カリフォルニア便り ーFROM OQ STUDIOー

~南カリフォルニアから~
陶芸家の器と料理、時々王様の日々

サバの味噌照り焼き

2011年12月22日 | Food

数あるお魚の中でも、かなり好きでございます、サバ。

味噌煮など、誠に結構でございますが、

味噌煮ともなりますと、どちらかと申しまして白米のお伴に最適。

しっかりした味付け故、お魚自体の分量も小さな切り身で一人分という事になります。

マーケットで、脂の乗っていそうなサバをゲット致しました。

そんな訳でサバをたっぷりの分量、メインディッシュとして味わいたかったので、

味噌煮の魅力をそのままに、もう少し勢いのある一品を考えました。

<サバの味噌照り焼き>でございます。

既に、お魚から濁った水分が出ておりますね。

この水分がお魚のお味を台無しにする悪者でございますので、まずは下処理。

海水程度の、しっかりした食塩水に15分浸します。

これをするのとしないのとでは、仕上がりに天と地の差が出ます。

魚の不要な水分と、生臭味がこのひと手間で消えます。

その間に味噌照り焼きのタレを準備致します。

酒、みりん、砂糖、味噌、醤油。そこにショウガの絞り汁を加えて混ぜます。

ショウガは絞りカスごと入れてしまいますと、焼く時に瞬く間に焦げてしまいます。

お味の塩梅はお好みですが、味噌が醤油に勝つ加減の方がよろしいです。

15分塩水に浸したお魚は、ペーパーで挟んで水気を押さえます。

本日のサバは、大変脂が乗っておりますので油を引かずにフライパンで焼きます。

両面とも、こんがりと焼き目を付け、しっかりと中まで火を通します。

ここで、準備しておいたタレを一気に流し込みます。

サバ全体にタレを絡めるようにしながら、照りを出しつつ味噌を焦がします。

このアメージングな香り、最高でございます~。

焼き上がりました。

フライパンに残った焦がし味噌も、きちんとお魚に乗せましょー。

味噌煮のように中までお味が染み込んでいませんから、

サバ本来の旨味やジューシーな身の食感を堪能しつつ、

味噌照り焼きのタレが何とも美味しい一品となりました。

 

さて、本日私の冷蔵庫には、

昨日仕込みました常備菜が色々と入っているのでございます。

ナメタケは、千切りにした山芋と合わせ、刻み海苔とわさびで。

インゲンのナムルきんぴらごぼうは一皿に二種盛り。

それぞれ全く違う味わいのお料理を盛り合わせますと、器の中にリズムが生まれます。

サツマイモと根昆布の炊き合わせも、一晩経って一層味わいを増しました。

さあさあ、こちらで一杯始めてくださいな。

私はその間にもう一品作りますね。

<もやしとハムのウスターソース炒めカレー風味>です。

もやし細切りにしたハムをサッと炒めてウスターソースコショウで味付けし、

少量のカレー粉でアクセントを付けます。仕上げに青ネギを刻んで。

メインのサバが味噌のしっかり味ですので、

こちらもスパイシーなカレー風味でバランスを取りました。

 

常備菜のおかげで、私が最も好きな「器が沢山並ぶ食卓」が出来上がりました。

シンプルなものを重ねていく事で生まれる奥行きや、さりげない優雅さ。

これは、食にもファッションにも共通する私の好みでございます。

今日はね、バーテンダーの親友が尋ねて来てくれているんです。

彼は日本人ではないにもかかわらず、私の家庭料理を心から愛してくれています。

クリスマスプレゼントを届けに来てくれるという席でしたので、

もっとクリスマスっぽいもの。。。。とも考えたのですけれど、

私らしく、酒飲み男子二人が大好きなものを用意して迎える事に致しました。

男同士、今夜はゆっくり飲んでいただくことに致しましょう。

 

