もんく [とある港街の住人]

ミュージカル「ライオンキング」 -責任を果すこと

初めて劇団四季のミュージカルを見た。

結論から言えば、この(元)脚本をちゃんと理解して作ってるんだろうか?と疑いたくなる内容だった。つまり前評判ほど良いようには思えないと言う事。

主人公は親を自分の軽率な行動から死なせてしまう。
その事で自らの責任能力を疑い、結局なるようになるさと楽な生活に入っていく。
だがある事がきっかけでそれでは良くないと思い返す。
自らの責任を果すべきであると。

しかしこのお話の中では悪役が退治される事により主人公が引き受けるべき罪と責任の重さは軽減されてしまい、勧善懲悪的な結末とも取れる結末になってしまう。
それでは怪獣映画と同じだ。


しかし、お話の中にはもっと重要な台詞が多く含まれている。
「僕たち(ライオン)は草食獣を食べるんでしょう?」
自然のシステムの中で肉食獣が草食獣を食べ、肉食獣が死ねば土になって草が養われ、それをまた草食獣が食べることによってバランスが保たれている。
そのシステムの頂点に立つものの責任に言及している台詞は多くある。

これは人としての責任に関する比喩と取っても良いと思う。自分の社会や自然のサイクルの中での役割をきちんと果す事が自らの責任であると。


残念ながらこの舞台では、そんな台詞の重要さが悪を退治する事で弱められてしまっている気がしてならない。(父の死の真相が明らかにならずに終わってしまっても主人公は同じように行動できたのだろうか?)

舞台装置もよくできているし、音楽も、衣装も良い。でもよく纏まり過ぎていて考えさせられるべき部分が隠蔽されてしまっているように感じてしまう。搾り出されるほどの主張が綺麗にまとめられて見えにくくなってしまっている。ライブ感も乏しい気がしてならない。奈落から響く生演奏が録音でも同じじゃないかと思えたりもしてしまう。

これに1万円以上払うのはどうなんだろうと思った。



追加
先日香港ディズニーランドでライオンキングを見たが、こちらは全然別物。音楽と踊りの美しさだけで良いなら香港ディズニーのショート版の方をお勧めしたい。
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