limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

ミスター DB ㉓

2018年05月02日 15時52分40秒 | 日記
翌日の夕方、Hさんと新しい「担当看護師さん」が私を訪ねて来た。「私の後任のMさん、宜しくお願いします!と言うか、この子が暴走患者です!キツイご指導をしてあげて下さい!」と言って私を指差してのご紹介をHさんがする。だが、目は笑っているし、半ば吹き出して、必死に笑いを堪えている。なんちゅう「ご紹介」じゃ?完全に遊んでいる。泣いたカラスは何処へ行ったのだろう?私もたまらずに「こんな引き継ぎってありなの?」とHさんに聞いた。「ごめん。でも、申し送りの時から色々話していたら、今までの事みんな思い出しちゃって、それで2人で盛り上がってたから、なんだか可笑しくてたまらない!ダメだ!腹筋が筋肉痛になる!」Hさんツボにハマってる。人をダシにしてくれるのはいいけど、もう少し「まともな紹介」は出来ないの?「そりゃ、Hさんとは色々ありましたね。側から見れば迷コンビの漫才をやってたけれど、一応、まだ患者ですから、そこんところをお忘れなく。Hさんから聞いていると思いますが、宜しくお願いします!」私はMさんに頭を下げて、Hさんを見た。笑い転げて涙目になっている。ダメだこりゃ!「お2人のお噂は、よく聞いてましたよ。Hさんから私、Mが引き継ぎましたので、宜しくお願いします!」この出会いからもう何年経つだろうか?未だにMさんには「世話になりっぱなし」であるし、お米を買ってくれる「お客様」でもある。後々の話になるが、私を「退院」させてくれたMさんは、ご主人様の病気を看取られて、定年まで大学病院の看護師として勤めを全うされた後、自宅近くに開業したO先生のクリニックで、私と再会する事になる。私の「復活の立役者」であり、「第2の母親」でもある偉大な方だ。顔色や目つきや話し方で、私の状態を瞬時に判断出来るのは「M母さん」の得意技だ。誰でも「頭が上がらない人」はいると思うが、私にとってMさんは「産みの母より優しく、心許せる人」なのだ。そうした「関係の原点」が、担当看護師として、それこそ「ざっくばらんな話から、日常会話まで」とことん付き合ってくれた入院時代からの付き合いにある。「運命の人」との出会いとは、以外なところが原点である事が多い。破茶滅茶な「引き継ぎ紹介」が一応終わり、Hさんが「ツボ」から抜け出たところで、彼女からもう一度、別れの挨拶があった。「今日を持ちまして、私、HからMさんに担当が変わります。今まで本当に楽しかった!2人で勝手に盛り上がって、怒られたのも今となってはいい思い出です!だから、絶対に元気になって退院して!私からの最後のお願い。約束できる?」Hさんが真剣な眼差しで聞いて来た。「病気に負けるつもりは無いよ!時間はかかると思うけれど、また仕事が出来る様になって見せる!それは約束する。お世話になりました。今日までありがとうございます!」そう言って私から手を差し出した。「必ずよ!」Hさんはそう言って私の手を握って何度もうなづいた。そこへMさんが手を重ねて「私に任せて」と言った。「元気でね!後は知らないよ!」Hさんがイタズラっぽく笑って言った。それが彼女との別れだった。手を振って病室を出て行くHさん。「明日から、検温に来ますね」と言ってMさんも病室から出て行った。「会うは別れの始まり」Hさん、今でも看護師をしているのだろうか?あれからもう何年経つだろう?彼女の事は今も忘れてはいない。