では



常備菜あれこれ

2011年12月21日 | Food

いよいよ今年も残すところ10日ほどとなりました。

日々を自分のペースでなどと思っておりましても、中々に難しい時期でございます。

追われるように雑事をこなしておりますと、ついつい注意が散漫になりまして、

思わぬアクシデントや病気を背負い込む季節でもありますので、

どちら様も、くれぐれもお気をつけ下さいます様。

 

かく言う私、昨年の暮れには大風邪をひきまして、

あわや年末年始を棒に振るところでございました。

そこはそれ、私の唯一の財産である根性で全てを滞り無く済ませ、

無事新年を迎えることが出来ましたが、

しんどかった。。。。。

振り返りますと、健康管理を怠ったと申しますより、心ここに有らず。

昨年末の私は地に足が付いていなかったのだと分析致しております。

 

複雑な人間関係から身体と心の健康に至るまで、

全ては食が解決してくれると信じて止まない私ですので、

今年こそは地に足をつけて年末を乗り切るべく、本日は常備菜作りを致しました。

単純に常備菜が直接健康管理をしてくれるという訳では有りませんが、

家庭料理の根底を支える常備菜を作るという行為自体が、

私の心を足元に向けさせ、日常の在るべき姿を再認識させてくれるのです。

まずは<ナメタケ>

長さを三等分にしたエノキを鍋に入れ、酒、みりん、醤油、酢を振りかけます。

味の濃さはお好みですが、酢はたっぷりとお使いください。

煮込むうちに酸味は消え、コクだけが残りますので、使い過ぎの心配はございません。

蓋をしてそのまま中火に掛けます。水を入れる必要はございません。

しばらく致しますと、このように水分が出てエノキに火が通ります。

この時に味を整え、更に10分程煮込んで完成です。

私の故郷はエノキの産地。瓶詰めのナメタケが作られております。

地場産業の発展に水を差すつもりはございませんが、

瓶詰めのものよりこちらの方が、遥かに美味でございます。

大根おろしを添えて、炊きたて御飯とともにそのまま頂くのは勿論、

ツナ缶と共に炊き込み御飯に致しますと大変美味しゅうございます。

次に<インゲンのナムル>

インゲンを柔らかめに茹でます。

保存容器に直接、ごま油、刻んだ赤唐辛子、出来る限り細かく刻んだニンニクを入れ、

茹で上がったインゲンを水切りし、熱いうちにこの中に入れ、塩をふって混ぜます。

これで出来上がり。

私は匂いの移り易い物はパイレックスの容器を使いますが、それでも蓋はプラスチック。

蓋にニンニクの匂いが着きますと、別のものに使えなくなってしまう恐れがございます。

それを防ぐ為に、サランラップで一旦覆ってから蓋を致します。

これで、蓋に匂いが着くのを防ぐことが出来ます。

<サツマイモと根昆布の炊き合わせ>

根昆布はだし昆布よりも肉厚で香りも高く、栄養価も優れております。

但しこちらで出汁を取りますと出汁が濁りますので、繊細なお料理には向きません。

サツマイモは半月切りに致しまして、最低でも20分程水にさらして灰汁抜きします。

出汁を取った後の根昆布を細切りにしたものと、サツマイモをだし汁に入れまして、


落としぶたをして、砂糖、酒、みりん、塩、しょうゆで煮込みます。

煮込む時間はサツマイモが柔らかくなるまで10分程度で充分です。

煮込み過ぎは煮崩れを起こすだけです。味を染み込ませてくれるのは時間でございます。

こちらは鍋に入れたまま冷まします。その間に味が染み込んでくれます。

もう一品、<きんぴらごぼう>なんぞ。

薄くを引いたフライパンで炒め、油が全体にからみましたらをふりかけ、

まずは酒だけで炒り付けます。次に砂糖を振込み、更に炒り付けます。

歯ごたえを残しつつ火が通りましたら、醤油を鍋肌から廻し入れます。

香ばしい香りが立ち上りましたら直ぐ火を止めて、ごま油と白ごまを加えて混ぜます。

この作り方ですと、水っぽくなったり、油っぽくなったりせず、

短時間でスッキリとした味わいのきんぴらごぼうが出来上がります。

きんぴらごぼうは、出来次第直ぐに容器に移します。

フライパンに入れたままですと、余熱でどんどん火が入り、

ニンジンとゴボウの煮物の様な、冴えない仕上がりになってしまいます。

常備菜、四品が整いました。

手際よく事が運びますと、所要時間一時間で片付けまで全て終了致します。

 

