limited express NANKI-1号の独り言

折々の話題や国内外の出来事・自身の過去について、語り綴ります。
たまに、写真も掲載中。本日、天気晴朗ナレドモ波高シ

life 人生雑記帳 - 42

2019年07月17日 06時03分22秒 | 日記
梅雨が明けた1週間後、“向陽祭”の幕が開く日になった。昨年同様に、空は晴れ渡り“灼熱地獄”の元での開催となった。僕等の“総合案内兼駐車場係”の本部も昨年同様に昇降口の奥に設営され、無線機と仮設内線の前には山本と脇坂の両名が陣取った。少し奥まった場所に“責任者”の椅子があり、僕はそこを“根城”に指示を送る事になった。両脇には、さちと西岡の椅子があり、西岡の隣には上田が座った。彼女には“全てを見聞きして置く”使命があった。来年は、上田が僕の代わりに“責任者”となり、全てを取り仕切るのだ。僕も含めて、上田達3期生と4期生の教育については“最重要課題”として位置付けがなされており、さちと西岡も時間を割いて教育に当たる事になっていた。昨年と違う点は、“精鋭部隊”が集められており、事実上の“原田後の新体制”を形作る人材が集っている事だった。長官と僕が、4月の段階から上田達に命じてかき集めた“次期主力部隊”で構成された係員達を任務を“隠れ蓑”にして、徹底して鍛えるのが今年の目的であった。“太祖(1期生)の世に復する”ための第1段階とも言える事だが、“新閣僚人事”の“内定”も既定路線で進める必要があった。既に、上田の“副会長”や山本と脇坂の“入閣”は決定しているが、石川や本橋をどのポジションに就けるか?などは、適性を見極めてから“内示”する事になっていた。係としての任務に加えて、“人事案”までを決めなくてはならないのだから、僕もピリピリとしていた。「Y、おはよう!今年も宜しくな!」坂野、飯田、今野、小松、宮崎、吉川の6名がやって来た。昨年、A班として苦労を共にした戦士達だ。「おう、今年も頼むよ!我々の背中を後輩達に見せつけてやってくれ!」6人それぞれと握手を交わす。「やっぱり、ここはお前さんが居ないと締まらないな!留年して来年に備えたらどうだ?」坂野が冗談を言う。「無茶を振るなよ!僕は留まるつもりは無いぞ!」と笑い飛ばすと、ピリピリしていた空気が和んだ。「いいか!“陣頭指揮”は認めんぞ!原田からも“Yを外へ出すな!”とくどい位に言いつけられてるんだ!くれぐれも“責任者”の椅子から離れるなよ!」宮崎が先制攻撃をかけて来た。「やれやれ、今年も“監視付き”かよ!」とボヤくと「当たり前だろう?!そうしないと指揮系統に乱れが出る。真面目な話、昨年よりも厳しくなる事は目に見えてるし、万が一に備えるのは“責任者”の義務だ!それをやってのけられるのは、お前しか居ないんだから腹を括れ!」と飯田も言う。「OK、分かったよ。外へは出ないし、“陣頭指揮”も執らない。僕の代わりに後輩達を指導してくれ!恐らく、来場者は昨年の倍になるだろう。酷なことも命ずるかも知れないが宜しく頼んだぞ!」僕は頭を下げた。「だーかーらー!それがダメなんだよ!司令官が部下に頭を下げちゃいかん!俺達は、Yの元で最後の戦いに臨む事を誇りに思って来てるんだぜ!どんな命令でも遠慮無く言い付けろ!たとえ火の中水の中!縦横無尽に戦う覚悟は出来てる!お前は司令官として、毅然とした態度を後継者に見せつけろ!どう足掻いたって、来年は俺達は手出し出来ないんだ。伝えることはお互いに精一杯伝えればいい!」と坂野が言う。「そうだな。大きな“遺産”を残さなきゃならないな。精一杯伝えようじゃないか!僕等のスピリッツを!」6人が黙して頷いた。2期生として“最後の戦い”に臨む戦士達に言葉はいらなかった様だ。「さて、今年の陣形と各メンバーを再確認しよう!Y、最終のメンバー表をくれないか?」宮崎が言い出した。「多少の修正が入っているから、そこを見逃すな!要は、“クローズ作業”を如何にしてスムーズに進めるか?だよ。警備部門との連携も含めてな!」僕はメンバーの一覧表とシフト表を配布した。「了解だ!無線機も出してくれ。準備が良ければテストコールから始めよう!どの道、正門へ行かなきゃならんからな!」飯田が早速準備にかかる。「脇坂、通信回線を開けろ!テストコールから始めよう!チャンネルは19にセット!」僕が命ずると「了解、回線オープン!チャンネル19番にセットします!」と脇坂が復唱した。振り返ると、上田が早速ノートに筆を走らせていた。「いよいよ始まる!全てを見聞きして体に叩き込め!」「はい!」上田の追撃も始まった。「参謀長、8時15分になりました!各隊の集結は順調です!」山本が点呼の状況を知らせて来る。「よし!遠藤を呼べ!」第1陣の指揮官である遠藤を僕は招集した。「坂野、準備が整ったら正門へ!」「了解だ!俺達は先に出るぞ!」坂野達は、正門へ展開するべく出発して行った。「参謀長、第1陣女子軍の集結は完了しました!」遠藤が進み出た。「無線機を受け取って、テストコールから始めろ!化粧は抜かりないな?」「はい、いつでもOKです!」遠藤は涼しい顔で答える。「山本、8時30分になったら、全員を整列させろ!戦場になるぞ!」「了解です!30分になったら、参謀長の前に整列しろ!係員の集合が遅れているクラスは速やかに出頭させろ!」山本が係員に告げて回る。「さち、西岡、始めるぞ!」2人は頷いた。本部前は出陣に向けて慌ただしく動き出した。「始まったな。もう止められんぞ!ここからはノンストップだ!」上田も眼を合わせて頷いた。最後の“向陽祭”の幕は切って落とされた。

