もんく [とある南端港街の住人になった人]

「優等生」と「やんちゃ坊主」

現地エージェント会社のエンジニアが、以前来た時とはずいぶん変わった。
もちろん多くが転職してしまった(以前書いた通り、台湾では転職が多い)から顔ぶれが全然違っているのだけれど、それにしても以前いた人たちとは性格やカラーが全く違う。いずれも学校出たての20代前半が多い事だけが共通点だ。


今いる人たちは真面目で上司の言う事をよく聞いて一所懸命仕事するタイプがほとんど。皆、優等生だ。
以前いたのは全くその逆が大半だった。ちゃんと見ていないと仕事しないでサボる。仕事の仕方も器用でなかったり要領が悪かったり。それでいて調子ばかり良い。やんちゃ坊主がそのまま大きくなったようなのばかりだった。


どうしてそうなったのか、最近わかった。
以前にまだ主任(リーダー)だった人が昇進して新人採用の面接をするようになったためだ。
その男が自分の言う事を聞いて真面目に仕事をする人を採用しているらしい。まあ、そう聞けば当たり前の結果だったわけ。

じゃ、以前の採用はどうだったか?
面接していたのは社長の親族と言うだけでそこにいる、見た目にも実際にも、言わばできない男だった。だから採用した人間もやっぱりそれなりだったのだろう。


こんな風に書いてしまうと、今は天国、昔は地獄のようだ。
でも、実は全然そうは思っていない。
かえって昔の方が仕事はし易かったかも知れないなあ、と懐かしく思う。


今の優等生たちは言われた事はちゃんとできる。とても優秀。
でも、ちょっとしたトラブルにアドリブが効かない。すぐ「どうしたら良いですか?」って聞いてくる。

そんな時、こう言う。
「目的を達成するためなら何でもしていいよ。部品が無いなら新しく入った装置から勝手に取ってきて動かしてしまいなさい。後で教えてくれれば調達しとくから。失敗してどこか壊してしまっても、怪我しなきゃOK。直せばいいだけだから。」
でも、いくら言っても聞きに来る。
よっぽど言う事聞くように教育されているんだろう、と想像する。



昔の連中はそうじゃなかった。
よくヘマをやった。仕事も中途半端だった事がかなりあった。つまり彼らは全然スキルも訓練もなっていなかったのだ。

けれど仕事はかなり上手く進んだと思う。それはもうびっくりする位。
彼らは子供っぽかったから褒めるとよくやった。一つ覚えたらそれで得意になってやっていた。ヘマはどこかで取り返せば良いと知ってそんな時でもがんばった。それに早く仕事終わらせて帰ろうと思ったから一所懸命にもなった。リズムに乗るとこちらの気づかない事までカバーしてやってくれた。


そんなこんなで、普通なら日本から装置とともに派遣されてくる人がほとんど来なくて、しかも台数が多い現場をちゃんと乗り切った。今から思い返しても本当に奇跡のようだ。

今後あんな機会に遭遇する事が再びあるんだろうか?
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