トシ、99歳。
ウチでは最高齢の女性利用者である。
きのうの夜勤は彼女にやられた。
まず1つ目は
他の職員がみんな帰り私だけが残された午後9時。
1階に下りるエレベーターのドアが開いたとき
私は思わずヒッ!と声を上げて後ずさる。
車椅子に乗ったまま上半身をぐったりと横に倒し
片手をだらりと落としたままのトシが
そこにいたのである。
とっさによぎる、「死」の一文字。
「トシさん! トシさん!」
あわてて叫ぶ。
するとトシはヨダレをすすりながらおもむろに目を開け
「あれ、私寝てた?」と言う。
まったくもう、心配させよって!?
ま、こんな時間、こんなところで死なれるよりいいか。
続いて午前1時。
他の利用者をトイレに連れて行っている最中に
トシからコールが来た。
「すぐ来てください。大変なんです。すぐに来て!」
悲痛な声を上げている。
トシの「大変!」は、いつも大変なことではない。
それでも行かないわけにも行かず部屋を訪ねてみたら
ベッドで四つん這いの格好をしたトシが
私を振り返りつつ「ああ、来てくれてよかった」と安堵している。
どうしたの? 何が大変なの?
すると、数秒間私の顔を凝視した挙句、彼女は言った。
「なんで呼んだのか忘れちゃった」
はいはい。そういうこと、あるよね!って…
おい、こら、早く寝ろ!
締めくくりもコールだった。
午前2時半。休憩のど真ん中である。
「大変なの、トイレにいるんだけど、車が動かなくなっちゃって」
ああ、またかい?
貴重な休憩時間、ソファに横たわってウツラウツラしていたのだが
車椅子が動かないというのが本当なら大変だと、再び急行。
するとヤツは「ああ、すっきり、すっきり!」と
涼しい顔してトイレから出てくるではないか!?
おお、トシよ、トシ。
わたしの休憩時間を返しておくれ。
ウチでは最高齢の女性利用者である。
きのうの夜勤は彼女にやられた。
まず1つ目は
他の職員がみんな帰り私だけが残された午後9時。
1階に下りるエレベーターのドアが開いたとき
私は思わずヒッ!と声を上げて後ずさる。
車椅子に乗ったまま上半身をぐったりと横に倒し
片手をだらりと落としたままのトシが
そこにいたのである。
とっさによぎる、「死」の一文字。
「トシさん! トシさん!」
あわてて叫ぶ。
するとトシはヨダレをすすりながらおもむろに目を開け
「あれ、私寝てた?」と言う。
まったくもう、心配させよって!?
ま、こんな時間、こんなところで死なれるよりいいか。
続いて午前1時。
他の利用者をトイレに連れて行っている最中に
トシからコールが来た。
「すぐ来てください。大変なんです。すぐに来て!」
悲痛な声を上げている。
トシの「大変!」は、いつも大変なことではない。
それでも行かないわけにも行かず部屋を訪ねてみたら
ベッドで四つん這いの格好をしたトシが
私を振り返りつつ「ああ、来てくれてよかった」と安堵している。
どうしたの? 何が大変なの?
すると、数秒間私の顔を凝視した挙句、彼女は言った。
「なんで呼んだのか忘れちゃった」
はいはい。そういうこと、あるよね!って…
おい、こら、早く寝ろ!
締めくくりもコールだった。
午前2時半。休憩のど真ん中である。
「大変なの、トイレにいるんだけど、車が動かなくなっちゃって」
ああ、またかい?
貴重な休憩時間、ソファに横たわってウツラウツラしていたのだが
車椅子が動かないというのが本当なら大変だと、再び急行。
するとヤツは「ああ、すっきり、すっきり!」と
涼しい顔してトイレから出てくるではないか!?
おお、トシよ、トシ。
わたしの休憩時間を返しておくれ。
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