燈籠 その7 異体字の巻
小生、6年ほど前より網干公民館の古文書学習会に通っている。
覚えが悪く他の方に迷惑ばかりをかけているのが現実である。
古文書解読は『くずし字』が読めるようにならないといけないのだが、その他に『異体字』なるものが登場する。小生は習い始めた頃よりどうもこの『異体字』が気にいっている。
今回はこの『異体字』を興浜自慢の拝殿前の燈籠の文字から、勉強してみましょう。
『異体字』を広辞苑で調べるとこうある。
異体字:漢字や仮名の標準字体以外のもの。とある。
東側の燈籠の西面
文字が解りやすくなる様に、チョークの粉をすり込んで写真を撮ったものです。
右から、鹽野(しおの)為吉 ・ 塩木(しおき)佐吉 ・ 鹽埜(しおの)辰之助とある。
一番左は見埜(みの)仁右エ門とある。
鹽は塩の、埜は野の異体字である。それぞれ家によって使う文字が違っていたのか、それとも当時の方々の遊び心なのかは、これらの家の方に聴き取りをする必要があるかもしれない。
東側の燈籠の北面
右から、松嶋(まつしま)由太郎 ・ 松嶋(まつしま)猪之助 ・ 枩本(まつもと)重蔵
前田半七 ・ 枩村(まつむら)三代吉 ・ 松嶋(まつしま)瀧蔵 とある。
嶋は島の、枩は松の、瀧は滝の異体字である。
枩・柗・梥の三文字は共に松の異体字で、 島には嶋の他に嶌・の異体字もある。
上の写真は、網干公民館の古文書学習会で講師をされている田中早春先生から
この文字が読めますかとメールを頂いた写真です。
先生からのメールでは『兼田の地蔵さん』と『北原の石棺仏』を探索に行かれた時の写真とあったので、その付近のものでしょう。
答えは 献主 吉田徳松 です。
最後の松の字がわからず、辞書を片手に考えこみましたが、松の異体字である『枩』を上下逆にした文字遊びであるとひらめいた事を覚えています。