常備菜と申しますのは、派手な料理ではございません。

食卓の華となることは難しい地味なお料理と言えます。

でも不思議です。私にとりまして、この様な常備菜が冷蔵庫に何品か入っておりますと、

伊勢エビやズワイガニが鎮座している光景よりも頼もしく感じられるのです。

目の前の華やかな物に心を奪われ、つい見失ってしまいがちな縁の下の力持ち

食に限らず、この様な季節こそ目立たぬものに心を向けられる私でありたいと思います。

家庭料理の神髄とも言える常備菜を切らさない暮らしをする事で、

地に足の着いた年の瀬を過ごそうと思う今日この頃でございます。

 

では

 


とっても便利なスパイシーツナ♪

2011年12月20日 | Food

とある国のお料理が海を渡り紹介され、その国の人々の好みに合わせてMake Overされる。

旅先で食べた味を自宅で再現したい気持ちは皆同じですから、この様な事はよくございます。

別けても日本人というのはそう言う事が大変得意で、意欲的に研究がなされております。

いわゆる洋食屋さんの洋食などは、日本食の一つの分野であると思っておりますので、

海外在住の私はことあるごとに友人に振るまい、個人的に胸を張っております。

先日ポルトガル人の友人と食事をしておりました時、

彼のお母様の手料理に話しが及びまして、日本の食文化との共通点の多さに驚きました。

過去の両国の歴史を振り返れば、別段驚く事ではないのかもしれませんが、

もはや原形をとどめぬまでに鮮やかに変身し、 

日本の家庭料理として定着していることは特筆に値します。

 

このように、日本の食文化の一部が他国の食文化の恩恵を受けながら磨かれましたり、

時にはそれぞれの良いとこ取りをして成り立っているにもかかわらず、

海外で、何故かかたくなにAuthenticであることに執着する同邦と出会う事がございます。

食文化は伝統に裏打ちされているべきであり、その伝統は日本人の手で継承されるべき。

まあ、正しいです。正しいですが、私は全く違う考えを持っています。

 

複雑なカリフォルニアの日本食事情の中に在って、

自分をどう分類するべきか苦悩しているであろう料理の一つが『巻物』。

お寿司屋さんで頂く、のり巻きです。

皆様もご存知の通り、カリフォルニアにはカリフォルニアロールを筆頭に、

この地で生まれた巻物が沢山ございます。もうその辺のスーパーマーケットでも買えます。

さて、このバラエティー溢れる巻物達が日本食では無いと主張する事は、

日本食文化を守るという上で大切なんでしょうか?

酢飯を広げ、具材を乗せ、海苔で巻く。

このすばらしいアイディアを創造した先人を誇りに思いつつ、

具材的には世界に広く門戸を開いた場合、日本の食文化は滅びるんでしょうか?

カリフォルニアの料理人の皆様。どうか皆様が工夫に工夫を重ねた巻物達を、

堂々と『カリフォルニア料理』に分類して上げて下さいませ。

 