形通りの¨訓示¨を述べて、遠藤が率いる女子隊を配置に向かわせると、内線が鳴った。「参謀長、会長からです」脇坂が受話器を向けて来る。オープンマイクのキーを叩いてから「原田、おはよう」と言うと「よし、よし、坂野と宮崎の言う事を聞いたな!まずは、一つ懸念が消えたよ」とホッとした声が聞こえた。「それだけじゃないだろう?問題は何だ?」僕が切り返すと「警備員に欠員が出てる!池野と市野沢のクラスだ!そちらから人を回せるか?」「相変わらずやってくれるな!あの¨陰険禿¨どもは!足りない人数は?」「当面4人だ!何とか手を貸してくれ!」「よし、飯田隊から4名を振り向ける!だが、2時間以内に戻してくれ!こっちも戦場になるのは分かるだろう?」「ああ、分かってる。だが、あの2人に反旗を翻されたままと言う訳には行かない!¨プラン1¨を発動してくれないか?」「早くも発動とはな。¨悪い予感は良く当たる¨と言うが、校長の¨金字牌¨を手に入れて正解だったな!いいだろう。¨プラン1¨を発動する!ついでに悪いが、佐久先生も寄越してくれ!¨陰険禿¨達に背負い投げをお見舞いしたいんでね!」「了解だ。直ぐに向かわせるよ!」そう言って原田は内線を切った。「石川、3名を連れて警備の応援に向かえ!無線機のチャンネルは14番だ。脇坂、坂野を呼び出せ。正門前の状況を知りたい」「はい、坂野先輩、応答願います」「参謀長、では、行って来ます!」石川が引き締まった顔で言う。「2時間経過するか、欠員が到着したら直ぐに戻れ!お前達には、山ほどの¨課題¨が待ってる。ウカウカしている暇は無いぞ!」「分かってます。なるべく早くケリを付けて下さい!では行きます!」石川達は走って現場へ急いだ。「参謀長、正門前ですが、既に15台の車が待機しているそうです。坂野先輩、宮崎先輩以外は、校庭に集結中です。開門時間を早められないか?と言ってます!」時計の針は8時40分を指していた。開門予定は、8時50分だから余り渋滞させると事故の危険性が高まる恐れが見えた。「脇坂、坂野に伝達!8時45分を持って開門させろ!遠藤達には¨奥から詰めろ¨と命じろ!山本、第2陣を至急召集!本部前に整列させろ!」「はい!」2人の声が重なる。僕は、内線を取ると原田を呼び出した。「正門前が渋滞し始めてる。開門時間を5分繰り上げるぞ!」「了解、Y、予想以上に出足が早いな。戦場になるぞ!」「手は打つよ!昇降口は、9時になるまで開けないから、残り15分で立て直してくれ!」「爆竹を忘れるな!破裂音を合図に、全系統が動き出す。15分あれば間に合うだろう。池野と市野沢も片付けられるさ!」「佐久先生が来た。後はお任せだ!」僕は受話器を置くと¨金字牌¨をブレザーの懐から取り出して、先生に渡した。合掌してから、更に拝礼をすると恭しく¨金字牌¨を手にする。「池野と市野沢か!不埒者めが!Y、ごちゃごちゃ言って来ても相手にするな!¨親父¨が書いたからには、誰も逆らえんのだ!まずは、俺が一発お見舞いしてやる!お前達も仕掛けはあるんだろう?」佐久先生は沸騰して言う。「はい、当該クラスを蜂起させますよ!叛いたからには、それなりの報いは受けてもらいます!」僕はさりげなく言う。「蜂起か!いいだろう、思う通りにやれ!背信したのは、アイツらだ!校長に逆らうとどうなるか?を思い知らせてやれ!」佐久先生は、東校舎へ向かった。「脇坂、内線を放送室へ回せ!」「はい、どうぞ」僕は受話器を手にすると、オープンマイクに切り替える。「滝、悪いが至急“WE WILL ROCK YOU”を全校に流してくれ!特に1年4組と6組のスピーカーは全開でな!」と言った。「何があった?」「池野と市野沢が役員の出し惜しみをしてる!1年生に蜂起を促すのさ!」「あの“陰険禿”達を懲らしめるのか?まあ、そりゃあいいが、お前さんの責任問題になるぞ!」と滝は言う。「心配は無用だ!こっちには“校長の金字牌”がある!“彼の命令は、我が命令と心得よ”って一筆書いてもらってあるんだ。“陰険禿”を追い返す力はあるさ!」「了解、それならいい。思いっきり流してやるか!待ってろ!1分以内にやってやる!」僕は受話器を置くと「1年生!クラスに戻って蜂起の準備にかかれ!4組と6組をジャックして、警備要員を連れ出せ!」と命じた。「ズンズンチャ!ズンズンチャ!」“WE WILL ROCK YOU”独特の出だしが流れ出した。「手の空いている者は、曲に合わせて騒げ!」僕が命ずる間もなく合唱が始まった。“WE WILL  WE WILL  ROCK YOU”を連呼して拳を振り上げる。曲としては短い部類に入るので、滝が巧みにリピートを入れてくれる。1年生達は、教室へ戻ると仲間と共に4組と6組の教室へ雪崩れ込んで「警備要員を出せ!」と騒いだ。池野と市野沢の両担任は、佐久先生の十八番である背負い投げを喰らって、したたかに腰を床に打ち付けられた挙句、乱入してきた生徒達に踏みつけられた。2人は悲鳴をあげて警備要員を出してから、ヨレヨレになって教室から逃走した。暫くすると、脱兎の様に走って行く1年生4名が本部前を駆け抜けた。「脇坂、放送室へ連絡!8時55分を持って“WE WILL ROCK YOU”を停止。通常のBGMへ切り替えさせろ!」「了解!」脇坂は内線を取った。しばらくすると、脱兎の如く走り去った生徒の後を追う様に腰を擦りながら池野と市野沢が来た。「Y!貴様どう言う魂胆だ!」「教師を舐めると、どうなるか?を思い・・・」と言う2人の鼻先に僕は¨金字牌¨を突き付ける。「ゲ!まっ、まさかお前もか?」絶句する2人に“水戸黄門の印籠”の様に書状を開くと「私の言葉や指示は、校長の言葉や指示ですよ!従えぬなら謹慎してもらいますよ!」と鋭く視線を合わせた。池野と市野沢は返す言葉すら失って、うなだれた。「山本、脇坂、ビーニールの紐とガムテープで後ろ手に縛り上げてから、眼と口も塞げ!そして、階段下の物置小屋へ放り込め!鍵はプールにでも投げ込んで置け!」僕は吐き捨てる様に命じた。「では、失礼します」2人は言われた通りに池野と市野沢を監禁した。「Y、8時55分よ!」さちが時計を指して言う。BGMも“グランドオープン”に備えて爽やかな曲に替わった。「本橋、爆竹点火用意!」「はい!」電子ライターを手に本橋は中庭へ出た。「さち、カウントダウン。西岡、上田、グランドオープンだ。配置に付け」僕は随員を伴って昇降口の前に出た。「3、2、1、点火!」午前9時きっかりに爆竹が轟いた。「お待たせ致しました。¨向陽祭¨グランドオープンでございます!いらっしゃいませ!」西岡が淀み無く開会を宣言した。「総員戦闘体制を取れ!戦場になるぞ!」僕は無線機で全員に告げた。2日半に渡る死闘の始まりだった。

