「介護職員と清掃作業員です」
男達の声が聞こえた。尻を撃たれた大竹は立ち上がれないし出血がひどいから、体格のいい作業員が2人がかりでストレッチャーに載せた。血溜まりに洗剤と水が撒かれて、デッキブラシで擦る音が聞こえてくる。
女は特に抵抗もせず田村に時々話し掛けていたが、「おしゃべりな女も嫌いだ」と言い聞かせてやったらやっと黙った。
「車にお前を載せたら、そのまま空港に直行する。航空券は取ってある。ただし、僕の分だけ」
田村が粘着テープで女の手首を後ろ手に縛り上げると、女は真っ直ぐに田村の目を見た。
「お前がいい子でいてくれたら、いつか僕の王国に招待してやるよ」
「私を殺すの?」
女がか細い声で聞いた。よい傾向だ。死への恐怖で、この女は恭順になりつつある。
「いい子でなければな。でもおとなしくしていれば、プリンセスになれる」
田村は口を歪めて笑った。女は意外なことにほほ笑んだ。
「こんな気持ちだったのね」
女の真意は分からないが、自分という理想の男に奪われた喜びで、うっとりしているのだろう。
しばらく夢を見ていればいい。邪魔になったら捨てられる運命だが。
第6話につづく
男達の声が聞こえた。尻を撃たれた大竹は立ち上がれないし出血がひどいから、体格のいい作業員が2人がかりでストレッチャーに載せた。血溜まりに洗剤と水が撒かれて、デッキブラシで擦る音が聞こえてくる。
女は特に抵抗もせず田村に時々話し掛けていたが、「おしゃべりな女も嫌いだ」と言い聞かせてやったらやっと黙った。
「車にお前を載せたら、そのまま空港に直行する。航空券は取ってある。ただし、僕の分だけ」
田村が粘着テープで女の手首を後ろ手に縛り上げると、女は真っ直ぐに田村の目を見た。
「お前がいい子でいてくれたら、いつか僕の王国に招待してやるよ」
「私を殺すの?」
女がか細い声で聞いた。よい傾向だ。死への恐怖で、この女は恭順になりつつある。
「いい子でなければな。でもおとなしくしていれば、プリンセスになれる」
田村は口を歪めて笑った。女は意外なことにほほ笑んだ。
「こんな気持ちだったのね」
女の真意は分からないが、自分という理想の男に奪われた喜びで、うっとりしているのだろう。
しばらく夢を見ていればいい。邪魔になったら捨てられる運命だが。
第6話につづく