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キャンプ地から入ることのできる1時間ほどの散策道入り口。
零℃近くまで冷える夜間を暖かく守ってくれる車内のFFヒーターが本当にありがたかった。
調べてみると、このFFヒーターはドイツ製で、車のエンジンとは別で、同じ燃料を使って家屋用のFFヒーターと同じように燃やしクリーンな暖気だけを室内に送り込む。
一晩燃やしても2リットルほどの燃費だという優れ物だ。
今回使っているキャンピングカーは最新式で、電気は屋根のソーラーパネルで発電し走行用とは別のバッテリーに蓄電する。
これで明りもテレビも十分賄える。
外部入力の必要はない。
炊事用コンロはカートリッジガスを使う簡単なものだ。
トイレはついていない。
キャンプサイトや道の駅などトイレ設備には事欠かないであろう。
新車なので、ランを車内ではあまり自由にさせられなかったので彼女にとってはストレスがたまっただろう。
しかし、長い旅の場合は彼女を連れて行くしかないのでキャンピングカーは重要な選択肢だ。
1週間の賃料が10万円、今後10回利用すると百万円、これだけ出せば安い中古車が買えそうだ。
自分たちが使わないときは誰か友人たちに貸すこともできる。
一度考えてみる価値がありそうだ。
白神山地はかなり広大で、千メートル級の山が幾つか存在するが、観光客が入ることのできる地域は少ない。
キャンプ地は標高が2百30メートルほどと低い。
山地の周辺部をガイド無しで歩くことのできるトレッキング路はいくつかあるが
本格的に内部まで入るとなるとそれなりの装備が必要になるようだ。
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標高が低いのでそれほど紅葉していない。
森の中はブナの二次林が広がっている。
人が焚き木などとして利用した林なのだが、我々には自然に残された太古からの森のように思える。
確かに屋久島のほの暗い森の太古さとは異なる明るさだが。
周遊したのは我々が朝一番だったので、誰もいない静かな環境を楽しむことができた。
出口に戻るといくつかの団体で遊歩道は混雑していた。
キャンプ場の管理人に勧められた津軽峠まで登る。
車で未舗装の道を30分ほどで標高千メートルを超える。
西海岸の深浦や北野鰺ヶ沢へ抜ける山道になっているようだが、観光用には峠までしか車が入れない。
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紅葉の向こうに岩木山がよく見える。
ここからキャンプ場まで下る5時間ほどのトレッキング路が整備されていて、峠までのバスが運行されている。
今度は新緑の頃歩いてみたい。
山を下って、弘前を抜ける。
途中アップルロードと名付けられたリンゴ畑の真ん中の道を通る。
両側には、今まさにたわわに実った赤や黄色のリンゴが収穫され始めている。
残念ながら沿道に直売の店は出ていない。
人手がなく今は収穫が忙しくて店番まで回らないのかもしれない。
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弘前城ではリンゴ祭り用にリンゴを使って写楽の絵が準備されていた。
弘前からは八甲田山の麓を回って酸ヶ湯温泉を目指した。
標高を上げて行くにつれて木々の色付きがその鮮やかさを増してゆく。
途中の城ヶ倉渓谷のパノラマは今回一番の紅葉景色だ。
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城ヶ倉大橋からの眺め。写真ではその雄大さが十分表せられない。
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八甲田山麓のブナ林。
車を留めたのは酸ヶ湯温泉のキャンプ場。
温泉は混浴だ。
男女別々の入り口だが中は同じ、ただし、エリアが簡単に男女隔てられている。
時間が遅く泊り客だけの時間のせいか入浴客は男女合わせても10人程度だった。
妻も女性エリアにいたらしいが、識別できなかった。