limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

life 人生雑記帳 - 76

2019年12月15日 11時38分26秒 | 日記
第6章 社会人白書 2 ~ 川中島の決戦。“武田の騎馬軍団”奮戦!

鎌倉達のフライトの翌日。目覚まし時計を慌てて止めたが、「そうか、誰も居ないんだった!」と呟くハメになった。完全に“居ない”訳では無い。第1次隊の4直3交代勤務の連中は、依然として仕事を続けていた。9月末に纏めて“休暇”を取り、その際に“引き上げる”算段だった。恭子も千絵も田尾も、実家に帰っているのでインターフォンも静まり返っていた。休暇中は、社食も1社しか稼働しないので、注意せねばならない。後は、膨大な時間をどう過ごすか?だった。顔を洗って、社食へ行くために寮を出ると、木陰に美登里が居た。「おはよう」「待ちましたよー!いつまで寝てるんです?」美登里はご機嫌斜めだ。だが、それは大した問題にはならない。お互い“1度きり”と割り切った“関係”しか持っていないから、手を出す相手では無かった。社食で食卓に相対すると「不気味ですね。O工場から何も言って来ないなんて」と言うので「その内に“全面戦争”へ突入する!“帰して下さい!”って光学が平身低頭に出ても“帰すに及ばず!”って各本部長がはねつければ、否応なしに巻き込まれる!束の間の“平和”を謳歌するに限るさ!」「その、束の間の“平和”を謳歌する相手が、あたしじゃあダメ?」「ダメとは言わないよ。他に誰が居る?4直3交代の連中は動けないぞ!」「それなら、この後、付き合って下さいよ!あたし、職務に追われて、何処にも出掛けてないんですよ!」「それなら、どこへ行く?」「日南方面へ!日向灘のブルーの海が見たいんです!」「それなら、1時間後に行動開始だ。どっちの車を出す?」「女子寮のヤツを。ATの方が楽でしょう?」「だったら、UVケアを忘れるな!肌にダメージは残したくないだろう?」「“化粧しろ”なんて言われたの久しぶり!“すっぴん”が当たり前だから、意識から抜けてました。腕が鈍ってたらごめんなさい」美登里が恐縮気味に言う。“すっぴんでも、綺麗だけどな”と言いかけて言葉を飲み込んだ。迂闊な事は言わないに限る。キッチリ1時間後、寮の前に車が横付けされた。

「これ、お願いします!」キーを投げられて、運転席に座る。相当な“ポンコツ”だが、エンジンは元気だ。「時間が惜しいから、一気に出るぞ!」車は、溝辺鹿児島空港ICを目指した。薄化粧だが、美登里は見事に変身していた。タンクトップに薄手の羽織物、デニムのミニスカートにスニーカー。白い太腿に思わずハッとさせられる。宮崎自動車道へ入ると、給油のためにSAに停まった。「何か飲み物探してきます!」「いや、僕も行こう。1人じゃあ、持ち切れないだろう?」と言うと美登里が赤くなった。「“女の子扱い”してくれるんだ。あたし、こう言うの慣れて無くて・・・」「慣れればいいだろう?美登里は、美登里なんだから!」「優しいんですね。だから、みんなが放って置かない。こんな事に気づかなかったなんて、恥ずかしいです。“遊び回ってる”だけだと思ってましたから。先輩も、こんな気遣い見せてくれなかったし・・・」「噛み付いてばかりじゃあ、周囲は好奇な目でしか見ない。特にO工場ではな。でも、ここは違う。実力さえあれば上に行けるし、任せてもくれる。美登里だって、今の地位を自らの力で勝ち取ったんだろう?岩留さんの信頼も厚いし、品証でも1目置かれる立場まで昇り詰めた。ここなら、“個”を活かして活躍できるだろう?誰にでも出来る事じゃないんだ!自信を持て!そして、少しは洒落た姿を見せろ!呼ばなくても男達は寄ってくるぞ!」「思い切って良かった!“似合わない”って言われるのが怖かったけど、“女の子”として見てくれてる!あたしも、捨てたもんじゃ無いでしょう?」腕を絡ませると嬉しそうに笑った。「ああ、表面だけしか見ないのは、O工場の悪いクセだな。危うく、僕も見失いかけてた。大切な“レディ”として接さないとダメだな!」「うん!そうして!」美登里は、羽化しようとする“さなぎ”なのだろう。少しでも輝ける女性として羽ばたける様に、手助けするのも悪くは無かった。