出だしは多少の混雑があったが、30分もすると落ち着き出した。「脇坂、坂野に伝達!遠藤隊を引き上げさせろ!スタートは切り抜けたから、もう良いだろ。スペースが足りなくなったら、¨拡張プラン¨を実行しても構わないと言って置け!」「はい、その件は坂野先輩から報告が入っています。現在、約半数が埋まっていますが落ち着いているそうです。“山場”は午後になるだろうとの事です!」「よし、9時55分を持って坂野隊は撤収!以後シフト表に従って随時後続隊を送り込め。山本、そっちは任せるぞ!」「はい!」2人が合唱した。「さち、遠藤達が引き上げて来たら、水分補給と化粧直しを見てやってくれ」「あーい。その後は、ずっと“コンシェルジュ”だよね?」「そうだ、西岡は空き時間に“人事案”を検討し始めてくれ。大変だろうが宜しく頼む」「心得ました。まず、男子連中から手を付けます」と言うと西岡は動き出した。「参謀長、これで一先ずは安心ですか?」上田が聞いて来る。「坂野は“午後”だと言っていたが、山場は恐らくこれから。11時前後に来るだろう!そして、次の山が13時前後に来る!今は“嵐の前の静けさ”に過ぎない。聞いて置きたい事があるなら、今の内に済ませてくれ!」「はい、ではお聞きします。何故“金字牌”を2通も用意されたのですか?」「池野と市野沢の“陰険禿”達が叛くのは察知してたからさ。最終の役員・職員打合せ会議の席上、原田が“警備員の増員”を要請した時に、明らかに不服そうな顔をしてたからな。会議が終わってから、原田に“陰険禿2匹が不満げにしてたぞ!”と耳打ちしたら“何か封じ込める手は無いか?”と問われて“校長に一筆書かせればいい!後は、佐久先生の手を借りれば事足りる”と言って、校長に要請させたのさ。“金字で校長印も押印して下さい”って言わせてな。校長も“金字牌”と言えば岳飛だ。だが、君を秦檜にはさせぬ!これは、私の勅命だ。私に成り代わって事を進めよ“と言ったぐらいだから、校長も抜かり無く見てたらしい。まあ、来年もあの2匹には気を付ける必要があるって事だよ!」「あのー、”岳飛“と”秦檜“ってどう言う例えなんですか?」上田はこめかみを押さえつつ言う。「南宋の始まりと金との対外関係について、掘り下げて学習して見ろ!苦手なのは分かるが、教科書の表面だけが全てでは無い。自分で調べた歴史や故事は忘れないものだ。校長クラスを相手に渡り合うには、この手の話に着いて行けなくては困るんだ!どうしても分からなきゃ”補習“を組んでやるが、その代わり手抜きはするつもりは無いぞ!」「はーい、分からない例えは別のノートに書き写してあるんです!参謀長、”補習“をお願いします!」「夏期講習の時に付き合ってやる!他には?」「これなんですが、¨禿げ禿げと、チョーク投げ合う宴かな¨と¨全斗煥、ビール飲んだら戸塚宏¨って、どう言う事です?」「誰に聞いた!」「西岡先輩ですが?」「ちっ!西岡のヤツ口が軽すぎる!佳奈、今直ぐに消し去れ!他人に見られたり聞かれるとマズイ事になる!」僕は上田をたしなめた。「何故です?なんか面白そうな裏があるんですが?」「職員の宴席での出来事を捻って詠んだヤツだから、我々生徒が知り得ない事なんだよ!知った以上は仕方ないが、公式の記録からは抹消しろ!今、直ぐにだ!」僕は慌てて消させ様としたが、1歩遅かった!上田のノートがつまみ上げられたのだ!「フッ!は、は、は、は!コイツは傑作だ!Y、お前達はあらゆる面で才能があるし、抜かりが無い!池野と市野沢は何処だ?」佐久先生が涙目になって笑い転げた。「階段下の物置小屋に監禁してありますよ!多少暴れてますが」僕は佐久先生からノートを取り返すと階段を指した。「よし、¨親父¨の命令で¨向陽祭に出すに及ばず!官舎に閉じ込めろ!¨と言われて来た。連行するから鍵を貸せ!」佐久先生は大型の台車を持って来ていた。鍵を渡すと、¨陰険禿¨2匹がじたばたと暴れている。「さて、大人しくさせるか!」と言うと頸動脈を軽く締めた。たちまち2匹はぐったりとする。「大丈夫、¨落ちた¨だけだ。しかし、お前達も容赦無しだな!普通はここまでやらんぞ!」と先生は呆れて言う。「学校行事に協力しないんですから、当然の報いですよ!」僕は一蹴で片付けた。「さっきの句もそうだが、お前達は¨大胆不敵¨であると同時に、必ず¨観察¨を怠らない。何があっても切り抜ける¨手¨を用意しているな。こうした事は、必ず引き継いで置けよ!¨正しい遺産¨はキチント残して行け!まあ、お前達と同等とは行かんだろうがな!」佐久先生は台車を押しながら言う。僕は静かに頷いた。後ろ姿を見ながら「佳奈、分かっただろう?理解のある佐久先生だから、笑い事で済んだが教職員全員がそうとは限らない!誰なら¨味方になってくれるか?¨普段から見定めるのが大切だ!¨モニタリング¨を怠るな!」「はーい!次はいつ抱っこしてくれます?」急に佳奈が小声で聞いて来る。「この、あまちゃんが!当分先だ!」と軽く拳を頭に乗せると彼女は、ペロリと舌を出す。でも「なるべく早くね!」と注文も忘れなかった。佳奈との関係を他人に知られるのは勿論、西岡との関係も知られるのは、避けなくてはならない。今のところは心配は無いが、何れにしても¨薄氷を踏んで進む¨様なものだ。僕は深呼吸をすると椅子に座り直した。「参謀長!坂野先輩からです!緊急事態の模様!」脇坂が平和な空気を切り裂いた。「坂野、何があった?」僕は直接交信に割り込んだ。「Y、校庭が満車になった!俺の予想では、こうなるのは午後イチと踏んでいた。¨拡張プラン2¨を発動していいか?」坂野の声は微かに震えていた。「いいだろう!と言うか、車が溢れてるんだろう?否応なしにやらなきゃダメだ!後、30分だけ踏ん張れ!そうすれば、校庭に隙間が出来るはず。¨拡張プラン2¨の並びに切り替えれば、校庭の収容台数も2割増しになる。今は車道の端を使って凌いでいい!」「了解だ!Yは予測してたのか?」「昼前に最初の山が来るとは踏んでた。だが、同時に引きも来ると踏んでた。だから、30分だけ踏ん張れば、午後イチに備えられると思った。今日は¨拡張プラン2¨で凌げるが、問題は明日の展開だよ!戻ってから検討しよう!」「了解!¨拡張プラン2¨の発動を確認してから戻る。交信終了」「山本、総来場者数は分かるか?」「はい、既に昨年のピーク時に達しています!午後になれば更に増えるでしょう!」「脇坂、会長に¨昨年のピークを越えた¨と伝えて置け!こちらは¨手一杯だ¨ともな!」「分かりました!」脇坂は原田に内線を繋いだ。「Y、明日は具体的にどうするつもりだ?」坂野達が戻って来て言う。「¨拡張プラン3¨を発動するしかあるまい。校庭の東側へ駐車場スペースを広げる!同時に、車間を詰めて面積を稼ぐ!シフト表の最後の方のページだよ。会長も承認をしてるしな」「これか!かなり思い切りがいいが、人手が足りなくならないか?」飯田が懸念を示す。「その為にわざわざ¨予備班¨を編成してあるんだ!明日は、投入出来るありったけの人員を出すさ!班編成は、こうするつもりだよ!」僕は、新たな編成表を差し出した。「なるほど、この手がありか!サブリーダーを校庭に置いて、誘導を担わせる訳か。