カリフォルニアの巻物の一つに、スパイシーツナロールというのがございます。

マグロのブツをマヨネーズベースのスパイシーなソースで和えたのり巻きです。

美味しいですよ。 私は大好きです。

これは勝手な想像ですが、このスパイシーツナのルーツは、

ハワイのマグロ料理、ポキだったりするんでしょうか?ポキも美味しゅうございますね。

カリフォルニアのマグロは、ハワイ産の物が多いのですが、素晴らしいです。

時として赤身は特に、日本のお寿司屋さんで頂く物より美味しかったりします。

でもね、そう言うマグロがいつでもどこでも手に入る訳ではないです。

生食に耐え得るクオリティーではあっても、B級品の生魚はどうしても生臭い。

スパイシーツナロールは、そのような生魚流通事情を背景に、

アメリカの日本食レストランの板場から生まれた、工夫料理かと思います。

手に入る食材を、既成の概念に捕われずに美味しく食べさせる。

私はそのような工夫をなさる料理人の皆様を心から尊敬致します。

勿論、彼らの国籍など関係無いのでございます。

 

 

マグロの赤身。

私にとってはクオリティーの如何に関わらず、直ぐ手に入る物では有りません。

ですので私はツナはツナでも、ツナ缶を使ってスパイシーツナを作ります。

作ると申しましても、3分で出来ます。

ツナ缶の水気を切って、マヨネーズ、豆板醤、ごま油、白ごまを入れて混ぜるだけ。

こちらで使われるのは厳密には豆板醤ではないのですが、豆板醤で十分代用出来ます。

お好みで、刻んだ青ネギを加えて頂いてもよろしいです。

これは、本当に便利なんです。

例えばキュウリセロリをスティック状に切った物に添える。

私のスパイシーツナは、ディッピングソースのようにトロリとしたものではないので、

スプーンなどで、お野菜の上に好きなだけ乗せて頂きます。

<スパイシーツナサラダ>

ツナサラダと言えばサラダの定番ですが、

このようにエスニックな味付けのツナも、目先が変わってよろしいかと。

全体にツナを和えてしまうのではなく、ポン酢とごま油で和えたお野菜にトッピング。

このサラダには、コーンの甘みがアクセントとなりますので、私はよく使います。

<スパイシーツナおにぎり>

これはスパイシーツナの使い方で、私が最も好きなものです。

炊きたて御飯のおにぎりって、何故にあれほど美味しいのでしょうか?

応用編として、手巻き寿司の具材としてもお使い頂けます。

 

その他には、<スパイシーツナトースト>

食パンにスパイシーツナとピザ用チーズを乗せてトーストします。


それから<スパイシーツナパスタ>

オリーブオイル、ニンニク、お醤油で炒めた和風パスタに、

さらしタマネギと共にトッピングすると美味しいですよ!

仕上げに刻み海苔をたっぷり盛ります。

 

元々が、シンプルな一品なので、いくらでもアイディアは出て来ます。

一杯飲みに、我が家のバーをふらりと尋ねてくれる酒客にも評判が良いので、

パントリーには常にツナ缶が常備されています。

こういった一瞬芸の様な一品のレパートリーは、沢山持っていると安心です。

ゲストの人数が急に増えたり、途中でテーブルが寂しくなってしまったり、

そのような時、ニッコリ笑ってササッと一品。そんなヒトでありたい私です。

 

では


 

 


焼きキノコのサラダ

2011年12月16日 | Food

前回を少し引きずるお話なのですが、

土井家の若先生が番組中、こんなことを仰っておられました。


「お料理と申しますのは、練習するといったものではございません。

繰り返し作ることで慣れて参りまして、手が動くようになって参りますね。」

 

大変に奥の深いお言葉です。

特に『手が動く』ということは、料理に限らずとても大切かと思います。

手が動くというのは、単に手先が器用であるとか手早いということでは有りません。

『手を動かす』ためには、まず『心を動かす』というのが前提にございまして、

料理をしていて少しでも手が空けば、サッと洗い物を済ませたり、

野菜くずが目についたら、鍋に掛けてスープストックを取っておく。

宴が盛り上がり、テーブルの食べ物が心もとなくなって来たならば、

頃合いを見計らって、一品二品と見繕う。

この様なことは、気働きが出来て初めて行動になるのです。

若先生が仰られた「手が動く」ということは、こういうことではないかと思う次第です。

これは、陶芸を人様にお教えしていても同じです。

最初は皆様同じようにぎこちなくとも、手が動く、すなわち気働きの出来る方は、

いずれ必ず素晴らしい作り手となります。

 

