRY BOSCHシリーズが有名です。
主人公のロスアンゼルスの刑事HARRYには、彼を取り巻くいろいろな
人物が登場して来ます。他の作品でも過去に登場した人物が繰り返し
登場してきますので、出来れば時系列的に読まないと、過去のいきさつ
が解らないことがあります。古い順に読んでおくと後で楽です。でないと、
私みたいにわざわざバックして読む羽目になります。
このハリーボッシュシリーズとは別にスタンドアローンとしていくつかの
作品をMICHAEL CONNELLYは書いています。
HARRYと同じ警察官のTERRYや、リンカーンを事務所代わりにしている
弁護士HALLER、FBI AGENTのRACHEL、あるいは新聞社で犯罪を専門に
しているMcEVOYが登場する作品群です。ハリー・ボッシュシリーズに
出てくる脇役がスピンオフして主役に回ったってところでしょうか。
でもこれがなかなか面白い。
今回の”THE SCARECROW"はロスアンジェルス・タイムスの記者McEVOY
が主人公の物語りなのですが、実はこれは、”THE POET"という作品を
読んでおいたほうが理解度の深まる作品なのです。もちろんこの本から
読んでも充分楽しめますよ。この2作もスタンド・アローンです。
前回の”THE POET”ではデンバーの新聞記者だったMcEVOYが犯人を追い
詰めていくのですが、刑事をしていたMcEVOYの兄の死に不審を抱いたとこ
ろから物語りは始まります。FBI AGENTのRACHEL WALLINGはMcEVOYに
協力し犯人のPOETを追い詰めて行きます、同時に二人の仲も急接近。
1996年ですから時代的な古さは少々ありますが気にするほどではない
でしょう。全米でヒットした犯罪スリラーです。
これを受けて今回の”THE SCRACROW"なのですが、McEVOYの新聞社も
100人のレイオフをせざるを得なくなり、彼もその対象になってしまいます。
後任の新人女性記者への引継ぎのため、辞めるまで2週間の余裕があり
前から暖めていた作家への転進のための小説の完成を目指すのですが、
もうひとつ手がけていた事件の犯人が、警察が逮捕した犯人でないという
確信を得て、手がかりを求め単身砂漠の中の刑務所に向かいます。
いわば冤罪事件をスクープしてレイオフをした新聞社の鼻をあかしてやろう
というワケです。まあここまでは良くある話で見え見えの展開ではあります。
何かこの辺は作者のMICHAEL CONNELLYの新聞記者時代の気概を見る
ようです。事実MICHAEL CONNELLYは見事に全米を代表する犯罪スリラー
作家に転進しています。記者から作家への華麗なる成功というところでしょうか。
物書きをする人たちはこういう気持ちは心のどこかにあるんでしょうね。
手がかりを追って単身ラスベガスに飛んだMcEVOYですが、すでに犯人の手が
延びて、自身のメールへの侵入やクレジットカードのキャンセルや銀行口座
から残高が消えてしまうという、信じられない状況に陥り全く動きが取れなく
なります。
どうしようもなくなったMcEVOYは、別れたままのかつて恋仲だったFBI AGENT
のRACHEL WALLINGに助けを求めるのでした。RACHELにはかつてTHE POETと
呼ばれる猟奇殺人犯を取り逃がし, その時のMcEVOYとの”ON-THE-JOB
ROMANCE"が原因でサウスダコタに左遷されたイヤな思い出がありました。
結局後になってHARRY BOSCHと協力してPOET事件は解決させるのではあり
ますが、McEVOYとの醜聞は嫌な思い出として残っていたのです。
犯人は非常に優秀なIT関連の技術者として早い段階から登場して来ます。
電子メールやコンピュータなど仕事上不可欠なツールを逆に犯罪の武器と
して駆使する犯人。連絡の取れなくなったままのMcEVOYの後任の新人女性
記者、など例によって早いタッチで話が進んでいきます。
