9月に入居してきたヤエコさん(仮名)は
関節リウマチで手の自由が利かない。
ペットボトルのキャップを回すだけでも
わざわざエレベーターを使い
事務所まで訪ねてこなければならない。
先週、ヤエコさんのもとにミシンが届いた。
一人では梱包が解けないだろうとお手伝いに行った私は
ふと、疑問に思って彼女に尋ねた。
ヤエコさん、ミシンで何か作るんですか?
まだここでの生活に慣れないせいか
あるいはもともとの性格ゆえか
食堂でも一人ぽつんと座って誰とも話をしない彼女。
こちらから声をかけなければ
職員ともほとんど言葉を交わすことがない。
そんな彼女が私の質問に
くるりと首を回し、初めて見る笑顔でこう言った。
「希望、なんです」
キボウ? 何のことだか分かりかねている私に、彼女は言葉を続けた。
「病気になる前は、ミシンで色々なものを作っていたんです。
それこそ、子供が小さいときは洋服は全部手作りしたんですよ。
それが病気で指先がうまく使えなくなってしまって・・・。
でも、このままじゃあまりにも悲しいから
もう一度ミシンを踏めるような自分になりたいから
だから、希望を捨てないためのミシンなんです」
ふんわりと、見えない羽毛が身体を包む。
とっさに口をついて出てきた言葉は
「ありがとうございます」だった。
しんどいことが続いたから
ヤエコさんの言葉は本当に温かかった。
ヤエコさん、ありがとう。
あなたの存在が、今の私には“希望”です。
関節リウマチで手の自由が利かない。
ペットボトルのキャップを回すだけでも
わざわざエレベーターを使い
事務所まで訪ねてこなければならない。
先週、ヤエコさんのもとにミシンが届いた。
一人では梱包が解けないだろうとお手伝いに行った私は
ふと、疑問に思って彼女に尋ねた。
ヤエコさん、ミシンで何か作るんですか?
まだここでの生活に慣れないせいか
あるいはもともとの性格ゆえか
食堂でも一人ぽつんと座って誰とも話をしない彼女。
こちらから声をかけなければ
職員ともほとんど言葉を交わすことがない。
そんな彼女が私の質問に
くるりと首を回し、初めて見る笑顔でこう言った。
「希望、なんです」
キボウ? 何のことだか分かりかねている私に、彼女は言葉を続けた。
「病気になる前は、ミシンで色々なものを作っていたんです。
それこそ、子供が小さいときは洋服は全部手作りしたんですよ。
それが病気で指先がうまく使えなくなってしまって・・・。
でも、このままじゃあまりにも悲しいから
もう一度ミシンを踏めるような自分になりたいから
だから、希望を捨てないためのミシンなんです」
ふんわりと、見えない羽毛が身体を包む。
とっさに口をついて出てきた言葉は
「ありがとうございます」だった。
しんどいことが続いたから
ヤエコさんの言葉は本当に温かかった。
ヤエコさん、ありがとう。
あなたの存在が、今の私には“希望”です。