もんく [とある南端港街の住人になった人]

犬を轢く気まんまん

夜、工場からサンバル君で走り出すと道に何匹もの犬がたむろしている。

道は暗い上に犬はくつろいでいて道に座ったまま動かない。何度も弾きそうになるが犬は慣れているらしく最小限のエコロジーな動きで身をかわす。

いつでもそんな事が犬にできるだろうか、犬で無いので確信は持てない。実際に道で轢かれて肉片になった犬も多い。よく見る。その犬は何日かすると轢かれすぎてチリジリの細かい繊維になって空気の中に消えていく。それは全く仕方ないもので、あれだけ犬がいればそのうちの1匹や2匹、とは言わずきっと仔犬が毎日生まれてくるぶんだけ死んでいくのがいるのだから。


ともあれ、もし自分が犬に当たりそうになった時、やっぱり轢くつもりなのである。なぜなら避けようとしてこっちがコケて犬が逃げる位なら犬を轢くべきなのだ。それに一生に一度は犬を轢いてみても良いだろうし。

などと思っていつもの暗い道を走っていると真っ黒な塊が道の上に浮かんでいるのが見えてきた。いくらなんでもこれは犬なんかではない。大きすぎるし地面から1mほど浮かんでいるのだ。

それでも急には止まれないので近付いて行ってみると、何と水牛が2頭。ただの牛でなく、鎌のようなツノが水平に黒く光るビー玉の目の横に突き出したあの水牛だ。周囲の少ない光を全て吸い込んでいるように真っ黒ででかい。

今まで普通の牛が放牧されていたのを見たことはあったが、まさか本物の水牛がそこにいるとは想像もしなかった。普通の牛も小さくはないが水牛はその2倍のスケールがある。これは轢けない。見ているだけで怖い。彼らはこの大きな図体を昼のあいだ、どこに隠しているのだろう?
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