快晴の日南は、“コバルトブルーの海”が輝いていた。「綺麗!何とも言えない解放感!身も心も洗われるわ!」美登里は、心行くまで海風に吹かれていた。少し、離れて見ると“女性らしさ”を感じることが出来た。イヤリングが、ネックレスが日を受けて煌めく。まるで、生まれ変わったかの様に。「こんな海は、感動するなー。先輩は何度目です?」「4回目かな?だが、その度に違う表情が見える。夕方になるとまた違う表情を見せるさ」「ふーん、誰と来たのか?聞かない事にしますね。今は、あたしだけのモノですから!」彼女は波打ち際に降りると、砂の中を探った。「あっ、綺麗な貝!“天使の爪”見たい!」無邪気な顔を見せているのは、心が洗われた効果だろう。少し離れた場所に座って、彼女を見ていた。「見つけましたよ!ほら、こんなに!」ピンクの貝殻を持って彼女も座り込んだ。「ちっぽけな悩みですよね。毎日、誰かに噛み付いて、我を通そうとして振り回して、あたし、今まで素直になれなかった。いえ、“ならなかった”です。“自分がやらなければ”って変な使命感があったんですよ。でも、この景色を見ると“なーんて、ちっぽけな使命感だったんだろう”って思えます。男性に対してもそうです。“上から目線で威圧して何なの?!”って突っ張って生きて来ました。拒絶して、見下して、懐こうともしなかった。懐いている女は“馬鹿丸出しだ!”って偏見持ってました。でも・・・、」「どうした?」「今こうして、先輩と座って居ても、何の違和感も無いんです。“男女7歳にして、席を同じくせず”が、モットーだったのに。呆気なく波に持ってかれた感じです。今、無性にしたい事があります。実行してもいいですか?」「何をやらかす?」と言った僕の唇に美登里が吸い付いて来た。舌を絡ませて甘えだす。「こら、ルール違反だぞ!」と言う傍から唇は塞がれた。「あたしじゃダメですか?」「前に“1度きり”と決めただろう?」「前は前です。自分に素直に従って見ただけ。したかったから、キスしただけです。本当は、もっとエッチな事も考えてます。行きましょうよ!好きなだけ好きな事が出来る場所へ!」「傷ついてもいいのか?」「充分に傷だらけ。その傷を忘れさせて!」素直な目で美登里は言った。言葉に嘘は無いだろう。「行くか?」僕は折れた。折れなければ、彼女はもっと深い傷を負うかも知れなかった。宮崎市内へ引き返すと、部屋を探して2人きりになった。「見て下さい。あたしの裸を」美登里は、自ら衣服を脱いだ。やや細身の身体が露になった。「元気ですね」彼女は息子を引き出すと、いとおし気に舌を使う。ベッドでお互いに、激しく求めあうのに理由は要らなかった。

どのくらい時間が経過したのだろう。すっかり眠っていたので、時計を探す。午後4時を過ぎた頃になっていた。美登里は僕の胸を枕に眠っていた。意外に寝顔が可愛い。普段は絶対に見られない顔だ。安心しているか、完全に落ちている。シーツを引っ張って裸体を覆ってやる。突っ張って、突っ張って生きて来た会社人生に、やっと終止符を打てたのだろう。狂ったように求めて来たのが、何よりの証拠。力を使い果たして眠る彼女が、一瞬可哀そうに思えたくらいだ。起こすのは忍び無いので、そっと髪を直してからもう一度目を閉じた。美登里と言えば“スッポン”の綽名を奉られている“手ごわい女”だった。とにかく、“妥協”の2文字を知らない事で有名だ。でも、それは表面の顔でしか無かった。彼女の本心は“女性として認められたい”一心だった。1人の女として、女の子として“認められたい”それだけだったのだろう。無心に眠る彼女は、やっと“解放”されたのだろう。不意に胸元が動いた。「う、うーん」美登里が目覚めた様だ。