秋も深まり、山庭もしだいに秋色が濃くなってきた。
枝垂れモミジも少しずつ赤みが差してきた。
ムラサキシキブも宝石のように美しい
瑠璃色の小さな実をつけている。
そんな秋たけなわの10月下旬
市から届いた歯周病検診の無料クーポン券を使って
4~5年ぶりに歯科を受診したのだが
その結果、やはり歯周病が進んでいると言われ
検診のついでに申し出た最近の歯痛の治療も含めて
しばらく通院が必要となり、予約して帰った…と
しばらく前のブログに書いた。
その予約の日が先週の木曜日だった。
今日から私の嫌いな歯科治療が始まると思うと
朝から憂鬱で仕方がなかったが…(笑)
意を決してかかりつけの歯科医院へと向かった。
着くとすぐに名前を呼ばれてしまい
心の準備をする間もなく、いざ診察室へ!
診察室の中にはここの院長である歯科医と
歯科衛生士と思しき2名の女性スタッフが居て
その内の一人から3つある診察椅子の
「真ん中の椅子にどうぞ!」と言われるがまま
まさにまな板の鯉のような気持ちで
私は覚悟を決めてその椅子に座った。
すると、まず「これでうがいをして下さい」と
紙コップに入ったイソジンのようなうがい液を渡された。
どうやらコロナ対策のためらしい。
彼女は私がうがいをし終わるのを見届けるやいなや
「椅子を倒します…」と、こともなげに言った。
い、いよいよ始まる。(笑)
「まずは、お口の中を確認をしていきますね」
「お口を開けて下さい」と言いながら
彼女は細いステンレスの棒のようなもので
歯と歯茎のチェックを一つずつ丹念に始めた。
「ここはどうですか?痛いですか?」と
そのつど聞いてくれるのだが
口を開けたままでは「あう…」としか言えない。(笑)
でも、幸いなことに殆ど痛みは感じなかった。
数か所ずつチェックしては椅子を起こし
「はい、うがいをして下さい」
そしてまた椅子を倒してはチェックする…の繰り返しが
何回か続いて、ようやくチェックが終わった頃に
「○○さんはどんな?」と院長先生の声がした。
すると私を担当した歯科衛生士さんが
「右上の5番6番の間と…右下の…それと左奥に歯石が…」
などと、調べた結果を院長に報告していた。
そうか、こういう仕事は歯科衛生士さんの担当なのか…。
「じゃあ、この後レントゲンを撮って!」と院長先生。
ああ、それも彼女の仕事なのか…。
歯科衛生士さんって結構大変なんだなぁ~と思いながら
私はレントゲン撮影室に移動した。
久し振りの歯科のレントゲン撮影機は凄かった。
患者は座って居るだけで機械が患者の周りをぐるっと
360度回りながら撮影をするのだ。
でも、私が知らなかっただけで
今ではこれが当たり前なのかも知れないが…(笑)
レントゲン撮影が終わるとまた診察椅子に座らされ
「次は歯石を取っていきます」と言われて
再び身体中に緊張が走った。
歯石を取る時のガリガリと削るあの感触が
たまらなく苦痛だし、実際痛かった経験があるのだ。
今回もかなりの強さでガリガリされたが
「ほら、こんな大きな歯石が…」と歯科衛生士さんから
驚くほど大きな歯石が取れたのを見せられたりしながら
これまた幸いなことに痛みは感じずに済んだ。
歯石取りが終わった頃にようやく院長先生が
先程撮影したレントゲン写真を持ってやって来た。
そして写真を私に見せながら説明を始めた。
「歯周病と歯石はあるけど、虫歯はありませんねぇ~」
「えっ!虫歯は無いんですか?」
「はい、虫歯は一本もありませんよ」
「でも、時々沁みたり痛かったりするんですけど…」
「それは歯周病で歯茎が炎症を起こしているからですよ」
「そ、そうなんですか…。歯周病のせいなんですか」
「そうです。ほら、ここ…歯と歯の間が空いてきて…」等々
私にレントゲン写真を見せながら
いろいろと細かく説明をしてくれた。
そうか…虫歯は無かったんだぁ~、良かった!
「歯周病もそれほど酷くないので、治療していけば大丈夫ですよ」
「今日は沁み止めの薬を塗っておきましょう」
院長先生の言葉が、神の声のように私の耳に響いた。
「私、てっきり…いよいよ入れ歯を覚悟してたんですけど…」
私がそう言うと、院長先生は笑いながら
「アハハ…70歳でこれなら立派なもんですよ!」
またまた嬉しい神の声…。
「その歳で、健康な自分の歯が28本もあるのは大したもんです!」
これぞ極めつきの神の声!
いやぁ~嬉しかったねえ~。
歯医者に行って、こんなに嬉しかったのは初めてだ。
だって…治療そのものが痛くなかったし
軽度の歯周病はあったけど、虫歯は一本も無かったし
おまけに年齢の割には立派な歯だと言われたのだ。
これ以上の喜びがあるだろうか。
歯周病の治療でしばらく通院が続くが
今日からはもっと丁寧に歯みがきをしよう!と思いながら
ルンルン気分で歯科医院をあとにした。
と、ここまで書いてきて…気がついた。
私の歯が丈夫なのは、母のDNAを受け継いでいるのだ。
「私しゃ、今まで虫歯が一本も無いんじゃ!」と
98歳の母は得意気に口を開け自分の歯を見せて自慢する。
見ると、前歯が2本欠けているのに…(笑)
でも確かに入れ歯も無く、未だに固い食べ物も平気だ。
父親は早くから入れ歯のお世話になっていたので
どうやら私は母の遺伝子のお陰で
この歳になっても丈夫な歯を授かったのかも知れない。
これは母に感謝しないと…バチが当たる。(笑)
今日の入浴介助はそんな感謝の気持ちを込めて頑張ろう!