第6話-8

　「赤沢に赤鬼ってあだ名を付けたの青ちゃんだっけ？すげえネーミングセンスだな。今の赤沢は本当に赤鬼だぜ」
　村崎が赤沢の肩を叩いた。赤沢は村崎とは１５cmも身長が違うから、肩を叩くのはちょうど手を下ろすような感じだ。

　赤沢は村崎を見上げて、「女の子に暴力を振るう男は最低だ！ピストルを突き付けるなんてもっての外！」と、吠えるように言った。赤沢の赤みを帯びた顔が、どす黒くなった。
　「俺達が現場に着けば黄や青山も揃うから、ちょっと冷静になれよ。頭に来てると、判断を誤るぞ」

　「実際、そばにいても何もできないけど、私のような平凡な者にも藍原さんの思いが伝わってきたんです」
　緑川が言った時、「間もなく現場に到着する。藍原の思いを受け止めてくれ」と黒木が言った。

　「空港のイメージは伝わってきたんです。田村は海外逃亡を考えているようですが、奴はジャケットしか持ってなかったですよね」
　「パーキングに別の車を駐めてあるのかな？乗り換えて移動されたら、監視システムが効かなくなるな」

　「黄と青山がバイクでパーキング中を走り回ってくれたが、空港までの逃走用に用意されたような車はないようだ」
　「黒木さん、ザイト団を俺と一緒にクビになった奴を強盗団にスカウトする男だ。思わぬ伏兵がいるかもしれませんね」
　村崎はディスプレイをにらんだ。