「良く寝てたよ」「そうですね。寝顔見られちゃった!」悪戯っぽく笑う彼女は、別人に見えた。軽くキスをすると、「お茶かコーヒーでも淹れますね」と言って起き上がった。湯を沸かしている間、ソファーに座ると、膝に座り込んで来る。「気持ち良かったー。本気で愛されると言うか、抱かれると何もかもフッ飛んでいきましたよ。まだ、頑張れます?」「底無しか?目覚めたか?」「両方です。どうせなら、泊まりません?割勘にすれば、お財布にも優しいし」「ここで、逃がしたら“後悔する”か?」「ええ、お風呂でも遊びたいし、もう1回はしたいから。先輩を独占できる唯一のチャンスなんですよ!」「随分とフッ切ったもんだな。突っ張るのは、もう止めるか?」「素直に思いを伝えて、抱いて欲しいだけ。あたしだって女ですから、快楽に浸りたい気持ちはありますよ」「並大抵の快楽じゃモノ足りないだろう?例えば、こんなヤツとか」僕はホールに2本指を入れてかき回してやった。「ダメー、出ちゃう!出る!出る!ああー・・・!」と喘ぎ声が高まると同時に、愛液が噴出した。更に指で突いてやると、止めどなく溢れ出した。「ダメ・・・、もう、狂っちゃう!イジワル・・・しないで」と言うと指に吸い付いた。「もっと、エッチな事して。もう、止まらないの」唇を塞ぐと、舌を入れて、手で息子を刺激し始める。「じゃあ、鏡の前に立って手を突くんだ。そうしたらこうする!」背後から突きを猛然と入れると、たちまち理性を失って喘ぎ声を出し始めた。「もっと!もっと!もっと!あー・・・、もっと犯して下さい」快楽の沼に引きずり込むと、彼女はズブズフに沈み始めた。「あー、イク・・・、いっちゃう!」と言うので、わざと息子を抜いて、横抱きにしてベッドへ押し倒す。息子を中へ潜らせると互いに激しく腰を使う。「イジワル!もっとよ!・・・もっと突いて!」理性を失った彼女は、快楽に浸ろうとおねだりを繰り返す。「あー、抜かないで!イク!・・・イッても・・・いいですか?いいですか?」フィニッシュは、中へ多量の液を注いでやった。「気持ち・・・良かった・・・、一杯・・・出して・・・くれたね」美登里は快楽の余韻に浸りながら、ピクピクと身体を震わせた。流れ落ちる液を指で身体に擦り付けると、放心状態でしばらく動けなかった。結局のところ、僕も美登里の身体に溺れてしまい。宿泊をする事になった。営みは熱く激しく続けられた。

宮崎に一泊して、国分へトンボ帰りした休暇2日目、O工場から城田が電話で“レスキュー”を要請して来た。「城田、この見えない状況下でどうしろってんだ?」「Y,済まんが知恵を貸せ!レール板のアルマイト処理が剥げるのを止められないんだ!」「レール板のアルマイト処理後の寸法は当たったか?」「問題無しだ。バラツキも許容範囲内だ!」「成形の型の磨きは?」「全て、池上さんがやったよ。ただ、これ以上の追込みは危険らしい」「オールネガティブか。型にセットする時に傷、すなわちアルマイトが剥げるんだろう?かなりキツイ状況か?」「ああ、どうやっても剥げるのを止められない!」「成形型の温度設定は?」「105℃だよ」「城田、“ダメ元”なら考えが浮かんだぞ!型の上でレール板を暖めて見ろ!アルミなら熱伝導率が高いから、1サイクルが完了する頃には、僅かに膨張するはずだ!100分の数ミリでも膨張すれば、どうにかなる!分かるよな?」「なるほど!確かに僅かに膨らんでくれれば、儲けモノだよな!分かった!早速、トライして見るぜ!後、三井さんに代わるから、待ってろよ!」城田に代わって三井さんが喋り出した。「Y、完成ボディの検査方法なんだが、機械を動かしながら、目視検査する手は無いか?」「あれだけの穴と、ポストが立ってるヤツを見る方法か。現状はどうしてます?」「2人貼り付きで、機械操作と検査を分担してる!これを1人にしたいんだよ。Y,何かしらの閃きはあるか?」「無茶を振ってくれますね。帰ってたら“人質”にされそう、いや、“強制連行”されてますね!ハナから狙ってましたね?」