春になると畑や野原に群生してくる野草「スギナ」。その生命力はとても強く、ほかの野草や野菜が生育できないような荒れ地に生え、一面を占領するほど群生します。スギナの根茎は地中深く1メートルにも伸び、春3~4月頃になるとあちこちの根茎の節から土筆(ツクシ)を出します。土筆が終わればいよいよスギナの登場。深く伸びた地下茎から大地の栄養をぐんぐんと吸収し除草剤にも負けない生命力をもちます。
日本の民間療法のなかでもスギナの薬効は昔からよく知られています。ドイツでは、がんの薬として有効だという臨床報告が発表されるほどスギナには様々な薬効が認められています。
ヨーロッパでは昔から病気の特効薬
スギナはもともとヨーロッパで薬として用いられていた雑草です。江戸時代にオランダから伝わった薬学書の翻訳本「和蘭薬鏡」の中にも「内外諸部の潰瘍や糖尿病に用いる」とあり、古くからがんや糖尿病、肝臓病などに効くことがわかっていました。
ドイツのセバスチャン・クナイプ神父は科学的な知識にもとづいて植物療法をはじめた人で、このクナイプ療法のなかでもスギナの効果がうたわれ「出血、膀胱、腎臓、結石、カリエス、がん、リューマチに効く」「悪いものを洗い流し、とかし、傷んだところを取り除く働き」があるとしています。
驚くべきミネラルの含有量
スギナに含まれるミネラル成分値は素晴らしいバランスです。たとえばカルシウムはほうれん草の155倍。カルシウムを有効に生かし、脳にもよい働きを及ぼすマグネシウムも含有。生殖ホルモンと味覚を司る亜鉛、造血作用のある鉄も、野菜と比べて桁違いです。これらの豊富なミネラル類が免疫機能を強力にするのでしょう。
またスギナには繊維質もたっぷり含まれていて便秘を解消、大腸がんの予防にもつながります。
そして特筆すべきは、スギナに含まれる珪素(けいそ)の働き。細胞から酸素を奪い、代謝を悪くするものに水素イオンがありますが、この水素イオンを捕まえて身体の外に出してくれるのが珪酸に含まれる珪素です。これで細胞がよみがえり体の隅々まで血が通いだします。利尿効果も高く、水分代謝がよくなってむくみがとれ、腎臓のケアから肝臓への負担も軽減してくれます。
スギナの活用
スギナ茶は市販もされており、お茶として煎じていただくのがもっとも一般的ですが、衣をつけて天ぷらで食べても美味しいですし、乾燥スギナの粉末を作っておくと、ふりかけやハーブのように料理に使ったり、餃子の皮や手打ちうどん、パン生地に混ぜ込んで使うこともできます。また外用すると相乗効果が素晴らしいようです。婦人科系統の弱い人や虚弱体質の人には、毒素を出してくれる腰湯を。100gのスギナを一晩水につけて煮出し、その液を浴槽に加えます。腎臓のある腰までつけて20~30分。かけ湯はしないでタオルでふくだけにし、その後は布団のなかであったまるとより効果的です。
スギナを内用する場合、葉が広がっていない筍形の若芽を選ぶと柔らかくて良いでしょう。
栄養相談では、このような身体づくりに役立つ食材の紹介や料理法などもお伝えしています。
次回の栄養・遺伝セミナーは4月20日(土)15時~開催いたします。
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