2月23日(日) 「プリズン・ホテル」 ① 夏
極道小説で売れっ子になった木戸孝之介の身内で、ヤクザの大親分の仲蔵が、温泉リゾートホテルのオーナーになった。招待された孝之介は驚いた。なんとそのホテルは任侠団体専用だったのだ。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ。さまざまな人たちがこのホテルで交差する。熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家などなど、奇妙な人々が繰り広げる、涙と笑いの物語。シリーズ第一作。
3月3日(月) 「プリズン・ホテル」 ② 秋
おなじみ大曽根一家御一行と、酒癖の悪さで有名な警視庁青山警察の慰安旅行が重なったり、元アイドル歌手とその愛人がお忍びで現われたりと、何が起こってもおかしくない一髪触発の事態に、ホテルの支配人の花沢は青ざめた。愛憎ぶつかる温泉宿の一泊二日。笑えて、泣けて、眠れない。シリーズ第二作。
3月6日(木) 「プリズン・ホテル」 ③ 冬
血まみれのマリアと異名を持つ阿部看護婦長が癒しの宿に選んだのはなんと、プリズンホテルだった。大都会の野戦病院ともいえる救命医療の病院勤めの忙しさから逃れてきたのはいいが……。この真冬の温泉ホテルに集うのは例によっていわくつきの人物ばかり。今回は登山の天才、患者を安楽死させてしまった医師、リストラ直前の編集者。はてさて、雪深いホテルで今宵もおこる出来事とは。
山男も登場しますが、「いつかある日」という歌の歌詞が再現できた!
いつかある日
いつかある日 山で死んだら
古い山の友よ 伝えてくれ
母親には 安らかだったと
男らしく死んだと 父親には
伝えてくれ いとしい妻に
俺が帰らなくとも 生きて行けと
息子たちに 俺の踏後が
故郷の岩山に 残っていると
友よ山に 小さなケルンを
積んで墓にしてくれ ピッケル立てて
友に贈る 俺のハンマー
ピトンの歌う声を 聞かせてくれ
3月11日(火) 「プリズン・ホテル」 ④ 春
幸之介の義母・富江は心の底から喜んでいた。息子が文壇最高の賞「日本文芸大賞」の候補になったのだ。これでもう思い残すこともないとまで思っていた。息子を気遣ってか富江は忽然と姿を消してしまった。幸之介が賞の発表を待つのはご存知プリズンホテル。特別な日にもかかわらず、この夜も因縁つきの人びとが泊り込む。懲役五十二年の老博徒から、演劇母娘など、またしても起こる珍騒動。物語は笑って泣ける大団円へ。
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