第6話-9

　村崎達の車が着くと、黄と青山はバイクのそばでホットドッグを食べていた。「ワタシ達、タバコも吸わないしブラブラしてるのも怪しいから、これ食べて待ってたネ」言い訳するように黄が言った。
　「黄さん、ナイス。俺と赤沢も小腹が減って、おにぎりを食べたところだ」と村崎が言っても、「すみません、遊びに来てるんじゃないのに」と青山が謝った。

　「青山、うまかったか？」
　黒木が聞いた。「私の分はおにぎりが足りなかったら、１つ買ってきてくれないか？」

　差し出された千円札をポケットに捩じ込んで、青山はバイクに跨がった。「最高、うまいっす。すぐ戻ります」
　「ケチャップはいらない。マスタードはたっぷり頼む」
　黒木の声に「はい」と答えて、青山が走り出した。

　「ここまでお疲れ様。車に乗ってくれ。衛星監視システムからリアルタイムで情報が入る。動きがあれば、後は私と村崎がバイクで車を追うので、少し休んでくれ」

　「眼鏡の野郎の車はなかなか動かないですね。食事をしている様子もないし、何度も回ってみたけど、駐車してあった車で出て行ったのもない」
　「まさか、観光バスを乗っ取ったわけじゃないだろうな。そんな派手なことをしたら、すぐばれるか」
　村崎が思案顔で言った。