とある国のお料理が海を渡り紹介され、その国の人々の好みに合わせてMake Overされる。
旅先で食べた味を自宅で再現したい気持ちは皆同じですから、この様な事はよくございます。
別けても日本人というのはそう言う事が大変得意で、意欲的に研究がなされております。
いわゆる洋食屋さんの洋食などは、日本食の一つの分野であると思っておりますので、
海外在住の私はことあるごとに友人に振るまい、個人的に胸を張っております。
先日ポルトガル人の友人と食事をしておりました時、
彼のお母様の手料理に話しが及びまして、日本の食文化との共通点の多さに驚きました。
過去の両国の歴史を振り返れば、別段驚く事ではないのかもしれませんが、
もはや原形をとどめぬまでに鮮やかに変身し、
日本の家庭料理として定着していることは特筆に値します。
このように、日本の食文化の一部が他国の食文化の恩恵を受けながら磨かれましたり、
時にはそれぞれの良いとこ取りをして成り立っているにもかかわらず、
海外で、何故かかたくなにAuthenticであることに執着する同邦と出会う事がございます。
食文化は伝統に裏打ちされているべきであり、その伝統は日本人の手で継承されるべき。
まあ、正しいです。正しいですが、私は全く違う考えを持っています。
複雑なカリフォルニアの日本食事情の中に在って、
自分をどう分類するべきか苦悩しているであろう料理の一つが『巻物』。
お寿司屋さんで頂く、のり巻きです。
皆様もご存知の通り、カリフォルニアにはカリフォルニアロールを筆頭に、
この地で生まれた巻物が沢山ございます。もうその辺のスーパーマーケットでも買えます。
さて、このバラエティー溢れる巻物達が日本食では無いと主張する事は、
日本食文化を守るという上で大切なんでしょうか?
酢飯を広げ、具材を乗せ、海苔で巻く。
このすばらしいアイディアを創造した先人を誇りに思いつつ、
具材的には世界に広く門戸を開いた場合、日本の食文化は滅びるんでしょうか?
カリフォルニアの料理人の皆様。どうか皆様が工夫に工夫を重ねた巻物達を、
堂々と『カリフォルニア料理』に分類して上げて下さいませ。
カリフォルニアの巻物の一つに、スパイシーツナロールというのがございます。
マグロのブツをマヨネーズベースのスパイシーなソースで和えたのり巻きです。
美味しいですよ。 私は大好きです。
これは勝手な想像ですが、このスパイシーツナのルーツは、
ハワイのマグロ料理、ポキだったりするんでしょうか?ポキも美味しゅうございますね。
カリフォルニアのマグロは、ハワイ産の物が多いのですが、素晴らしいです。
時として赤身は特に、日本のお寿司屋さんで頂く物より美味しかったりします。
でもね、そう言うマグロがいつでもどこでも手に入る訳ではないです。
生食に耐え得るクオリティーではあっても、B級品の生魚はどうしても生臭い。
スパイシーツナロールは、そのような生魚流通事情を背景に、
アメリカの日本食レストランの板場から生まれた、工夫料理かと思います。
手に入る食材を、既成の概念に捕われずに美味しく食べさせる。
私はそのような工夫をなさる料理人の皆様を心から尊敬致します。
勿論、彼らの国籍など関係無いのでございます。
マグロの赤身。
私にとってはクオリティーの如何に関わらず、直ぐ手に入る物では有りません。
ですので私はツナはツナでも、ツナ缶を使ってスパイシーツナを作ります。
作ると申しましても、3分で出来ます。
ツナ缶の水気を切って、マヨネーズ、豆板醤、ごま油、白ごまを入れて混ぜるだけ。
こちらで使われるのは厳密には豆板醤ではないのですが、豆板醤で十分代用出来ます。
お好みで、刻んだ青ネギを加えて頂いてもよろしいです。
これは、本当に便利なんです。
例えばキュウリやセロリをスティック状に切った物に添える。
私のスパイシーツナは、ディッピングソースのようにトロリとしたものではないので、
スプーンなどで、お野菜の上に好きなだけ乗せて頂きます。
<スパイシーツナサラダ>
ツナサラダと言えばサラダの定番ですが、
このようにエスニックな味付けのツナも、目先が変わってよろしいかと。
全体にツナを和えてしまうのではなく、ポン酢とごま油で和えたお野菜にトッピング。
このサラダには、コーンの甘みがアクセントとなりますので、私はよく使います。
<スパイシーツナおにぎり>
これはスパイシーツナの使い方で、私が最も好きなものです。
炊きたて御飯のおにぎりって、何故にあれほど美味しいのでしょうか?
応用編として、手巻き寿司の具材としてもお使い頂けます。
その他には、<スパイシーツナトースト>
食パンにスパイシーツナとピザ用チーズを乗せてトーストします。
それから<スパイシーツナパスタ>
オリーブオイル、ニンニク、お醤油で炒めた和風パスタに、
さらしタマネギと共にトッピングすると美味しいですよ!
仕上げに刻み海苔をたっぷり盛ります。
元々が、シンプルな一品なので、いくらでもアイディアは出て来ます。
一杯飲みに、我が家のバーをふらりと尋ねてくれる酒客にも評判が良いので、
パントリーには常にツナ缶が常備されています。
こういった一瞬芸の様な一品のレパートリーは、沢山持っていると安心です。
ゲストの人数が急に増えたり、途中でテーブルが寂しくなってしまったり、
そのような時、ニッコリ笑ってササッと一品。そんなヒトでありたい私です。
では