On The Road

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第2話-10

2010-06-30 20:10:00 | OnTheRoadSSS
 骸骨は確かに「カリブの海賊」に消えて行った。4人は普段なら行列ができている「カリブの海賊」の前でバイクを下りた。警備員らしい長身ではないたくましい男が、肩幅より少し広く足を開いて立っている。
 「ご苦労様です。あいつはこの中?」
 村崎は下を向いて裏声で、男に話し掛けた。
 「いや、出口に走って行きましたよ」
 警備員は右手奥の出口を指差す。
 「ありがとう。じゃ、向こうを探してみる」
 村崎は黒木に耳打ちした。「こいつは元柔道部。俺、苦手なんです」

 「逃げた男の特徴を聞いてくる。村崎たちは隙を見て建物に入れ」
 黒木はにこやかに笑いながら、「県民の誇りのTDLで爆破騒ぎなんて、ふざけた奴です」と、男に近付いた。
 男は話を合わせようと、「許せない馬鹿どもです」と苦々しげにつぶやいた。
 「逃げてきた男の特徴は」と手帳を出して、黒木はわざと落としてみせた。警備員は腰を低くして襲いかかる構えをした。「悪趣味な服を着ていたんですよね」
 警備員風の男の襟元に骸骨スーツが見えた。
 黒木は男の襟首を掴んだ。「こんな柄の」
 男は呆気なく投げられた。

 「なんだ、口だけだったのね」
 村崎達は施設の中に入った。


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