私は幼い頃から学生時代にかけて、もしかしたら現在生きていなかったかもしれない事件に何度か遭遇している。そしてそれぞれを何とか無事切り抜けてきた。そして、最近までずっとそれは何かに守られているようでとてもラッキーなことだと思っていた。
例えば過去数回誘拐されそうになったことがあった。小学生の頃に夜一人で歩いているとき、突然大人の男に手ぬぐいで口を塞がれて連れ去られそうになったことが一回。後は学生の頃、数人の男が乗っている車が道を聞くふりを近づいてきて、車内に引きずり込まれそうになったことが一回。幸い、それぞれ何とか逃れて怪我一つしなかった。
更に高校生の頃、一度溺れかけたことがあった。友人達と海水浴に行ったのだが、いつの間にか皆と離れてこの先遊泳禁止のロープが張ってあるポールのところまで流されてしまっていた。金槌で全然泳げない上に足がつなかいほど深い場所で、ポールに必死につかまって波をかぶってあっぷあっぷしていた。
周りに誰もいなくてもう駄目かと思ったとき、たまたま異変に気付いた大人の男性が私を抱えて砂浜近くまで泳いで助けて下さった。(命の恩人なのに、茫然としていて名前さえ聞くことをしなかったのが悔やまれる。)彼がいなかったら私は生きていなかっただろう。
あと散歩中の知人の犬に噛まれたこと一回、交通事故は二回。幸い、記憶が確かならばそれぞれ外科で簡単な手当をしてもらっただけで済んだ。犬の場合、飼い主によると狂犬病の予防接種をしていなかったということであった。後で聞いてぞっとした。(犬に触れてもいないのに何故噛まれたかは謎である。)
このようなかなり危なかった経験をしたことを今まで他人には話してこなかったのだが、この間何かの拍子にパートナーに話してみた。自分は何てラッキーだったのだろうと。しかし、返された言葉は何と...「普通そういう経験あまりしないよ。そう何回も危ない目にあうのって、アンラッキーと言わない?」だった。
ううむ、そうだったのか。そういう考え方もあるのか。そう言われればそうかもしれない。ずっと自分はラッキーだと思っていたのに、少しだけショックである。