うちの芝生が一番青い

Tokyoに暮らす、ごくごく平凡で標準的な【ナイスサーティーズ】の奮闘記。

書評 ~ 「東京に暮らす」

2011年05月23日 | 書評
最近区立図書館に行くことが多くなりました。
図書館はなんといっても「書籍代ゼロ」が魅力です。

また書棚を眺めてるうちに、読むジャンルが広がってくるのも良いところでしょうか。


今週のチョイスは

「東京に暮らす」   キャサリン・サンソム 著






イギリスの外交官である夫に伴って来日した著者が、昭和初期の東京の街と
人々の暮らしを軽妙な筆致で描いた日本印象記。

「東京の人々はどんな暮らしをしているのか・・」
イギリスに暮らす友人や親せきのという問いに答えるために書いたものです。


全く違う日本人の習慣や考え方に戸惑いつつも、「日本人の素晴らしさ」を紹介する内容となっていて
著者がいかに日本人の人柄や勤勉性を好意的にとらえていたかがよーく伝わってきます。

~日本人を観察していて感心することが二つあります。
 一つは 日本人がとても幸せな国民であること。
 もう一つは 今日は目新しかったことが明日にはもう当たり前のことになっていることです。

こんな表現に集約されています。

食べ物のおいしさ、日本人女性が美しく賢いこと、工芸品や季節を感じる感受性に優れていること、などなど
当時最先端の国であったイギリス人の目にこのように映っていたことは、とても嬉しくなります。


また挿絵がなかなか味わい深く、おもしろい。

  そばやの出前


  結婚式


  風呂


  金魚売り


  玄関


ちょっと誤解が入っている、こんな観察もあります。


日本人がもてなし好きなのをみて・・・
「日本人はまるで宴会のために生まれてきたような国民です・・・」


長い挨拶のやり取りをみて・・・
「お辞儀は理解不可能です。二人は喜び合って身を深くかがめ挨拶の言葉をつぶやきます。お辞儀は次第に浅くなり
 お互いに目を見つめて、いつまでお辞儀を続けるか決めます。 そしてまた目を見つめあって品よくお辞儀を終え
 暗黙のうちに挨拶の儀式は終了します。」

といったふうに・・・。ちょっと面白い。


当時の生活が垣間見られたようで、なかなか面白い本でした。
こんな本にふっと出会えるのも図書館の魅力と言えるでしょうか・・・。