洗面所のステンドグラスを背に庭の方に廊下づたいに行くと、平屋建ての離れ和室です。
この和室は数寄屋風書院造りで、8畳6畳の続き間になっています。
和室は、床の間の設えで真・行・草と格式を分ける事ができますが、ここ山本家もこの和室が真の和室、このあと案内致します2階南側の和室が行の和室、2階北側の和室が草の和室になっていると思われます。
床の間の材料やつくり等の違いを楽しみながらご覧下さい。
8畳床の間の床柱は北山杉、床框は北山杉を割ったもの、床は畳床、部屋の天井板は天然の屋久杉です。
天井板の南半分は雨漏りの修繕をしたためか、違う板が貼られています。
下の写真は、1枚目が雨漏りの為に修繕された天井板。
2枚目の写真は左が南で、右側の天井板が建築当初からの屋久杉です。
3枚目の写真は建築当初からの屋久杉の天井板です。
床脇の天袋は欅、違い棚は楓、地板は栃です。6畳との間の欄間は桐材です。
違い棚の棚板の雛留め(ひなどめ)も見事です。
6畳の間の床の間、地袋板は欅(けやき)の玉杢(たまもく)で入手困難な高級銘木です。
襖絵は小野周文が晩年興浜に帰って来られていた時に描かれたものです。
当時の和室としては高い天井となっています。
雪見障子は「その9和室6畳」で紹介したのと同じ構造ので一般的な上下スライド式ではなく横にスライドする形式となっています。
庭側のガラス戸も標準のものより少し大きくなっています。
この住宅は迎賓館と書きましたが、この和室を含めこれから紹介する全ての和室において、遠方からのゲストが宿泊された形跡が残っています。
それは、部屋の長押(なげし)の隅に夏場に使用した蚊帳を引っ掛ける金具が残っている事です。
外側の造りもそれぞれ見事です。
大きな沓脱石(くつぬぎいし)を紹介して離れ和室の紹介を終わらせて頂きます。
協力:網干歴史ロマンの会・あぼしまちボランティアガイド
銘木関係:原匠江尻店長
※山本家住宅を見学された方はご存じのように、これから紹介させて頂きます和室部分につきましては、立入禁止区域はございません。気になる部分があれば近くからじっくりとご覧ください。但し、調度品等にはお手を触れないようご理解・ご協力を頂きたくお願い致します。
※山本家住宅は、第1、第3日曜日の10時00分~16時00分に公開中です。
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