だが、これでもギリギリだろう?」宮崎も言う。「確かにそうだが、1日中満杯とは限らない。ギリギリだが回せる範囲に収めるしか無いんだ!最悪は、正門の前まで使えばいい!要は¨出入り¨に支障が無ければいいんだ!」僕は坂野達を説得する様に言った。「まあ、そうだな。最悪は回避できるとは思うが、今年の出足を見る限り、ある程度の想定は必要性があるな。Yがここまで腹を括ってるなら、俺達も出来る限りの働きはしなきゃならない!おい!確認に行こう!最大限度を見定めるぞ!」坂野達は、図面を手に立ち上がった。「ボトルを持って行け。確認が取れたら休んで¨クローズ作業¨に備えてくれ!」僕は、6人にボトルを手渡すと、休憩する様に言った。「ちょっとだけ出て来るぜ!後は、俺達なりに¨作戦¨を考えてみる。Yにばかり¨おんぶに抱っこ¨って訳にも行くまい。お前さんには、他にも思案しなきゃならない事は山の様にあるんだし!」宮崎が返して来る。「頼んだぞ!現場は、そっちで回してもらわなきゃならないからな」6人の戦士達は、軽く拳を挙げると灼熱の空の下へ向かった。「アイツらが居るから、安心してこっちは動ける。佳奈、アイツらの様に¨信の置ける者¨を探して置けよ!」「はい!信頼関係の構築も含めてですね?」「分かって来たらしいな」僕と上田は笑って戦士達を見送った。

坂野達が再度引き上げて来た頃、来場者の出入りも一応の落ち着きを取り戻した。“山場”は1つクリアした事になる。「参謀長、“メディカルチェック”のお時間です!保健室へどうぞ!」西岡が恭しく言う。「なんだ?そんな話は聞いてないぞ!」僕が色を成すと「校長からの“極秘命令”が出てるの!あなたの体調管理のためよ!」と丸山先生が本部席の前に仁王立ちしている。知らぬは自分だけの様だった。「あー!外堀を埋めたな!聞いてないぞ!」通用しないと分かっていてもボヤキは口を突いて出る。「Y、後は任せて休憩して来な!」さちも釘を打って来る。「あたしも居ますし、上田も見てますからご心配なく!」西岡にも追い打ちを喰らった僕は、肩を竦めると保健室へ連行された。丸山先生は、保健室へ僕を連れ込むと個室へ入れた。「ベッドに横になって居なさい」と言うと厳重に鍵をかけた。背筋に冷たいモノが流れた。彼女は¨年下趣味がある¨と聞いた事があったからだ!「まずは、血圧と体温からね!」と言うと、僕にシャツを脱ぐ様に促す。上半身が裸になると、馬乗りになり唇を重ねて来た。「さあ、坊や。大人の身体を教えてあ、げ、る、わ!待ってなさい!」もどかしげにノースリーブを脱ぎ、ブラを外すとふくよかな乳房に僕の手を導いた。着痩せするのだろうか?弾力がありつつも柔らかい。「どう?触り心地いいでしょう?次は熱いところをかき回して!」パンストとスキャンティを片足に残して、僕の手を下へ持って行く。熱く湿り気を纏っている下半身をかき回してやると、直ぐにぐちゃぐちゃになり、あえぎ始める。「坊や、突いてちょうだい!早く!」ズボンとトランクスを大急ぎで脱がせると、彼女は僕に股がり激しく腰を使い始める。佳奈よりも絡み付く感触がずっと強い!下から突き上げてやると、あえぎ声が高まった。「どう?いいでしょう?もっと激しく突いてちょうだい!」彼女は、気も狂わんばかりに声をあげてねだる。僕は後ろに回ると、腰を思い切り動かしてやる。あえぎ声が更に高まり、彼女は¨教職¨に在る事すら吹き飛ばした。「中よ!中に!出して!」白い体液を余すこと無く注ぐと、ぐったりと横たわり余韻に浸る。「合格よ。坊や、もっと出来るわね?」先生が1度で満足するはずが無い。2回戦は¨前から¨脚をM字に開かせて始まった。突く度に絡み付く感触に病みつきになりながら、ひたすらに腰を使い突いてやる。目の前に居るのは¨ただの女性¨に成り下がった¨丸山恵美子¨その人だった。一際声が高まると、抱き付いて来て唇をかさねる。「今度は、あたしが動いてあげる!」上下逆転すると、恵美子は激しく腰を使いあえぎ声も激しくなった。「気持ちいい!出して!もう1度よ!」一際絡み付く感触が強まると、僕は我慢の限界を越えて白い体液を中に注いだ。痙攣しながら恵美子が抱き付いて来る。体液を指先ですくうと1滴も余さずに味わう。「あなたが最後の獲物よ。あたし、ずっと狙ってたの。これで思い残す事は無くなったわ。坊や、あ、い、し、て、る!」恵美子はまた唇を重ねて来た。両手で乳房を握るとピクピクと痙攣し始める。「ダメー!もっ、漏れちゃう!」乳首をクリクリと刺激すると、腰がガクガクと震え始める。「出しなよ!」と言って更に熱い穴を触ると「ダメー!出るー!」と叫ぶと、飛沫が飛び散る。僕の腕もびしょびしょになった。「また、したくなっちゃたじゃないー!」恵美子は、また僕に股がり腰を思い切り動かしてあえぎ悶えた。何のための¨メディカルチェック¨なのか?もはや分からなかった。3回戦を終えると、恵美子は丁寧に僕の身体を拭いてくれた。そして、1学期を以て¨退職する¨と言った。秋にはウェディングドレスを着ると言う。「あなたを最後に抱けて良かったわ!あなたが、もう5年早く生まれてたら、逃さなかったけどね!」丸山先生に戻って、僕の身体を調べながら耳元で囁く。「お相手は、年下ですか?」と言うと恥ずかしそうに頷いた。「¨最後の生徒¨に選ばれたのは、光栄ですよ」「そう?あなたは変わってるわね。襲われて¨光栄だ¨なんて初めてよ!何処かで、あたしの事意識したなー!」先生は拳を頭に乗せる。「教師と生徒。ありがちな事でしょ?」「ふむ、あたし残ろうかな?あなたの事を待っているのもありかもね!」「いずれにしても、解放して下さい。余り留守にも出来ませんから」僕が時計を見ながら言うと「あっ!ごめん!疑われたらマズイよね!」と言って保健室の鍵を開けた。本部は何事も無かった様に動いていた。「調子がいいからと言って、無理はダメよ!去年の¨二の舞¨になりたく無かったら、あたしの言う事も聞きなさい!」わざと聞こえる様に言って、保健室から送り出してくれる。「参謀長、目下、異常ありません!」上田が報告をした。「よし、次は午後イチが山だ!」保健室の方向で丸山先生が笑顔で手を振る。実際、彼女は1学期を以て¨退職¨して、家庭に入った。今頃は、孫に囲まれて居るだろう。「参謀長、¨山¨が来た様です!今野先輩が¨キャパを越えるかも知れない¨と言ってます!」脇坂の声が少し上ずって居る。「今野に伝達!¨1cmも無駄にするな!そうすれば、その分3台は余裕で止められる¨とな」「はい、今野先輩!応答願います」「さて、最難関を突破するか!」他人事の様に僕が言うと、張りつめた空気が微かに和んだ。「これからが¨本番¨だ!本橋、爆竹を用意しろ!景気よく爆発させろ!」「了解、さち先輩、カウントをお願いします!」「12時キッカリに打ち上げよ!OK、後、1分よ」「盛大に打ち上げろ!まだまだ先は長いんだ!」爆竹の轟音が轟いた。初日はやっと折り返し地点を過ぎたばかりだった。

