曇り時々雨。「少年H」を読み終わる。今回は少年Hの目線で家族と学校と日本社会、戦争への疑問、人の心の襞を読んだ。実体験に裏打ちされた迫真の書や。小磯良平、小松益喜さんら実在した神戸の画家との出会いの様子や自殺体験(未遂)、敗戦後の戦災者住宅暮らしのことなど、わが少年期の体験をダブらせて読んだ。「名古屋空襲で疎開した猿投村の小屋は11畳ほどで、三方に窓がなく南側だけが障子戸やったなあ」「あのころ蛙や泥鰌、イタドリ、ワラビやキノコ、食うもんのことしか考えんかったなあ」「ごはんに醤油をかけて食べた味を思いだすなあ」。
天皇の敗戦の詔勅放送はラジオもなかったので知らないが親から「戦争は終わった」と教えられた。日本が負けてみんな悲しんでいるという。ぼくにはそれが不思議だった。空襲が なくなったのになんで。けど、これからどうなるのかという不安はあった。H君はぼくより10歳も年長さん。新聞もラジオもないネズミ小屋のようなわが家と違って新聞は読んでいたらしいから、マッカーサー元帥のこと、進駐軍のこと、日本の急速な民主主義のことなどよくご存じのよう。お昼は、きつねうどんとオクラ。
吹田と豊中の各千里図書館へ「少年H」下巻を返却。ついでに食品スーパーでトマトを探す。大は1個198円、小は158円もする。昔は川へ泳ぎに行くとき畑のトマトを盗んで川に浮かべ齧ってたのになあ。あの酸っぱい味が忘れられん。
熱帯の花柔らかなオクラの実 昇龍子