「とても素晴らしいもの……らしいな」
アンドリューNDR114(1999)アメリカ
監督:クリス・コロンバス
製作:ウォルフガング・ペーターゼン
原作:アイザック・アシモフ
出演:
ロビン・ウィリアムズ(アンドリュー)
エンベス・デイヴィッツ(アマンダ/ポーシャ)
サム・ニール(リチャード)
オリヴァー・プラット(ルパート・バーンズ)
ロボット工学三原則
・第1条
ロボットは人間に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
・第2条
ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。
ただし、あたえられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。
・第3条
ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、
自己をまもらなければならない。
この三原則を聞くだけで感慨無量です。涙流しちゃいます。
本作はアシモフ先生の短編「バイセンチネルマン」を下敷きとして、
ロバート・シルヴァーバーグが長編として編みなおした「アンドリューNDR114」が
原作です。なので正確にはアシモフ先生原作、とは言い難いのです。
内容はというと、アンドロイドのアンドリューが個性を持ち、
人間になりたいと願い、人間になるために模索し、
人間になるための決断をするまでの物語です。
バイセンチネルマンとは「200年生きた人間」という意味です。
実はこの作品はラジー賞取ってるんですね。
バイセンチネルマンを愛する人からもNGを出され
ロビンウイリアムズを愛する人からもNGを出され
公開当時の評判はケチョンケチョンでした。
ボクは幸いな事に、映画も原作も別物として感じる事が出来る
タイプなので、まあ平気だろうと思って見ましたが、面白かったです。
あの当時騒いでいた人たちは、言ってみれば庵野カントクの
キューティーハニーにがっかりした、と言っている人と同じだった
のではないかと推測します。実はオモシロかったでしょ?みんな
というかAIがラジー賞とらずに、アンドリューがラジー賞なのは納得イカン。
トラボルタのバトルフィールドはラジー賞モノだけどな
ロビン・ウィリアムズってこういう、ちょっとホノボノしたのって
とっても向いてますよね。
「トイズ」とかロビン・ウィリアムズ見るためだけに見てたようなもんだし。
原作では「人間になる」がメインテーマでしたが、
映画では「愛する人と生きる」をメインテーマとしています。
原作よりも恋愛的ファンタジー色が強くなっているのも、
見やすくて好感触でした。
そこが原作好きに嫌われる所以なのでしょうが…
ロビンウィリアムズじゃなくても良かったのでは?という意見や
もっとかっこいい方が良かった、という意見もあります。
しかし、タニス・リーの「銀色の恋人」をロビンウィリアムズが
演じるというのであれば、恐怖の潔癖男AIのセクシャロイド
ジュード・ロウ様の方が絶対にいいと思いますが、
本作のアンドリューにはロビンウィリアムズがハマリ役だと思います。
というか「銀色の恋人」が手に入りません。欲しいなぁ。
ロボットと人間の愛を女性的な視点で描いた名作なのですが…
この映画を面白いと感じた人は、是非原作も読んでみて欲しいです。
短編集「聖者の行進」の中の「バイセンテニアル・マン」と
原作長編「アンドリューNDR114」はどちらも創元SF文庫です。
そしてロボット三原則って聞いた事あるけどナンだっけ?
という人は「われはロボット」を読んでください。
そしてアシモフの世界に目覚めてください。
「鋼鉄都市」「はだかの太陽」でロボット世界を堪能し
「銀河帝国興亡史」で社会心理学に目覚めてください。
そして「ファウンデーションと地球」で、
ロボットとファウンデーションの邂逅に感激してください。
こちらは全てハヤカワSFで揃います。
DVD買うべし。小説も読破すべし。