「“まんまと逃げられた”から、知恵は出してくれないか?」三井さんも笑いながら言う。しかし、事は笑い事では無い!「うーん、目視で追うか・・・。そうか!“全部見なければ”道はあるかも!」「“全部見なければ?”どう言う話だ?」「5分割で追って行くんですよ!まず、“レール面側”を見て、次は“その裏”すなわち、ミラーボックスとの接合面だけを見る。“上面”と“下面”を見て、最後に“ヒンジ側”と“ロック側”を見る。これで1周しましたよね?」「そうか!1面づつ追って行くのか!最悪でも10個以内で捕まえるつもりだな?」「そうですよ。一度に全部は不可能ですから、順を追って見て行くしかありませんよ!無論、折れやすい場所を書いた“図面”を用意したり、品管の検査も入れなきゃ無理はありますよ。でも、これは、“現場で止める”のが最善策。ピン折れしたヤツだって、ドリルで加工すれば使う事も可能でしょう?ロスを最小限にするなら、これしかありませんよ!」「流石に切れ味は、衰えて無いな!この手の難問の答えをスラスラと言えるのは、城田にサンプルを送らせただけの事はあるな!ある程度、読んでただろう?俺達が“レスキューを要請する”と?!」「まさか、“本当に来る”とは意外でしたが、三井さんならあり得るだろうとは、予想はしてました。たまたま、留守にしなかったのが幸いしました?」「ああ、これでボディの生産に目鼻が付く!城田が“両手で丸”を出した!当たりだな!まだ、AFの精度やら、低輝度での安定性、標準レンズの完成なんかが残ってるが、いずれは“モグラ叩き”も終わる!Y,サッサと帰って来い!お前さんにやらせる仕事は山程ある!まず、“成形部門”へ異動だな。樹脂加工技術を学んで、チームを率いてもらう。お前さんなら、1ヶ月で成し遂げるだろうよ!これからは、デザインの自由度を高める必要性がある!自由で柔軟な発想が出来るヤツは、今直ぐにも欲しい!まあ、“期限”もあるから、中々早くとは言えんが、必ず戻って来い!じゃあまたな!」三井さんからの電話は切れた。「危ない!危ない!帰ってたら、“座敷牢”に押し込められてたぜ!」危うく難を逃れたが、思わず冷や汗を拭う事になった。

昼前になると、美登里が女子寮から談話室へやって来た。昨日は、快楽の溺れてしまい棒に振ったが(と言うより、彼女に夢中になったと言うべきか?)、本日は岩留さんが出した“宿題”のレポートを仕上げる予定だった。今日も美登里は、“女の子らしさ”を漂わせて来た。「宜しくお願いします」と言うと原稿を差し出す。「まず、データーについて教えてくれ。事業本部は同じだが、事業部としては“まるで違う”事をやってるんだ。予備知識も無けりゃどうしようもない!」「そうですよね」と言ってデーターの説明と岩留さんが命じた“趣旨”のレクチャーから始めた。レイヤー事業部の品証がまとめたデーターと、美登里が持っているデーターを基にして“客観的視点”から“不良問題の考察をまとめろ!”と言うモノだった。意外にハードルが高いのに驚いた。データーの解説を受けている途中で、昼になったので、社食へ行って食卓に相対する。「昨日は、ありがとう。やっと“普通の女の子”になれました。これからも、たまには付き合ってくれます?」「ああ、まずは“戦争”が終わったらな。美登里が来る前に、城田と三井さんから“レスキュー”の依頼が来た。どうやら、“モグラ叩き”に終始してる様だ。先は、まだ長そうだよ」「休み“返上”ですか?O工場も相当焦ってますね。先輩のところにまで、手が伸びて来ると言う事は、煮詰まって喘いでいる感じ?」「出口を探して東奔西走だよ。標準レンズもこれからだそうだ。先行きが不透明感に満ちているなら、時間を稼げる!帰省しなくて正解だった!危うく“座敷牢”に捕らわれるとこだった!」「“トラのアギト”に落ちる寸前ですか。あたしも助かってます。今日は、第3者の意見が聞けますし、2人で過ごせますからね!」すっかり心を開いた彼女は、やっと“普通の女の子”になっていた。