びっくりするほどの意外性はありませんが台詞や人物描写がメリハリが利いて
いてアッという間に読んでしまいます。初めのうちはちょっとモタモタ感があり
ましたが、途中からグンとスピードアップして来ます。どうも、このあたりは
”THE POET" の中に出てくるIT関連の古さをこの新作で払拭している印象が
あります。時間差キャッチアップ調整とでも言いますか。
犯人のほうが捜査の動きを先読みし、次々と手を打ってくる手法はTHE POETの
やり方で、その罠の中に落ちていくのを見て犯人はほくそえむのです。二転三転
どんでん返しの好きな作者ですから、読者をアッと言わせるくらいお手の物です。
当初、読み始めは何か違う作者の本でも読んでいるような印象でしたが、前作
の”THE POET"の時代的軌道修正や、そのために後半が浮き上がらないよう
意識してタメを作っていたのかも知れませんね、今考えると。巧妙です。
結局、RACHELはMcEVOYと共に連続猟奇殺人犯を追うことになるのですが、
作者はここでもMcEVOYに撚りを戻させてしまいます。かつてHARRYともONE TIME
LOVERの関係にあったRACHELでしたが・・・
「10年も会っていないのに何よ!」とMcEVOYに一応は拒否の態度を示すのですが、
再び親しい仲に。FBIの姉御はこちらのほうもあいかわらず積極的のようです。
RACHELはHARRY BOSCHシリーズでも一応ヒロイン的存在だし、単独でも主役の
看板を張れるし貴重な登場人物ではあります。命を張って前に出て行くところは
女ボッシュみたいな感じもするし。良いですね、こういう設定。いなきゃ味気ないし。
今回も結果的にMcEVOYの命を救うことになるのですがその結果FBIの職を振って
しまいます。それでもMcEVOYと共に犯人のいる建物に乗り込んでいきます。
RACHELは犯人に襲われMcEVOYも犯人と対峙。そして銃声が響くのですが・・・
犯罪記者、特に殺人事件を追う記者だけに、HARRY BOSCHが手がけた過去の
事件なども話の中に結構出てきますので、ハイハイ、あの事件ねえ、ハリーが
苦労した一件ね、とニヤっとさせられます。
BOSCHモノが刑事側から書いたシリーズだとすれば、McEVOYモノは取材する側
から見た感じで話が進行していきます。このへんのところは作者自身が経験して
きたことなので、記者→警察→事件→犯人というプロセスが巧妙なプロットとして
生かされています。刑事から記者へと主人公が代わってもスピード感は相変わらず。
むしろ記者モノのほうがより実感がありそう。取材には手順がありますしね。
MvEVOYを一人称で語らせているのも効果的です。過去の作品でも一人称と三人称を
交互の使い分けて立体的な効果を出していました。
リンカーンを事務所代わりにする弁護士HALLERを登場させたときもそうでしたが、
この作者は結構リーガル物を書かせるとなかなか達者です。記者時代随分現場で
苦労したんじゃないですかねえ。心理描写や台詞回し、臨場感が抜群です。
あー、いけない、そう言えば”THE POET"、まだ良く読んでなかった。いや
読んだんだけど、かなり前なのではっきり覚えていない。
THE POETと呼ばれる連続猟奇殺人犯をHARRYとRACHELで追い詰めて解決する
のはボッシュシリーズで先に読んじゃったからなあ。犯人がどうなるかという結末も
知っているし。
先にネタばれ知っていてRETROACTIVEで読むのもね。でもいつものことですから。
そうだ、そうだ、”LINCOLN LAWYER " は映画化されるみたいですね。
早ければ今年か来年の封切りみたいです。ハワイで見てくるかな。
ちょっと今回はコメントが長すぎたですね。コネリーファンですのでつい
長めになっちゃうことをお許し下さい。
”THE SCARECROW"を買ってきてしまいました。
作者MICHAEL CONNELLYは刑事HARRY BOSCHシリーズが有名です。
