ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

アリセプトに祈りをこめて

2015-10-02 01:05:01 | 日記
ジジイⅩ、クレイジー・ミヨ…
カキコミもいただいた通り
“濃ゆい”メンバーのネタが続いている。

たまには天使のような高齢者の話を書きたいが
ごめんなさい、本日も濃ゆいオバアサンの話を。

昨夜は夜勤。
排泄介助の“ツアー”をこなすため
1階に降りたときのことである。

時刻は夜中の11時半。
エレベーターから降りた私の耳に
ケンカ?とも思える大きな声がとどろいてきた。

廊下の角からそ~っと奥のほうを見てみると
いた、いた、いた~~~!
物盗られ妄想の激しいK子が、いた~~~!!!

廊下に出て自分の部屋のドアを開き
部屋の誰かに向かって大声で怒鳴っている。
「出て行きなさ~い!
そこのお菓子は持っていってもいいから
早く出て行きなさ~い!」

またしても、誰かと闘っているようである。

先月、認知症の一つであるレビー小体型認知症と診断され
それに有効であると言われるアリセプトという薬を飲み始めたK子。
どうか効き目が現れますようにと祈っていたが
レビーの主だった症状である幻視は
まだ、おさまらない。

いろいろなものと闘っている彼女も
どんなに怖くて不安で辛いかと思うが
正直、こっちもツライ。

K子の部屋を通り過ぎた向こうに
何人も、排泄介助をしなければならない方がいるのだ。
つまり
誰かと闘っているK子の脇を通らなければ夜間の仕事が進まず
トイレ誘導やオムツ交換を待っている人たちの援助が
どんどん遅くなってしまうのである。

5分間、私は廊下の角に潜んで待った。
K子が部屋に戻ってくれるのを祈りながら、息を殺して待った。

K子よ、ごめん。
昼間なら他の職員もいるから対応できるが
今、あなたの悪霊払いにつきあっているわけにはいかないのです。

彼女がやっと部屋に戻ってくれたのを見定めて
ようやく排泄ツアーに戻った私だったが
ああ、いつまでこんな夜が続くのか。

アリセプトよ、どうか効いてくれ!