「ヘリのローター音も聞こえないな」
やや運転に余裕の出てきた田村は、ニュースや渋滞情報を聞くためにつけていたラジオを消して呟いた。車がつけて来る様子もないし、尾行するなと言っておいたにしてもおとなしすぎる。
「奴等、この中古車にGPSでも取り付けたんじゃないか?」
車の下に潜って確認するなんて面倒な汚れ仕事をするのは御免だが、近藤が手駒に残っていればやらせられたのに。だいたい、あいつがいれば運転もしないですんだ。
ここまで考えて、田村にいいアイデアがひらめいた。
「次のパーキングエリアで止まる。トイレに行かせてやるよ。僕と一緒だから、男子トイレだけどな。車酔いした彼女を介抱するって、1回やってみたかったんだ」
田村がゾッとする顔で笑って、「お前は催眠術が使えるんだよな。トイレの後で一仕事してもらうよ。もちろん、僕とお前の栄光ある将来のために」と付け足した。
「車を乗り換える。僕が適当な車と運転手を見つけたら、お前の出番だからな。そいつにスウィートホームまで送らせよう」
田村が哄笑した。気持ち良さそうな笑いだが、そばにいる藍原には不気味にしか見えない。
やや運転に余裕の出てきた田村は、ニュースや渋滞情報を聞くためにつけていたラジオを消して呟いた。車がつけて来る様子もないし、尾行するなと言っておいたにしてもおとなしすぎる。
「奴等、この中古車にGPSでも取り付けたんじゃないか?」
車の下に潜って確認するなんて面倒な汚れ仕事をするのは御免だが、近藤が手駒に残っていればやらせられたのに。だいたい、あいつがいれば運転もしないですんだ。
ここまで考えて、田村にいいアイデアがひらめいた。
「次のパーキングエリアで止まる。トイレに行かせてやるよ。僕と一緒だから、男子トイレだけどな。車酔いした彼女を介抱するって、1回やってみたかったんだ」
田村がゾッとする顔で笑って、「お前は催眠術が使えるんだよな。トイレの後で一仕事してもらうよ。もちろん、僕とお前の栄光ある将来のために」と付け足した。
「車を乗り換える。僕が適当な車と運転手を見つけたら、お前の出番だからな。そいつにスウィートホームまで送らせよう」
田村が哄笑した。気持ち良さそうな笑いだが、そばにいる藍原には不気味にしか見えない。