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遺伝のはなし#11:トピック「新しい出生前診断」

みなさん、こんにちは
遺伝のはなし、今回は最近ニュースを騒がせた「新しい出生前診断」について触れたいと思います

出生前診断とは、妊娠中に赤ちゃんの状態を知るさまざまな検査のことを言います。
以前、遺伝のはなし#5~7でも紹介しましたが、これまでの検査には、安全性は高いけれど確定診断はできない、または確定診断ができるけれども検査による流産の可能性がある、といった特徴がありました。

一方、国内での導入が最近発表された「新しい出生前診断」は、お母さんの採血だけで特定の染色体異常をもつかどうかをほぼ確実に診断できるということで、注目を集めています。

しかしこれらの検査に倫理的な課題があることは変わりありません。
検査の意義や影響を慎重に考えることが大切です。

この「新しい出生前診断」は、国内の一部の施設で臨床研究としてこれから実施される予定です。


この「新しい出生前診断」について、他県で産婦人科医師をされているH先生は以下のように意見を述べられていました。
以下、転載させて頂いた記事です。
~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~
今話題の出生前診断、マスコミがいう精度とは感度・特異度が約99%(実際は感度98.6%, 特異度99.8%)ということ。
たしかにこの数字だけを見れば、すごい検査のようみえるけど例えば35歳の妊婦がこの検査で陽性だとしても、事前確率(ダウン症候群の罹患率)は約1/300だから、陽性的中率は62%にすぎない(つまり検査陽性でも1/3は実際にはダウン症候群ではない)
同様に40歳で事前確率1/100として陽性的中率は83%。これでも1/6は偽陽性ということになる。

このあたり精度99%という変な言葉だけが一人歩きしている感じで、恐ろしい気がします。
~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~ ☆ ~

皆様は、どのように感じられますか?
99%と報道されていると数字だけが印象に残りますが、99%の意味をしっかりと解釈しなければいけないのかもしれませんね。

私達も、皆様に正しい情報提供が出来るように動向を見守り、新たな情報があればまたみなさまに情報発信したいと思います。
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