On The Road

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3-23

2010-01-21 23:10:07 | OnTheRoad第3章
 サトウさんが歩き出して「コーヒーでよかったの?」とアキエさんに聞かれたら、ジュースがよかったような気がした。「あの人は何でも自分で決めちゃうから」。でも決めてくれるから楽な気もする。

 自販機の前に立ったサトウさんにアキエさんは「私はミルクティーがいいわ」と言った。「僕はオレンジジュースにしてください」と僕も言った。サトウさんが意外そうな顔をしたのがわかる。

 だけど、「ごめん、先にコーヒー2つ買っちゃったんだ」とサトウさんにコーヒーを渡されても、僕はジュースがいいと言えたことにも、コーヒーでもいいと思えたことにも満足だった。

 アキエさんは「ありがとう」とミルクティーを受け取っておいしそうに飲んだ。アキエさんの隣りにサトウさん、その隣りに僕が座って中庭を眺めた。
 「だいぶ花芽が出てきたな」とサトウさんがポツリと言った。「もうじき春ですもんね」とアキエさんが言ったけど、僕には春の気配はわからない。2人には同じ時間が流れている感じだ。


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