ちかさんの元気日記

辛いことを乗り越えて元気に生きている私“ちかさん”の
涙と怒りと笑いの介護記録。

ほのぼのキヨシ

2016-02-19 19:48:18 | 日記
キヨシはかつて、ジジイXの子分だった。

というか、ジジイXが気のいいキヨシを
勝手に子分扱いしていただけであり
ヤツの根性の悪さ、横暴ぶりに
ついに堪忍袋の緒が切れたキヨシは
去年の秋、食堂でヤツの隣の席から巣立つこととなる。

ジジイXの不人気により
職員や登録ヘルパーからの人気票を集める結果となったキヨシ。
花と絵とオルガンを趣味とする優しい性格
そして元来のホノボノ・キャラ…
思い出したように杖を振り回して激怒することさえなければ
存在感さえ闇に葬られた観のあるジジイとは対照的に
今やキヨシの人気は不動のものになったのである。

そのキヨシが、足の骨にひびが入って絶対安静の身となった。

これまで掃除・洗濯こそヘルパーの世話になっていたが
身体的にはたいした問題を抱えていなかったキヨシ。
当然、着替え、入浴は自分でできる。
もちろん排泄だって、誰の手を借りずともやってきたわけである。

それが、誰かの手を借りなければならなくなった。
ベッドに安静にしていなくてはならないから
悲しいかな、ついにオムツというわけだ。

しかし優しく愛らしく照れ屋の老人・キヨシは
“素手で股間を洗え!”と言って
ヘルパーの出入り禁止を食らったジジイXと違い
下半身をさらすだけで恥ずかしくて恥ずかしくてならない。

排泄介助の生活が始まって1週間にもなるというのに
オムツ交換のたび
いまだに「恥ずかしい」と、両手で顔を覆うのである。

 キヨシさん、そんなに恥ずかしがらないで。
 そんなに恥ずかしがられると
 なんだかこっちまで恥ずかしくなってくるよ。

「だってさ、こういうのやっぱり慣れないよ、恥ずかしいよ」

 わかった、じゃ、私も目をつぶるから。

いやいや
ヘルパーが目をつぶったまま手探りでオムツ交換したら
それ、あやしすぎるでしょ。

こんなかわいいオジイチャンばかりだったら
介護現場はもっと明るく楽しくなるに違いない。