一昨年のこと
夫の古くからの友人が山荘に遊びに来た時
数種類の豆の種を手土産に持って来てくれた。
彼は定年退職後、趣味の野菜作りを始めたらしいのだが
若い頃から何ごとも本気でとことんやる性格なので
その腕前はすでに素人の域を越えている。
その彼が持参した豆の種の中に
”王家の豆”という珍しい名前の豆があった。
夫も私も初めて聞く名前だったが
早速その豆の種を我が家の畑に蒔いたところ
何と赤紫色のさやのエンドウ豆が成って驚いたものだ。
その昨年の豆から採取した種を今年も蒔いた。
上手く発芽するかどうか心配したが
何とか無事に成長して赤紫色の花を咲かせ
今こうして立派な実をたくさんぶら下げている。
この”王家の豆”は知る人ぞ知る伝説がある。
何とこの豆は、エジプト王家のツタンカーメンの
墓の中から発見された話題のエンドウ豆で
3千年の眠りを破って発芽し人々を驚かせたという。
何とも壮大なロマンに満ちた幻の豆なのだ。
だからだろうか…。
その生命力の強さはハンパじゃない。
3千年の時空を越えてもなお
こうしてド素人の畑でも育ってくれるのだから…。
ちなみにこの”王家の豆”は
赤えんどう豆の一種だということなので
さやは赤紫色だが、中の豆はえんどう豆と一緒で緑色。
食べ方もえんどう豆と同じで
茹でたり煮たりして食べてもいいが
私はやはり豆ごはんが一番美味しいと思う。
焚いてしばらく保温しておくと
お米が赤飯のように赤く色づいてきて
なおのこと美味しく感じるのだ。
などと、偉そうに蘊蓄を語っているが
実はそんなことも知らず
絹サヤエンドウと同じように思って
まだ中の実が大きくならないうちに採ってしまい
さやが固くて食べられなかったという
誠にお粗末な失敗談もあるのだが…
今はもう賢くなっているので大丈夫!(笑)
花づくりも野菜作りも、もちろん果樹も
一朝一夕には成功なんてしない。
何度も失敗を繰り返して試行錯誤の連続なのだ。
だから面白いとも言えるのだが…。
今年もこの”王家の豆”の種を採って保存し
来年以降もずーっと育てていきたいものだ。
だって、3千年も前のエジプト王家とつながっているなんて
想像するだけで楽しいじゃない?(笑)