life 人生雑記帳 - 41

2019年07月08日 16時12分52秒 | 日記
6月に入って、梅雨の晴れ間を縫って校庭の測量が開始された。使用できる面積は全体の約半分。ここに、およそ100台前後の車を押し込まなければならない。「100台は、ちょっとキツイかも知れませんね!」脇坂が実測を終えて言う。「いや、ギリギリまで詰めれば120~130台は行けるはずさ!常時100台が、まとまって居るとは限らない。実質的には、これだけのスペースを割ければ充分だ!」僕はそう言うと測量の成果を強調した。背後には、ぴったりと上田が張り付いている。彼女は、僕のやり方を見定めようとして、一挙手一投足を逃すまいと懸命になっていた。“参謀長補佐”として必死に喰らい付いて来る。山本は測量結果を校庭の図にプロットする。「これで完了ですね?」「まあ、こんなもんだろう。あまりぎっしり詰め込んでも、出入りが出来なくては話にならない。多少の余裕は必要だよ」「でも、多少詰めればあとを20台ぐらいは行けますよね?」「それはそうだが、あくまでも非常用だ。最初から無いモノとして考えよう」「参謀長、ちょっとアバウトではありませんか?」上田が突っ込んで来る。「いや、これくらいが丁度いいんだ。少し余裕がある方が、後々楽な展開に持ち込める。来場者が全員“キャデラック”で来るなら話は別だが、軽自動車で乗り込んでくる来場者もいるはずだ。実際には、これで充分だよ!」僕はそう言うと、校庭の測量打ち切った。昇降口の方向へ歩き出すと「今回の結果は、来年に生かせますよね?」と上田が言う。「後はこれを元に、多少の修正をかければ、それで充分通用するはずだ。問題は誘導員の配置だな。人数的には余裕で間に合うはずだ!」「はい、今年は大規模に動員をかけてあります。昨年のような苦戦を強いられる心配はありません!」上田は自信を見せたが「予想外のことが起きなければな。大概、何かしらの問題は起こるモノだ。そこを見極めるのが、指揮官としての大切な事なんだよ!臨機応変、水の如く姿形を変えて対応する。これが極意だろうな。上田!よく覚えておけ!」「はい!」彼女はすぐさまメモを取る。教室へ戻ると、さちと西岡のシフト表作成作業も佳境を迎えていた。「昨年の経験者は、優先的にリーダーに抜擢しましたが、やはり穴が空くのは仕方ありませんね!」西岡がため息交じりに言う。「足りない人手はどうやって補うの?」さちも不安そうに言う。「1日目の鼻、早い時間帯に女性陣を起用するしかあるまい。その辺は昨年と同じにすればいい!」僕はシフト表に眼を落す。「しかし、“コンシェルジュ”としての任務もあります!どうやってバランスをとりますか?」「やってみないと分からない事もある。ケースバイケースで対処するしかあるまい。“コンシェルジュ”が女の子でなくてはならない理由はない!男子が務めだっていいんだ!要するに、苦情が来なければそれでいい!」僕はある程度の割り切りを言い渡した。「しかし、来賓の出迎えはどうされますか?」「来賓が来られるのは、2日目のはずだ。その時に、女の子達を温存出来る様にシフトを組んでくれ!今年も女の子達を中心としてお出迎えを実施しなくてはならない!」「それは調整次第ではありますが、今、考えている各班の構成では無理があります!」西岡が反論して来る。「これ程、細かく分ける必要があるかな?」僕は疑問を呈した。「それはそうだけど、昨年参加していない人が多い以上、ケアレスミスは許されないわ!」さちが懸念を示しつつ言う。「参謀長、それは外も同じです!“警棒”もしくは“旗”がなくては、誘導に支障をきたします!」脇坂も言う。「昨年よりも事故の懸念は高まりますよ!」山本も続いた。「それは分かっている。原田に言って必要の予算は確保する!無線機材以外にも必要な物品があれば、リストアップをしておけ!次の生徒会役員会で予算を分捕って来る!」苛立たしげに言いつつ僕は図面とシフト表を慌しく見ながら返した。「各班のリーダーだけど、昨年の参加者以外からも選任しなくては足りないかも」さちがシフト表を見ながら言う。「それは、班構成を整理して組み替えるしかない。12チームはいらないだろうな。経験者が居なければ、現場は回らない!各班の数はある程度絞り込もう。全体で10チーム。この内、1チームは女子主体で構わない。実質は7チームを1時間交代で回す。残り2チームは、“クローズ作業”専門チームにする。リーダーは、坂野と飯田の2期生の2人。以下4期生中心で構成するんだ。2日目の“クローズ作業”を考えると、坂野と飯田のチームはフル回転してもらう必要がある。既に当人達には内諾を得ている。1日目と2日目のシフトは重複しないように組み替えるしかないだろうな。交代の15分前には後続のチームを配置する。1回の担当時間が、多少長くなるのは仕方がない。事故が起こるよりはマシだろう?今年は、兵力だけは充分にある!各班長は大変だろうが、頑張ってもらうしかない。まあ、その辺は再度調整して考えよう!」僕は淀みなく言った。「なるほど、選択と集中ですか。空き時間に“例の話”を進めるんですね?」西岡が納得して言う。「そうだ。“引継ぎと教育”も重要な事だ!確実に空き時間を生み出す様にするには、あまり兵力を分散させられない。不測の事態も考慮しなくてはならない!」「Yの頭の中はどうなってるのよ?あたしには思いも付かない事よ!」さちが悲鳴を上げる。「恐らく、今年の来場者は昨年の倍。5割増しになるだろう。我々もだが、警備部門だって事は簡単じゃないよ!今頃、担当者の伊東も同じ事で悩んでるはずさ!さて、今日はここまでにしよう。概略は見通しが立った。細部は明日以降に詰めよう。下校するぞ!」僕は今日の協議を打ち切ると決めた。まだ、先は長い。焦る必要は無かった。