本日は、ランチの集まりがございまして、イタリアンをお腹いっぱい頂きました。

会食続きの今日この頃、せめて自宅で食事の出来る時には、

内蔵を休め、デトックス効果が高くてカロリーの低いお食事を。

こんなこともキッチン担当の私にとっては気働きの一部かと心得ます。

で、本日は焼きキノコのサラダ

ミネラルと食物繊維が豊富で、カロリーは無いに等しいキノコ。

このキノコの旨味を、焼くことで引き出すサラダです。

天板にオーブンシートを敷き、沢山のキノコを並べ軽く塩こしょうします。

本日のキノコは、しめじ、エノキ、エリンギです。キノコなら何でも結構です。

これを高温のオーブンで10分ほど焼きます。

その間にドレッシングを用意致します。

薄切りにしたニンニクを多めのオリーブオイルでカリッと揚げ焼きにします。

ニンニクは焦がすと苦みが出ますが、

焦がさずに中までカリッとさせるコツは低温で少しずつ加熱することです。

刻んだアンチョビ、レモンジュース、バルサミコ

これらをニンニクが程よく揚がった頃合いを見計らって加えます。

これがドレッシングとなります。アンチョビが塩加減をしてくれますので、

これ以上塩気を加える必要は有りません。

キノコが焼けました。

キノコというのは焼きますと、甘みと土の香りが高まります。

炒めたものとは味も食感も全く違います。

お好みの葉野菜と熱々の焼きキノコを大きなボウルに入れて、

上からこれまた熱々のドレッシングを廻しかけて、優しく大きく混ぜます。

私は、暖かいものと生野菜を合わせるサラダを度々ご紹介しておりますが、

私はこの手のサラダが本当に好きなのでございます。

具材の熱が生野菜に程よく味を入れてくれ、ご馳走感溢れるサラダになります。

この種のサラダは前もって作っておくことには適しません。

キッチンに立って、よく手を動かし、楽しく作って楽しく頂きます。

 

では





肉味噌で作る根菜汁&その後のお楽しみ

2011年12月15日 | Food

恩師と申しますのは、やはり直接教えを受けた師を指す言葉でしょうか?

だとすると、私は直接教えを受けた訳ではないので、

恩師と申し上げるのは不適切なのですが、それしか言葉を思いつかないので失礼つかまつる。

 

私の料理の恩師は、故土井勝先生でございます。

テレビを見ないっ子だった私が、唯一食い入るように見ておりましたのが、

当時、恐らく毎日放送されていた、先生のお料理番組でございました。

家庭料理の基本中の基本を判り易く解説して下さる穏やかな口調は、今も耳に残ります。

他の子が漫画に見入るように、先生のお手元を食い入るように拝見しておりました。

その後の私は、同じく先生の弟子?であり、料理好きだった母の妨害にもめげず、

次第に実家の台所を占拠することになったのです。

 

私がのらりくらりと生きております間に、土井家は代替わりをされておりました。

先生のご子息である土井善晴先生を、先日テレビのお料理番組で拝見いたしまして、

何故か胸が熱くなった私でございます。

お父上同様、穏やかな笑顔で素晴らしいお料理をご紹介になっておられました。

私は、レシピ丸写しで料理をするということをあまりいたしません。

理由は、こちらでは手に入らない食材があったり、

同じ食材であっても調理法を変える必要があることが多々有るからです。

本日のお料理も、若先生が紹介しておられた『芋煮汁』の手順から、

”肉と味噌を焼き付ける”というキモの部分だけを使わせて頂き、後は私流でございます。

 