寮に戻って、彼女がまとめた原稿に目を通し始めると、違和感にブチ当たった。「おい、赤ペンを貸せ!“誤字”“脱字”“かな送り間違い”のオンパレードじゃないか!どうやって入社試験をクリアした?」「学校推薦ですよ」「現国の時間は居眠りタイムだな!そうでなけりゃ、こんな間違いがあるはずが無い!」容赦なく修正を入れて行くと、原稿は赤字で埋まった。「酷い!真面目に勉強して置くべきだったわ」「もう、遅い!それと、部分毎に“辻褄が合わない”記述があるが、これはどのデーターを基にして書いた?」「えーと、これとこれです」「“客観的視点”ってあるのに“私的主観”が入るのはおかしいだろう?このままだと、岩留さんに“顔を洗って出直して来い!”って突き返さるぜ!下手でもいいから、論理を考え直せ!変なモノを出したら恥の上塗りになっちまう!」「先輩―、お手柔らかにお願いします!」「そうしたいが、これだと無理だ!さあ、分析から組み直せ!僕は広辞苑を借りて来る。ワープロで仕上げるにしても、下手なモノは打てないからな!」こうして、作業は敢え無く“振り出し”へと戻った。美登里が必死に論理を組み直し、僕がワープロに打ち込んで“清書”して行く。夕方になってやっと原型が仕上がった。「あー、何でこんな“宿題”背負わされたんだろう?」美登里が根を挙げた。「選ばれし者の悩みさ。それだけ、重要な地位に居る証拠だろう?期待されてるんだから、ちゃんと答えを出せ!」「先輩、膝に座らせてー」「もう直ぐ印刷が終わる。それまで待て!」感熱紙の束が吐き出されると、美登里は僕の膝に座り込んだ。「頭から、見直してみますね」と言って原稿に見入る。首に手を回すと“お姫様抱っこ”の様なポーズを取った。「うん、大分自分らしく分析出来ましたよ。修正箇所のチェックお願いします」と言うと頬にキスを入れた。「どれどれ」順を追って論理に目を通す。美登里はくっ付いたままだ。誰も居ない談話室に静寂な時が流れた。「2か所ばかり曖昧な言葉を使ってる箇所は“断言”してもいいかもな。自分で集めたデーターを根拠にして、言い切った方がいいだろう。その方が説得力が上がりそうだ」「何処を?」美登里は膝から降りると、指摘箇所に目を走らせる。「あー、そうですね。言い切ってしまえば、それらしく見えますね!」赤ペンで直しを入れて来る。ワープロのデーターを表示すると、直ぐに書き換えてやる。「これで印刷してもらえば“宿題”も終わり。助かりました」「自分の事じゃないが、国分で先頭を走る仲間としては、良い評価をもらってくれた方が、後々のためでもある。これからは、実力者だけが生き残る“サバイバルレース”なんだ。やるからには、完璧であってもらわないと割に合わない!」僕はインクリボンに切り替えて、“正本”を打ち出した。美登里は自販機から、缶コーヒーを持って来る。胸元がV字にカットされたノースリーブから乳房が見えて、ハッとした。昨日、手にした豊満な乳房だ。「見えてます?」「見せ付けてどうするつもりだ?」「誘惑して見ました。男性ならこんなのも“あり”ですか?」「見境無く襲われるぞ!相手を選べよ!」「先輩なら、大丈夫だから、こんな事してもいいでしょう?」彼女はプリーツスカートの前をめくると、バンティを見せ付けた。「仕事は終わりました。指で弄んでくれませんか?」美登里は誘惑を続けた。「中毒症状か?まだ、溺れたいのか?」「うん、溺れたいんです。あなたとならずっと。休みが明けたら、あなたは“愛しい人達”の元へ帰って行くでしょう?今の内に、横取りしたいだけ」と意に介す風が無い。印刷を終えると、僕等は車で外へ出た。城山公園に着くと、後部席で抱き合った。パンティを剥ぎ取ると、指を2本入れて弄んでやる。「ああ、もっと・・・かき回して!」少し、イジワルをしてじらしてから、指で突いてやると甲高い喘ぎ声を出して「出る!・・・出ちゃうー!」と絶頂に達して愛液をまき散らした。「お願い・・・、本物を・・・大きくて硬いのを・・・下さい」本性を現した彼女は止まらなかった。息子を中に入れて下から突き上げてやると、たちまち快楽の世界にのめり込んだ。「中へ!・・・中へ出して!・・・妊娠しても・・・構わない!」狂ったように彼女は言う。液は余さずに注いでやった。「出たね・・・、一杯・・・これが・・・好きなの」と言うと愛おしそうに息子に舌を這わせた。そして、「連れて行ってよ!・・・快楽の世界に。全部・・・、忘れさせて!」とねだった。美登里の望みを叶えるとしたら、今しか無い。僕等はモーテルに泊まり、激しく互いに求めあった。