主人公のロスアンゼルスの刑事HARRYには、彼を取り巻くいろいろな
人物が登場して来ます。他の作品でも過去に登場した人物が繰り返し
登場してきますので、出来れば時系列的に読まないと、過去のいきさつ
が解らないことがあります。古い順に読んでおくと後で楽です。でないと、
私みたいにわざわざバックして読む羽目になります。
このハリーボッシュシリーズとは別にスタンドアローンとしていくつかの
作品をMICHAEL CONNELLYは書いています。
HARRYと同じ警察官のTERRYや、リンカーンを事務所代わりにしている
弁護士HALLER、FBI AGENTのRACHEL、あるいは新聞社で犯罪を専門に
しているMcEVOYが登場する作品群です。ハリー・ボッシュシリーズに
出てくる脇役がスピンオフして主役に回ったってところでしょうか。
でもこれがなかなか面白い。
今回の”THE SCARECROW"はロスアンジェルス・タイムスの記者McEVOY
が主人公の物語りなのですが、実はこれは、”THE POET"という作品を
読んでおいたほうが理解度の深まる作品なのです。もちろんこの本から
読んでも充分楽しめますよ。この2作もスタンド・アローンです。
前回の”THE POET”ではデンバーの新聞記者だったMcEVOYが犯人を追い
詰めていくのですが、刑事をしていたMcEVOYの兄の死に不審を抱いたとこ
ろから物語りは始まります。FBI AGENTのRACHEL WALLINGはMcEVOYに
協力し犯人のPOETを追い詰めて行きます、同時に二人の仲も急接近。
1996年ですから時代的な古さは少々ありますが気にするほどではない
でしょう。全米でヒットした犯罪スリラーです。
これを受けて今回の”THE SCRACROW"なのですが、McEVOYの新聞社も
100人のレイオフをせざるを得なくなり、彼もその対象になってしまいます。
後任の新人女性記者への引継ぎのため、辞めるまで2週間の余裕があり
前から暖めていた作家への転進のための小説の完成を目指すのですが、
もうひとつ手がけていた事件の犯人が、警察が逮捕した犯人でないという
確信を得て、手がかりを求め単身砂漠の中の刑務所に向かいます。
いわば冤罪事件をスクープしてレイオフをした新聞社の鼻をあかしてやろう
というワケです。まあここまでは良くある話で見え見えの展開ではあります。
何かこの辺は作者のMICHAEL CONNELLYの新聞記者時代の気概を見る
ようです。事実MICHAEL CONNELLYは見事に全米を代表する犯罪スリラー
作家に転進しています。記者から作家への華麗なる成功というところでしょうか。
物書きをする人たちはこういう気持ちは心のどこかにあるんでしょうね。
手がかりを追って単身ラスベガスに飛んだMcEVOYですが、すでに犯人の手が
延びて、自身のメールへの侵入やクレジットカードのキャンセルや銀行口座
から残高が消えてしまうという、信じられない状況に陥り全く動きが取れなく
なります。
どうしようもなくなったMcEVOYは、別れたままのかつて恋仲だったFBI AGENT
のRACHEL WALLINGに助けを求めるのでした。RACHELにはかつてTHE POETと
呼ばれる猟奇殺人犯を取り逃がし, その時のMcEVOYとの”ON-THE-JOB
ROMANCE"が原因でサウスダコタに左遷されたイヤな思い出がありました。
結局後になってHARRY BOSCHと協力してPOET事件は解決させるのではあり
ますが、McEVOYとの醜聞は嫌な思い出として残っていたのです。
犯人は非常に優秀なIT関連の技術者として早い段階から登場して来ます。
電子メールやコンピュータなど仕事上不可欠なツールを逆に犯罪の武器と
して駆使する犯人。連絡の取れなくなったままのMcEVOYの後任の新人女性
記者、など例によって早いタッチで話が進んでいきます。
