御嵩町には、最近、住民の手によるまちおこしで、「とんちゃん」という豚の内臓のグルメがされ提供されている。このとんちゃんは、地元の人でも知る人の少ない面白い歴史が隠されえている。
御嵩町では、特に戦前、戦後に亜炭という石炭の1種で褐炭という石炭の中でも水の分と灰分が多く、燃料としてカロリーも質的にもそんなに高くないが、この亜炭を御嵩町で大量に産出されていた。戦前戦後という経済状況の中では安価であることで、中部地区を中心に繊維業などの中小企業や家庭用として、戦後の日本経済に活力を与えるという役割も担っていた。この亜炭鉱で多くの半島からの移住者の方々が、数多く働いていたようである。
さて、そこでとんちゃんの話に戻すと、御在売り出し中の「とんちゃん」は実はこの半島からの移住者の方々が伝えて下さったグローバルなグルメなのである。
御嵩町にあった堵殺場で働いていた人が、豚の内臓を捨てようとすると、この移住者の方々が、ほしいと懇願されたので、「ほうるもんやで(捨てるものだから)、ええぞ」と言って、移住者の方に与えたそうである。この「ほうるもん」を今では、豚の内臓料理を「ホルモン料理」と呼ぶようになったのである。カタカナ語がもてはやされた時代背景もあって、それまでの「とんちゃん」の名が消えて「ホルモン」として売り出した店も御嵩町では、出現するようになった。仏教をはじめとするいろいろな文化が朝鮮半島から伝えられたといわれているが、このホルモンもその一角を担うものであろう。今ではこの「とんちゃん」常時食べさせてくれる店も少なくなってしまったのが、残念な思いである。
こうした異文化を取り入れながら、わが国は発展を遂げてきたのである。現在のまちおこしによる「とんちゃん」の販売により、安価なホルモンを囲んでの談笑がわが町に蘇るのを期待したい。
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