On The Road

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第6話-4

2010-12-12 20:04:00 | OnTheRoadSSS
 「僕達のデートを邪魔するなよ。尾行なんかしたら、女の命はないからね」
 田村は冷たく言い放って、車を急発進させた。つんのめるように走り出した車を目で追って、「あいつの運転のほうが心配だ」と村崎が呟いた。

 乱暴な運転に助手席で揺すぶられながら、藍原は強く念じ返した。緑川からのメッセージはしっかり受け止めた。死んでもいいなんて、もう考えない。レンジャーズの全員が、私を助けたいと思ってくれている。
 あの状況で緑川が何もできなかったのは仕方ないし、自分の力を過信して銀行に踏み込んだ自分に責任がある。催眠は人の心を持った相手にしか効かないらしい。

 細身のライダーを載せたバイクが2台、走り出した。フルフェイスのヘルメットで顔は見えないが、黄と青山なのはわかる。銀行の前にいた人達が動き出した。
 きっと黒木さんも他のメンバーもこの車をトレースしている。
 信じて待とう。眼鏡の男は運転に集中しすぎるほど集中しているから、少なくとも運転に慣れるまでは、危害を加えられることはなさそうだ。

 「まず、僕の秘密基地にお前を案内するよ。お前と警察の動きによっては、そこがお前の墓場になる」
 5つ目の信号の停止線ギリギリで停まった時、男が言った。少しだけど運転に慣れてきたようだ。


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