1月21日(土) 「さざなみ」
長年連れ添った夫婦の関係が1通の手紙によって揺らいでいく様子を通し、男女の結婚観や恋愛観の決定的な違いを浮かび上がらせていく人間ドラマ。結婚45周年を祝うパーティを土曜日に控え、準備に追われていた熟年夫婦ジェフとケイト。ところがその週の月曜日、彼らのもとに1通の手紙が届く。それは、50年前に氷山で行方不明になったジェフの元恋人の遺体が発見されたというものだった。その時からジェフは過去の恋愛の記憶を反芻するようになり、妻は存在しない女への嫉妬心や夫への不信感を募らせていく。シャーロット・ランプリングとトム・コートネイが夫婦の心の機微を繊細に演じ、第65回ベルリン国際映画祭で主演男優賞と主演女優賞をそろって受賞した。
1月21日(土) 「わたしは生きていける」
近未来のイギリス。アメリカ人のティーンエイジャー、デイジーはイングランドの田舎で親戚と暮らすことになった。当初、孤独感や疎外感に悩まされていたが、徐々に周囲に馴染んでいった。その中で、デイジーはハンサムな青年、エドマンドと恋に落ちた。しかし、そんなのどかな生活もヨーロッパが戦争状態に陥ったために崩壊する。デイジーは明日をも知れぬ世界で、生きるための戦いを強いられるのだった。
ロンドンで核爆弾が使用され、第三次世界大戦が勃発するというあらすじや、ディザスター映画を連想させる不穏なビジュアルに惹かれて劇場へ足を運んだ観客は、実際には作品が「見捨てられた子どもの物語」であることに気づき、その意外性に驚くはずだ。
メグ・ローゾフのベストセラー小説を基にした、異色の青春ドラマということで見ることにした。尚、この本はガーディアンズ・オブ・ギャラクシー賞やブリンツ賞を得てる。
2月15日(水) 『マリアンヌ』
名匠ロバート・ゼメキス監督のもと、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールが豪華共演を果たし、過酷な時代に翻弄されながら究極の愛を試される男女の運命を描いたラブストーリー。1942年、カサブランカ。秘密諜報員のマックスとフランス軍レジスタンスのマリアンヌは、ある重大なミッションを通して運命の出会いを果たす。それは、夫婦を装って敵の裏をかき、ドイツ大使を狙うというものだった。その後、ロンドンで再会した2人は恋に落ちるが、マリアンヌは誰にも言えない秘密を抱えていた。
ラストが何とも切ないかったが、スリル満点の映画でした。<全てが明かされた先にある、『涙』の物語>に納得!
2月17日(金) 『沈黙 サイレンス』
遠藤周作の小説「沈黙」を、巨匠マーティン・スコセッシが映画化したヒューマンドラマ。キリシタンの弾圧が行われていた江戸初期の日本に渡ってきたポルトガル人宣教師の目を通し、人間にとって大切なものか、人間の弱さとは何かを描き出した。17世紀、キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師の真相を確かめるため、日本を目指す若き宣教師のロドリゴとガルペ。2人は旅の途上のマカオで出会ったキチジローという日本人を案内役に、やがて長崎へとたどり着き、厳しい弾圧を受けながら自らの信仰心と向き合っていく。スコセッシが1988年に原作を読んで以来、28年をかけて映画化にこぎつけた念願の企画で、主人公ロドリゴ役のアンドリュー・ガーフィールドが演じた。そのほかリーアム・ニーソン、アダム・ドライバーらが共演。キチジロー役の窪塚洋介をはじめ、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也といった日本人キャストが出演する。
若い時に読んだ遠藤周作の本が、こんなふうに映画化されるとは思わなかった。凄い作品でした。
3月1日(水) 『ラ・ラ・ランド』
「セッション」で一躍注目を集めたデイミアン・チャゼル監督が、ライアン・ゴズリング&エマ・ストーン主演で描いたミュージカル映画。売れない女優とジャズピアニストの恋を、往年の名作ミュージカル映画を彷彿させるゴージャスでロマンチックな歌とダンスで描く。オーディションに落ちて意気消沈していた女優志望のミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーで、ピアニストのセバスチャンと最悪な出会いをする。そして後日、ミアは、あるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく。
ジャズに合わせて踊るところだったり、ミアとセバスチャンのタップダンスのシーンであったり、とにかくみていて楽しかった。
当然のことながら音楽も最高でセバスチャンがピアノで奏でるせつないメロディーや、アップテンポで明るくなれるメロディーなど、本当に全部良かった!
3月7日(火) 『この世界の片隅に』
1944年広島。18歳のすずは、顔も見たことのない若者と結婚し、生まれ育った江波から20キロメートル離れた呉へとやって来る。それまで得意な絵を描いてばかりだった彼女は、一転して一家を支える主婦に。創意工夫を凝らしながら食糧難を乗り越え、毎日の食卓を作り出す。やがて戦争は激しくなり、日本海軍の要となっている呉はアメリカ軍によるすさまじい空襲にさらされ、数多くの軍艦が燃え上がり、町並みも破壊されていく。そんな状況でも懸命に生きていくすずだったが、ついに1945年8月を迎える。
「映画を見た帰り道、ふっと涙が出て止まらなくなった。ここがよかった、と一口で言うのは難しい。が、なんともいえない感にくるまれる。時を置いて涙が出る。ネット上のクラウドファンディングを足がかりにようやく完成した作品」 朝日新聞のみちものがたりで<すずさんが歩いた道>(2/25)で取り上げられていた。
上映館が限られているが見ることにした。普通の日ではあるが観てる人の少なさに驚く。多くの人に見てほしい作品です!
「山に囲まれた呉の地勢はすずさんの時代から変わっていない。街を歩いていると、坂道の先に91歳のすずさんが、ふと現れそうな気がする」(同上)
朝日新聞2/21の記事 原作者・こうの史世さんに聞く も映画を見るきっかけになった。コトリンゴの音楽も良い! スローテンポの「悲しくてやりきれない」も良かった。
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