帰り道、6人で¨大根坂¨を下って行く途中、「参謀長、長官と小佐野先輩の¨後継者¨は、誰になるんです?」と脇坂が聞いて来た。「さあ、誰になるかな?飄々として、事を冷静に見つめつつ、真実を看破しうる人材は中々居ない。古今の事象に通じ、高い見識を持って居なくては¨後継者¨にはなり得ないから、¨空席¨になるだろうな。石川も本橋も、お前達2人も、彼等の域に達するのは至難の業。だが、近づく事は出来る。僕達が居る間に、学ぶ事だよ。皆に伝えなくてはならない事は、山の様にある。少しでも彼等から¨盗み取る¨事だよ!」僕は、敢えて脇坂を突き放した。「上田は、¨参謀長補佐¨として英才教育を約束されてますが、僕達はお声すらかからない!この差は何ですか?」山本も詰め寄って来る。「声がかからないんじゃあ無いんだ。¨自ら声を上げて教えを乞う¨のだよ!上田は、ちゃんと¨留年して下さい¨と言いに来た。いささか珍妙だったが。だから、僕は¨後継者¨に選んだ!無論、才能も見込んだ。だから、教えるのさ!長官も小佐野も、内心は待ってるはずだ。どちらが後を継ぐか?良く考えて見ろ!」僕は、山本も突き放した。「¨帯に短し、たすきに長し¨ですか?」脇坂が呻く。「お前さん達は、まだ成長の余地はある!来年の3月まで時間もある!2人とも喰らい付け!まずは、目の前の蝿を追う事だ!」それぞれの肩を叩いてやる。「参謀長、さき程の班編成の件ですが、お話の通りに編成するとしますと、各班がかなりの大所帯になりますが宜しいのですか?」西岡が聞いて来る。「来場者が増える見込みだから、むしろ足りないぐらいだろうな。何せ、公共交通機関が皆無なんだから、車で乗り付けるしか無い。昨年の様な手薄な配置では、事故は免れない。より細かな配慮が求められているのだ!だが、戦力はこれ以上は増えない。僕も¨陣頭指揮¨を執る必要はあるだろうな!」「Yが¨陣頭指揮¨を執るのは¨御法度¨だよ!指揮官は、どっしりと構えてなくちゃ!」さちが釘を刺す。「あたしも、そう思います!指揮官は¨非情と分かっていても¨命令を出さなくてはなりません!その姿を上田にしかと見せるべきです。非常の際は、あたしが出ます!」西岡が主張した。「そう、ならない様にコントロールするのが、僕の仕事か。指揮官などは性に合わんな。西岡、交代するか?」「ダメです!臨機応変に事を動かすのは、参謀長にしか出来ません!」こうも、あっさりと却下されるとは、因果な役だと思い知らされる。「あのー、参謀長、班編成と人数割は、あれで決まりですか?」上田が遠慮がちに聞いた。「基本的にはな。多少の修正は必要だが、人員配置などは、ほぼ決まりだ。後は¨予行演習¨の結果次第だな」僕は彼女に向いて答えた。「¨予行演習¨ですか。実際に配置に問題が無いか¨検証¨するんですね?」「ああ、そうすれば、来年慌てなくてもいいだろう?今年の記録は、余す事無く保存して置け!来年は、自分達でやるんだからな!」僕は釘を打つのも忘れなかった。「はい!写真も撮りますね!」と上田はメモに書き込んだ。「そう言えば、無線機の数が足りなくなりませんか?」脇坂が思い出したかの様に言う。「足りない分は購入させるさ。それよりもだ、昨年のヤツが故障して無いか?の方が心配だ。仮設の内線は設置されるし、親機のアンテナも屋根に出させる。通信機器関係のチェックも、事前にやるか?」「はい、その方が無難ですね!」山本が同意した。「混信が心配ですからね。警備担当と被らない様にしないと」脇坂が頷く。「晴れ間を縫って、結構やらなきゃならない事がありますね!」上田がため息混じりに言う。「全ては、来年のためさ。何一つ無駄な事は無いんだ!伝える事。¨贈る¨事。僕達は、魂を込めて全力でやる!3人で喰らい付いて来るがいい!」僕は毅然として前を見た。

鬱陶しい梅雨空の朝、横殴りの雨に打たれて¨大根坂¨を登った、さちと僕は、早々に4階の空き部室へ逃げ込んだ。誰が放置したのか?は不明だが、そこにはドライヤーが2個あったのだ。「ベストもブラウスもスカートも、びしょびしょ!気持ち悪いから脱いじゃおう!」さちは、制服の上下を脱ぎ捨てるとドライヤーを使う。あられも無い姿を見せ付けられては、襲わない理由が無い!背後から抱きついて、ブラのホックを外す。「はい!坊や。お乳の時間よ!」大きく柔らかい胸が、顔に押し付けられる。さちは、僕の下半身を擦りながら「久しぶりだね。朝から元気一杯じゃない」と言うとマットに押し倒して、馬乗りになる。「早くしようよ!」下着を片足に残してから、さちは僕の上で思い切り腰を振りだす。「もっと突いてくれなきゃダメ!」唇を重ねると、今度は僕が上になり腰を振る。さちは両足をクロスさせて、僕を受け止めた。「ダメだろう?中は?」と言うと「もっと出して!」と2回戦を要求する。下から猛烈に突いてやると、気持ち良さそうな顔で「中よ、中に!」とせがむ。僕が果てると「坊や、お利口!」と言ってティッシュで拭き取りをしてくれる。互いに全裸で抱き合うと「Y、赤ちゃん作っちゃおうか?」と真顔で言う。「欲しいのか?」と言うと「うん!2人の赤ちゃんが欲しい!」と真面目に言う。「じゃあ、まずは¨授乳¨から」と、僕がさちの乳房を吸う。「ダメ~!また、したくなっちゃう!」さちが悲鳴を上げるが、転がる様にして上に乗ると激しく腰を動かす。「突いて!」と言うので、下から激しく腰を動かすと「中よ!中に出して!」と顔を赤らめて言う。さちの中に、白い液を注入してやると「気持ちいい!」と言って、覆い被さって来る。「Y、赤ちゃん出来るかな?」さちは本気で言う。「運があればね!」とだけ答えると、さちは「あたしは、欲しいの。そうすれば、自動的に¨お嫁さん¨だもの!」とケロリと言う。「将来の夢を諦めるのか?」と聞くと「最終の目標が¨Yの奥さん¨だもの。最初にするか?後にするか?は、あたしが決める事だもの。夢は諦めないわよ!」と返して来る。「さちは強いな」と言うと「Yもまだ元気じゃん!もう一度する?」と僕の下半身を触って言う。「底なしか?」「絞り切るまで、するの!」さちが、また馬乗りになる。営みは果てる事無く続いた。