本日は、こんにゃくの下処理から。

このように、出来損ないの盃(そんなものをお持ちでなければコップでも)を使い、

こんにゃくを一口大に切ります。金物を当てないことで味の染み込みが良くなります。

サッと茹でるのではなく、延々と15分程茹で続けます。

一旦お湯を切り、再度鍋に戻して炒り付けます。

独特のちりちりとした音がしますが、焦げませんので執拗に炒ります。

加減は、表面を触って、水気を感じなくなるまででございます。

この処理は、非常に効果があります。こんにゃくが、とにかく美味しくなるのです。

その他の材料は、里芋、ニンジン、笹がきゴボウ、豚ひき肉

ちなみに若先生は、すき焼き用の牛薄切り肉をお使いになっておられました。

鍋に油を引かずにひき肉を平らに入れます。

急いで混ぜ合わせず、片面が焦げ始めるのを待ってほぐし始めます。

鍋にくっつきますし、徐々に焦げ付き始めますが、その焦げ付きこそが出汁の決め手です。

味噌を投入し、味噌とひき肉を焦がしつつ練り上げ、香ばしい肉味噌を作ります。

味噌の焦げる匂いは素敵です。さすがは若先生。

出来上がった肉味噌は、一旦取り出します。

良い感じにこびりついています。間違っても拭き取ったり、洗ってはなりませぬ

この一見汚れた鍋が、根菜に魔法を掛けてくれるのです。

こちらの魔法のお鍋にお野菜とこんにゃくを投入し、一混ぜしてからお酒を加えます。

そして、先日から冷蔵庫で待機していた利尻昆布の2番だしを加えます。

木べらなどで鍋底や鍋肌をこそげながら、こびりついた旨味をしっかりこそげて下さい。

その後みりんを加え、蓋をして中火で煮込みます。

美味しいお出汁を二度までも提供してくれた昆布氏とも今日でお別れ。

フナーレは、細く刻んで少量の塩と沢山の酢で漬け込む浅漬けに

お野菜が柔らかくなりましたら、取り出しておいた肉味噌を加えます。

10分ほど煮込んで火を止めます。火を止めてから最低でも2時間ぐらいは放置。

時間が食材の旨味を引き出してくれますので、この段階で味を決めてしまわないで下さい。

2時間後には、塩気に頼らなくても良くなるはずです。

食べる直前に味を見て、必要ならばお醤油を補います。

根菜などのお料理は、滋味豊かで素晴らしいのですが、色が茶色い・・・・

ですので、色鮮やかなサイドディッシュを添えます。

冬の生野菜は冷蔵庫で冷やしたものではなく、室温で頂くのがよろしいかと思います。

室温のトマトは冷たいものより甘みを、浅漬けは風味を、より堪能することが出来ます。

寒い季節は特に、テーブルの上のお料理の温度差を小さくすることを心がけます。

バーテンダーが、熱燗で一杯始めた様です。

具沢山の汁物はお酒のお伴としても、とてもよく合うのだそうですよ。

大きな塗り碗にたっぷり盛って、青ネギと七味唐辛子で頂きます。

ひと手間掛けて香ばしい肉味噌に仕立てられたひき肉が美味しい!。

煮込んで尚、味噌の香ばしさを保ち、出し殻のようになっておりません。

若先生!大変結構な御点前でございました。しかと勉強させて頂きました。


さて番組の最後で、先生は笑顔で恐るべき一言をおっしゃいました。

「翌日は、これをカレーに仕立てて召し上がっても美味しいですよー

まだ食べたそうなバーテンダーを思い留まらせ、

私自身も後ろ髪を引かれつつ、 明日の分を残しましたとも!

若先生の言いつけ通り、カレーに仕立てさせていただきましたデス。

肉味噌根菜カレー、ここに誕生致しました

言葉不要の美味しさでございました。

「楽しみながら工夫して、最後まで味わい尽くす」

これが私の思う、家庭料理の有るべき姿でございます。

親子2代に渡り、私はこの先も先生方のお姿を追って参る所存でございます。

 

感謝