休暇も3日目に入った。「今日こそは、真面目に考えを巡らせないとヤバイ事になりそうだ!」僕は、勤怠管理表の新規作成を始めた。返しのパートさんは、8月の初めに原田さんが加わり、お盆休み明けには更に2人が加わる予定だった。“武田の騎馬軍団”は、パートさんだけでも28騎に膨れ上がるのだ。そこへ検査の女性社員25騎とパートさん4騎が加わるので、総勢57騎の“騎馬隊”になる。僕と徳さんと田尾もカウントすれば、60騎を率いて行かねばならない。“安さん”からは“勤怠管理も含めた管理業務も、貴様が見ろ!徳永には別にやらせる事が山積みなんだ!”国主“なら、それぐらいは見て置くがいい!”と釘を刺されていた。つまりは、“雑務も含めて、後ろは全て貴様に任せる”と言う意味なのだ。徳永さんの当面の急ぎの仕事は、“新型自動整列機の設置と運用開始”に絞られ、9月からの本格運用を目指していた。“安さん”は、塗布工程にもメスを入れるべく予算取りも含めて動いていたし、後ろに比して遅れていた“前工程の改革”を急いでいた。後ろに比べると“設備投資”が必要な前は、どうしても人が頼りだったが、6月からの“反転攻勢”が順調に推移する事を追い風にして、一気に片付けようと目論んだのだ。そうなると、これまでの様な体制では、こっちも追いつけなくなるのは必定。新たな“戦略”が必要だった。「それにしても、“補佐役”を置かないと、全部を見るのは無理だな!」返しに新戦力が加わるとなると、育成にはどうしても人が要る。これまでの流れを維持しつつ、新人の育成を図るとなると、手が足りなかった。西田・国吉のご両名は、ウチの主力だけに手を止めるのは不可能。「だとすると、牧野・吉永のご両名と僕が教え込む以外に無いか?」と考えるが、検査と出荷に目が届かない。嬉しい悩みだが、同時に早期にクリアしなくては、9月を乗り切れないのは明らかだ。「まあ、神崎先輩と田尾にマメに動いてもらうしかあるまい!」当面はその手しか無さそうだった。だが、いずれは根本から“改変”しなくては、増産に追い付かなくなる。「朝礼を一体化するか?パートさんだけで無く、社員も意識付けをしないと変えられんな!」これまで、検査工程と出荷は、全体朝礼の後や日々の朝礼を省いていた。意思疎通は頻繁に取っていたので、これまでは問題なかったが、“1つの意志”を共有して動くとしたら、朝礼は必須になるだろう。それと、“信玄”が掲げた“疾きこと風の如く、徐かなること林の如く、侵略すること火の如く、動かざること山の如く、知り難きこと陰の如く、動くこと雷振の如し”を改めて掲示する事も決めた。「全ての基本は、ここにある。60人が一斉に動くとしたら、まとめるモノはこれしか無い!」戦国“最強”と呼ばれた武田の騎馬軍を1つにしたのも、この“孫氏の兵法”だった。「共通の物差しがあれば、我々は更に1歩を踏み出せるかも知れないな!」勤怠管理表の新規作成が終わる頃、考えは薄っすらと形に見えて来た。まずは、休み明けが勝負の分かれ目だろう。いつの間にか、昼になろうとしていた。着替えると社食へ行こうとしたが、「サニタリー品が切れそうだな」と思い出して、寮の車を出して、市内へ出かけてラーメンを食べた。久しく食べていなかった豚骨ラーメンは美味かった。