雨が止んだ夕方、僕達は¨予行演習¨を始めた。「脇坂、聞こえるか?」「はい、明瞭に聞き取れます!」「よし、次の個体で試そう」僕は、片っ端から無線機を確認して行く。上田と山本は、仮のラインを引いて駐車場のエリアを形作り、最も遠い場所からコールを試みる。「OK、問題は無い。チャンネルを17に切り替えて、再度コールしてくれ!」無線機に問題は無さそうだった。「参謀長、使えるチャンネルは、15~20ですよね?」上田がコールして来る。「そうだ。昨年より5チャンネル減ってるよ。他のバンド帯は、警備や総本部に回されてる。仮設内線が減った影響だよ」僕が言うと「何故そんな事に?」と西岡が聞いて来る。「交換器のキャパの問題と、即応性さ。原田が言い出した事だよ。¨無線機ならチャンネルを切り替えれば済むし、放送室からの一斉より効果がある¨ってな。確かにそうだが、現場としては窮屈になるがね」僕が肩を竦めると「理屈はそうですが、混信したらアウトじゃあありませんか?チャンネルには、幅を持たせて内線を活用した方が安全面での不安は無くなりませんか?」「昨年の反省から、今年は実験的にやる事に決まったのだよ。不都合があれば、¨引き継ぎ事項¨として申し送りになる。まあ、やって見た結果だな。細かな修正は朝のミーティングで出来るし、その場その場で臨機応変に対応するしか無いだろうな」と西岡に返した。「参謀長、これを」西岡が小声で言うと、メモを僕の懐へ押し込んだ。「後で見て置く。脇坂!」「はい」「緊急コールを流せ!非常事態を宣言しろ!」「了解!訓練、訓練、非常事態発生!各局は現状で待機せよ!」脇坂が流した緊急コールは、明瞭に聞き取れた。「よし!良いだろう。無線機はOKだ。脇坂、校庭へ出て来い!上田、山本、各員の配置を確認する。一番奥から順に立ってくれ。各班の指揮官は、校庭の入口付近だな?」僕は、図面上の配置を見て言う。「はい、全体を俯瞰するなら、ここしかありません!」西岡が周囲を指して返して来る。脇坂を正門に立たせると、上田と山本が順に前進して来る。配置は、どうやら問題は無さそうだった。「Yー、ポカリだよー!」さちが冷えたボトルを抱えてやって来た。「よし、集合!」僕は、全員を呼び集めた。さちがボトルを配って歩く。「各員の配置と、無線機のテストはOKだ。上田、全部記録してあるな?」「はい、漏れ無く書き留めました!問題があるとすれば、日射病ですね。保健室に話は?」「明日、丸山先生に話をする予定だ。昼休みに時間を取ってくれ。西岡とさちもな!」僕は念を押した。「日傘は足りるかな?」さちが小首を傾げる。「次回の打ち合わせの時に、¨マイ日傘¨の用意を依頼しよう。灼熱の下での任務だ。最低限の装備品は自己確保させよう!さて、検証はこのくらいでいいだろう。次回の打ち合わせの際に、上田が今回の結果を報告する。諸注意は僕が言うが、細部は来年に備えて君が説明してやれ!」「はい!しっかりと、まとめとかなきゃ!」上田は今一度、メモに眼を落した。「今日はここまでだ。引き上げるぞ!」ボトルから水分を取りながら、僕は最後尾を歩く。西岡からのメモをコッソリと広げると“土曜日、Kホテル312号室にて待つ”と書かれていた。「お呼び出しとは・・・」僕は小声で呟いた。

土曜日、O市内のKホテル312号室の前に、僕が立ったのは午後2時を過ぎていた。西岡が何を意図しているのか?何も分からなかった。さすがに、制服はマズイので駅で着替えて、私服姿でドアをノックした。彼女が笑顔で僕を部屋に引きずり込む。西岡も私服姿に着替えていた。「何故、呼び出したりしたんだ?」と言うと「学校では出来ない事をしたかったの。ねえ、一緒にお風呂に入りましょう」と言うと、首に細く華奢な腕が巻き付いて、唇が重なった。僕の下半身に手を触れると「イタズラ坊やは、元気じゃない」と彼女は言う。ブラウスのボタンをもどかし気に外すと、胸元へ手を導き胸を触らせる。「1回戦は、あなたが上になって」とベッドへと歩を進める。既に紺のタイトスカートは落ちていて、あられもない姿の彼女は、淡いピンクの下着の中に僕の手を侵入させると「お願い、早く突いてちょうだい」とせがんだ。ブラと下着をはぎ取ると、キスの雨を浴びせてから猛然と突き上げを開始する。彼女は、いつになく大きな声を上げて抱き着いて来た。「中へ、中へ出して!」細い足を交差させて、僕を逃がすまいとする。白い液体が西岡の体内に放出された。体が重なると「ダメだろう?中は?」と問うと「いいの。“子種”が欲しかったの」と言って微笑んだ。「あたし、あなたの子供が欲しいの。勿論、私生児でいいのよ。シングルマザーとして、あなたの子を育てるのが夢なの!」「とんでもない事を夢見てるな!」と言うと「今度は、あたしが上よ!」と言って激しく腰を使い始める。声を上げてひとしきり暴れるとグッタリと体を預けて来る。僕は背後に回ると後ろから猛然と突きをお見舞いした。「もっと!もっと突いて下さい!」彼女は半狂乱になりながらも懇願してきた。あえぐ声が一段と大きくなった。「お願い、もう一度、もう一度出して!」白い液体が再度彼女の体内へ放出されると、西岡は満足げに微笑んだ。「きもち良かったわ」僕はベッドに横たわると「妊娠したらどうするんだ?」と聞いた。彼女は僕の上に体を密着させると「生むわよ。そして大切に育てるの。学業なんてどうにでもなるわ。夜学か単位制の通信教育でもいいの。あなたの子だもの」と言った。「結婚できなくてもか?」「愛人は、そこまで望んではいけないの。ただ、愛し合った証が欲しいだけ」と言った。「まだ、元気一杯ね」西岡は僕の下半身を探る。「底なし沼だな」と言うと「あたし、欲張りだもの」と言って、また馬乗りになる。彼女は激しく腰を使った。僕も下から激しく突き上げをお見舞いした。“誰にも見とがめられない部屋”で2人は激しく行為を繰り返した。ホテルで別れたのは、夕方近くになっていた。

翌週、各係の最終打ち合わせが開始された。席上、僕は原田に対して“予算の増額”を要請した。紆余曲折はあったが、予算は認められた。外野ではガヤガヤと言う者が居なかった訳ではなかったが「来年、我々は居ない!3期生と4期生に“遺産”を残してやるのが、責任者としての努めだろう?」と言い放って黙らせた。「まあ、Yには無理を承知で2年連続で“大役”を引き受けてもらったのだ。Yの活躍無くして“一般公開”は成功しない!彼が“向陽祭”の成否のカギを握っているのだ!多少の事には目を瞑ろうじゃないか!」と原田も珍しく援護をしてくれた。これは、裏を返せば“失敗したら、全責任を負う覚悟はあるか?”と言う事なのだ。何かあれば、全てが降りかかって来るのは仕方無いにしても、実に原田らしい腹の斬らせ方だった。「おい!原田は、失敗したら“全責任を持て”と言ってるんだぜ!参謀長、大丈夫なのか?」伊東と千秋が心配そうな顔で聞いてくる。「原田が見落としてる事がある!集まった兵士の構成だよ。事実上の“新政権”の面子ばかりだ。ヤツが必死で“向陽祭”をやっている最中に、こっちは秋の“大統領選挙”の下準備を開始する。