魚を食べたいのに食べることができていない人が、結構いると聞く。
四方を海に囲まれて人口の数倍、時に数十倍の人のお腹を満たすのに十分な水揚げ量があるこの海士町での話だ。
魚があるのに、魚がない。正確には、「届かない」。
このことを深く考えるきっかけになったのは、毎朝必ず魚を買いにバスに乗ってやってくる年配の女性とのやりとりだった。
ご主人がたいそう刺身が好きで、毎日食卓に欲しいそうだ。それも、とびきり活きのいい魚。
せっかく来てもらっても望むような魚が無い時、すごく申し訳ない気持ちになる。
帰りのバスまでの時間を待つ姿を見るのは、なかなかつらい。
だから水揚げされたばかりの魚が入荷したとき、たまたま家が近いので帰りがけに持って行ってあげることにした。
彼女は家から出て魚が届くのを待っててくれた。
かつて町内の公民館を拠点に魚の移動販売をしていたことがある。
その時とは違い、今は要望に合わせた「切身」や「刺身」、「干物」なども届けることができる。
高齢になって移動の手段を持たない魚を食べたい人たちにどうやって届けるか。
いろんな人の知恵と力を借りて考えてみようと思う。
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