寮へ戻ると、美登里が出かける支度をしていた。「お友達に呼び出されて、実家にご招待だって!しばらく留守にするけど、我慢してね!」美登里は屈託の無い笑顔で言う。「そうか、行って来い。また、気分も変わるだろうよ」「でも、甘えに来るのは先輩のとこだけ。あたしの身体を知り尽くしているから」と小声で言うので「この底無しが!」と鉄拳を頭に乗せた。見た目はボロボロのカローラで、美登里が出かけると本当に1人になった。正確には、勤務中や寝ている連中も居るので完全に1人では無いが、話し相手は誰も居ない状態だ。「まあ、これもありだろう」そう言い聞かせると、荷物を持って部屋に入る。疲れもあって知らない内に眠ってしまった。夕方近くになって、管理人さんに揺り起こされるまで、完全に“落ちた”のである。美登里との逢瀬のツケは重かったらしい。「O工場から電話ですよ!」管理人さんの言葉に跳ね起きると、1階へ降りた。相手は長谷川だった。「Y、270AFが“お蔵入り”する事になったぞ!」「ほー、やっぱりか。4機種でボディを“共用”するんだ。生産には限界はあるよな!」「それも一因だが、“改造計画”が浮上してな。ペンタフラッシュと赤外補助光を加えて、上位機種として“再開発”する事になった。そこで、問題なのが赤外補助光の窓の材質と色なんだ!」「ボリカーボネイトに指定の赤の顔料を入れれば事足りるだろう?あっ!“窓だけ”に使うんだよな?」「それさ!25kgを発注したらどうなると思う?」「他に使い道が無ければ、ゴミにされちまうぞ!半分でも危ないな!だが、試作で使うから12kgを作ってもらうのが妥当だろうな」「やっばりか!それでも余ったらどうする?」「腹を括れ!余るのを承知でやらなきゃ、メーカーも納得しない!少しでも余計に増量して、持ち掛けろ!手間は一緒なんだからな。それと、図面に“色合いと顔料の種類”を書き込んでくれ!もし、もし万が一発注するとしたら、何も分からなくなる恐れが高い!それだけは忘れんでくれ!」「了解だ!今、城田に代わるから、待っててくれ!」「Y、悪いがまた知恵を貸せ!」「しーろーたー!何も見えない中で、今度は、何を捻り出させるつもりだ?」「レールを引いた後に金属屑がシャッター幕に付着しちまう!バキュームで吸ってるんだが、強くすると幕も変形しちまうんだよ!何か手はないか?」「最終段階で引くんだから、ある程度は頭にあっただろう?それでも、手詰まりかよ!」「ああ、目下、お手上げ状態さ!」「クサそうなのは、静電気だな。アースは取ってるか?」「試したけど効果は薄いよ!」「そうなると、厄介だな。帯電防止処理とすれば、何だろう?レール板の裏に薄く塗料を吹き付けたらどうだ?帯電防止の塗料を薄く塗るんだ!」「おー、その手があった!早速手を回すぜ!塗料なら初期段階で噴いて置けば、組立の邪魔にもならないし、シャッター幕も帯電しなくて済むかも知れん!一石二鳥なら、儲けモノだ!Y、ありがとな!じゃあまたの機会に」と言って電話は切れた。「“モグラ叩き”は、1つ1つ潰す作業。後からまだまだ出るだろう。後、1ヶ月半は、続くだろうな。その隙にこっちは“残留”を目指す!精々叩いて歩いてくれ!」そう言うと、着替えて社食へ向かう。1人で食す食事は寂しいものだ。寮に帰ると、管理人さんが「電話がありました。折り返し連絡をして欲しいとの事です」とメモを差し出した。番号に見覚えなど無い。ただ、地元である事は、市外局番が書かれていない事から推察が付いた。どうするか悩んだが取り敢えずかけて見た。「Y、生きてた?」「みーちゃん!もう、帰って来たの?」「うん、Yが“日干し”になってると思ってね!今から迎えに行くから、泊まる支度して待っててよ!」「本当に“暮らす”つもりだな!親不孝者め!」「いいじゃん!Yと2人で過ごすのが予定だもの。1時間後に行くから待ってなさい!」みーちゃんが本当に戻って来るとは予想していなかったが、今は、心から救われた気分になった。迎えのRX-7が来るまで1時間。僕は、慌てて支度にかかった。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