4期生を押さえちまえば、原田の組織力も削げるし“原田後”の余韻も介入も小さく出来る。向こうの思惑なんぞ関係ないよ。如何に“太祖の世”に復するか?そっちをやらなけりゃ生徒会は機能停止になるだけだ。目先よりは、はるか先を見据えて手を回して置く事が勝負を左右する事さ!“向陽祭”の成否のカギは3期生が持ってるんだ。僕は“アドバイザー”として見守るだけさ!」と涼しい顔で返した。「うーん、長官と練った策をやる訳か。上手くやれよ!俺達も、側面から援護する。警備部隊も手一杯だが、出来るだけ応援は出そう!」伊東が確約した。「まあ、昨年の様な事にはならないと思うが、“クローズ作業”は間違いなく大変になる。上手く連携して成功させようぜ!」僕も自信を見せた。こうして、それぞれの持ち場立場での“原田後”に向けた布石は、着実に打たれて行った。原田は目の前の蠅を追う事で手一杯だが、いずれは動き出すはずだ。その時に備えて、1歩でもリードして置かないとヤツに立ち向かうのは難しい。僕等は、水面下での動きを加速させて行った。

そうした中、上田が“1対1で話したい”と言って来た。後継者として指名した以上、拒否する理由も無いので、図書館で話し合いに臨んだ。「参謀長、幸子先輩と西岡先輩のどちらが好きなんですか?」乗っけから上田は“直球勝負”を挑んで来た。「何故、2人を指定するんだ?」僕はトボケに走るが「対照的な2人をサブリーダーに指名された根拠を教えて下さい!どちらを選ばれるのですか?」と彼女は譲らない。「さちは、私にとって精神的な支えだ。西岡は実務者として、優れた資質を持っている“鏡”の様な存在。今回の任務を遂行するに当たり、2人は欠かせない存在だよ」とあくまでもトボケて見る。「参謀長、キチント答えて下さい!あたしは、恋愛の対象にならないんですか?」彼女は詰め寄ってきた。横に座るとスカートの中に僕の手を引きずり込む。「こら!小平先生に見られたら・・・」と言う唇を彼女は塞いで来た。柔らかな太腿の奥の下着にまで、僕の手は押し付けられている。「先生は居ません。あたしの体はダメですか?」上田の眼は潤んでいた。「触って下さい」彼女は足を広げると下着の中へ手を導いた。「加奈、ここだとヤバイ。棚の陰に行こう」僕は唇を重ねると、彼女を図書館の奥へ連れて行った。「触って」ブラウスのボタンを外すと、少し大きめの形のいい胸が見えた。彼女は下着を脱いでスカートだけになった。僕の手は下半身にじかに触れた。指を動かすと彼女はピクピクと震えだす。「指だけじゃ嫌」と言うと僕の下半身を触り出す。意を決してスカートをめくると、背後からゆっくりと突いてやる。「もっと!もっと!」と上田はせがむ。胸を鷲掴みにすると、前後に激しく腰を使った。「加奈、外に出すぞ」と言うと「ダメ!中よ!中に出して!」とうわ言のように言う。白い液体は上田の体内に放出された。正面を向くと首に腕を巻き付けてキスをして来る。「今度は前からして」と言うとM字に足を広げる。腰を使うと手で口を覆って声が漏れない様にしている。唇を重ねてやると「上に乗りたい」と体位を変えたがる。加奈が腰をくねらせると、絡みつく様な感触に我慢できなくなり、白い液体を放出させられる。上田が体を預けて来ると「気持ち良かった」と言って放心状態になった。後始末をそそくさと済ませると、小平先生が入室して来るのが見えた。「危ない!次からは空き部室にしましょう!」と加奈が言う。「次は無いぞー!」と拳を頭に載せると「えー、またしようよ!」と言って腕を組んで来る。「これで、DNAも受け継いだし、もう充分だろう?」と返すと「あたしの方が気持ち良いでしょ!」と上田加奈は意に介す風が無い。「あたし、こんなに優しくされたの初めてなんです。最初は“強姦”に近かったし、次の男も乱暴だった。するのもその人の性格が出ますね」と言って屈託なく笑う。「次は、もっとセクシーな下着にするから、またしようよ!」最後はワガママが出た。キスをしてやると、少しは落ち着いた様で、いつもの彼女に戻っていった。「そう言えば、作戦の立案とかは何を参考にしてるんですか?やっぱり孫氏ですか?」と聞いてくる。「孫氏もだが、明治以降の戦争も参考にしてるよ。特に太平洋戦争中の作戦は、良く調べ上げているよ」と返すと「太平洋戦争は、失敗に終わったり、無謀な作戦も多かったはず。何故、失敗を調べるんです?」「失敗だからこそ、無謀であったがために“こうすれば、良かった”と言うモノが明確に見えるからだよ。失敗こそ“最強の教本”なのさ。しかも、その後まで調べれば“何が最善だったか”は直ぐに分かる。真珠湾攻撃は、中途半端だったとかな!」「えっ!真珠湾が中途半端って何故です?」「南雲中将は3次攻撃をためらった。それが後々響いてくるんだよ。犠牲を覚悟でオイルタンクや造船所を攻撃していれば、ハワイは絶海の孤島だから、被害は更に甚大になったはずなんだ。艦船と航空機と基地を攻撃しただけで引き上げたのは、片手落ちに等しいと言わざるを得ない。機動部隊が留守だったのは仕方ないが、重要な施設が無傷で残ったのは、明らかに失策と言える!」「犠牲が出ても、叩くべきだったと?」「ああ、叩くなら徹底してやらなくては意味が無い!だから、塩川の時は徹底してやった。後の事はあまり考えずに“反塩川”で団結を引き出した。だからこそ、塩川一党は敗れたんだ!」「じっくり構えられる場合と、即断即決で動かれる場合の判断基準は?」上田はメモを取っている。「事の性質で決まるね。じっくりと待つのも電光石火で片づけるのも、孫氏の兵法に書かれている。兵法の基本は“戦わずして勝つ”事だ。自滅を待つか?速攻で叩くか?手の内にある戦力と相手によって作戦は色々な選択肢がある。これらを決めるには、相応に勉強しないと判断を誤る事になる!“向陽祭”の期間中は私から離れるな!これこそ、見て聞いて覚えるしか無いんだ!」「はい!決して離れずに居ます!」上田佳奈は嬉しそうに言った。「だが、今日の事は内緒だぞ!」僕は小声で言った。さちと西岡に知られたらタダで済むはずがない。「勿論です。また、してくれるでしょ?」チラリと加奈がスカートをめくり下着を見せる。「先輩を困らせるな!」と拳を頭に載せるとペロリと舌を出した。西岡とは違うスレンダーな彼女と関係を持ってしまったのは、仕方なかったとは言え、僕の弱さを露呈した形になった。結局は、卒業まで上田加奈とは続くのだが、今、彼女がどうしているか?知る術はない。