昔々、高校の部室でこれから始まる夜の為に、リーゼントを作る友達を眺めていた事が有る。
気が散るから出て行けと言われても、おかまいなく見ていた。
むせ返るポマードの香りの中で、リーゼントはもう一人の彼になる為の戦闘服なんだと思った。
Saturday Night Fever - Night Fever (Bee Gees)
古いフィルム。懐かしいな。(見よ!このストレッチシャツ&パンツ。最強だ)
単調な一日の仕事を終えた彼は、鏡の中でもう一人の自分になって行く。
彼にとってもリーゼントは戦闘服なんだ。
人が何かに打ち込む時、それが一生懸命であれば有る程、
その姿が他人の目には滑稽に映ったりもする。
だけど私はその滑稽を美しいと思い、愛おしく感じる。
かく言う私自身もとにかく夢中になると他の事がどうでもよくなる。
クラブで夜明かしをして、そのまま仕事先に向かうような日々を過ごしたり、
その次はボードを抱えては海で週末を過ごし、
月曜日に砂を払いながら出社していた頃もある。
最後は釣りだった。湖畔の駐車場で仮眠を取って、
明け方にロットを振り回した後、車を飛ばして都心に戻った。
その時々の自分は今思えば滑稽だ。
まるで明日世界が終わるかのように必死で遊んでいたな。
そんな日々が今の私の原動力になっている。
これが今の私のリーゼント。
これに着替えると、私は静かに自分の世界に入って行く事が出来る。
ロクロの回転の中から何かが生まれて来る。
私はいつまでも心の中にリーゼントを持ち続けたいと思う。
あなたの心のリーゼントは何ですか?
追伸:それにしても、この曲を聴くと歩き方が変わってしまうのはなぜ?