びっくりするほどの意外性はありませんが台詞や人物描写がメリハリが利いて
いてアッという間に読んでしまいます。初めのうちはちょっとモタモタ感があり
ましたが、途中からグンとスピードアップして来ます。どうも、このあたりは
”THE POET" の中に出てくるIT関連の古さをこの新作で払拭している印象が
あります。時間差キャッチアップ調整とでも言いますか。
犯人のほうが捜査の動きを先読みし、次々と手を打ってくる手法はTHE POETの
やり方で、その罠の中に落ちていくのを見て犯人はほくそえむのです。二転三転
どんでん返しの好きな作者ですから、読者をアッと言わせるくらいお手の物です。
当初、読み始めは何か違う作者の本でも読んでいるような印象でしたが、前作
の”THE POET"の時代的軌道修正や、そのために後半が浮き上がらないよう
意識してタメを作っていたのかも知れませんね、今考えると。巧妙です。
結局、RACHELはMcEVOYと共に連続猟奇殺人犯を追うことになるのですが、
作者はここでもMcEVOYに撚りを戻させてしまいます。かつてHARRYともONE TIME
LOVERの関係にあったRACHELでしたが・・・
「10年も会っていないのに何よ!」とMcEVOYに一応は拒否の態度を示すのですが、
再び親しい仲に。FBIの姉御はこちらのほうもあいかわらず積極的のようです。
RACHELはHARRY BOSCHシリーズでも一応ヒロイン的存在だし、単独でも主役の
看板を張れるし貴重な登場人物ではあります。命を張って前に出て行くところは
女ボッシュみたいな感じもするし。良いですね、こういう設定。いなきゃ味気ないし。
今回も結果的にMcEVOYの命を救うことになるのですがその結果FBIの職を振って
しまいます。それでもMcEVOYと共に犯人のいる建物に乗り込んでいきます。
RACHELは犯人に襲われMcEVOYも犯人と対峙。そして銃声が響くのですが・・・
犯罪記者、特に殺人事件を追う記者だけに、HARRY BOSCHが手がけた過去の
事件なども話の中に結構出てきますので、ハイハイ、あの事件ねえ、ハリーが
苦労した一件ね、とニヤっとさせられます。
BOSCHモノが刑事側から書いたシリーズだとすれば、McEVOYモノは取材する側
から見た感じで話が進行していきます。このへんのところは作者自身が経験して
きたことなので、記者→警察→事件→犯人というプロセスが巧妙なプロットとして
生かされています。刑事から記者へと主人公が代わってもスピード感は相変わらず。
むしろ記者モノのほうがより実感がありそう。取材には手順がありますしね。
MvEVOYを一人称で語らせているのも効果的です。過去の作品でも一人称と三人称を
交互の使い分けて立体的な効果を出していました。
リンカーンを事務所代わりにする弁護士HALLERを登場させたときもそうでしたが、
この作者は結構リーガル物を書かせるとなかなか達者です。記者時代随分現場で
苦労したんじゃないですかねえ。心理描写や台詞回し、臨場感が抜群です。
あー、いけない、そう言えば”THE POET"、まだ良く読んでなかった。いや
読んだんだけど、かなり前なのではっきり覚えていない。
THE POETと呼ばれる連続猟奇殺人犯をHARRYとRACHELで追い詰めて解決する
のはボッシュシリーズで先に読んじゃったからなあ。犯人がどうなるかという結末も
知っているし。
先にネタばれ知っていてRETROACTIVEで読むのもね。でもいつものことですから。
そうだ、そうだ、”LINCOLN LAWYER " は映画化されるみたいですね。
早ければ今年か来年の封切りみたいです。ハワイで見てくるかな。
ちょっと今回はコメントが長すぎたですね。コネリーファンですのでつい
長めになっちゃうことをお許し下さい。
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