旅日記:「新疆ウイグル自治区を行く」 ⑬砂漠の用足し――広々と心忙(せわ)しき野糞かな♪ その2 「塩カン地」
写真㊤:画像のあるURL http://www.aurora-net.or.jp/doshin/silkroad/kikou/no8/
★注:「旅程表&新疆ウイグル自治区・地図」
参照→「旅日記:「新疆ウイグル自治区を行く」 ⑫砂漠の用 足し――広々と心忙(せわ)しき野糞かな♪」
「塩カン地」とは、「ゴビ灘(タン)」のうちミネラルとくにアルカリと塩を大量に土壌中に含んでいる土地のことである。真っ白な塩が地表に吹き出しているから、誰でも一目見て「塩カン地」と判る。中国人ガイドの胡さんは子供の頃「塩カン地」にある「塩湖」から塩水を自宅へ持って帰り、沸騰させてアルカリを除き使ったそうである。親の手伝いをしたわけだ。
「塩カン地」には作物は一切できない。大改良工事を施せば可能になるが、果たしてコストに見合うかどうか甚だ疑問である。
元来、砂漠の緑地化が困難なのは、砂漠に下手に水をやると「塩カン地」になってしまうからだ。水は一旦地中に吸収されるが、高温と乾燥のため直ぐに気化蒸発し、その際地中のアルカリや塩を一緒に地表まで引っ張り出してしまうらしい。
科学的な厳密さに欠けるかも知れないが、大方そういうことらしい。悲しいかな、緑地を砂漠化から守るという消極的な方法しかないのが現状らしい。
我々の行く手には膨大な「塩カン地」が、何カ所も広がっていた。もうひとつ、えらく困ったことが「塩カン地」には存在する。
それは、どれだけ道路を整備しても春先になると、道路のアスファルトが凸凹の状態になってしまうのだ。
タクラマカン沙漠は冬は寒く零下の日々が続く。当然のこと地中の水分も凍結するが、春になり暖かくなると水分は溶け出して地表に出る。その際、猛烈な勢いで地中のミネラル分を地表に放出するため、アスファルトが持ち上げられるという減少である。
そのため、「塩カン地」の道路を車で通過するときは、ものを言うと舌を噛むこと間違いない。
先程、トイレ休憩と言ったが、砂漠ではトイレなどない。木の陰か砂丘の陰で、大も小もやるしかない。そんなことは出来ないという向きは、糞尿詰まりになる覚悟が必要である。このような土地へは出掛けないことだ。
だだっぴろい砂漠でやると、実に気持ちが良い。♪♯広々と~、心忙しき野糞かなあ~♭♪ 跡は直ぐ消えるね! 高温と乾燥のため。
砂漠を十時間を越えて走る日もあったが、全然退屈しなかったし飽きることもなかった。ホント面白かった。
前にも言ったが、砂漠の真ん中で道路に新聞紙を敷いて、切って食べる瓜や西瓜の味は、何物にもたとえようがない。絶品である。現地の民は、日常的にこのような食べ方をしている。まことに豪儀なものだ。
いや、今や日本人が、それだけ貧しい食生活しかしていないということかも知れない。生活文化を見失った罰が回ってきたというしかない。
冷蔵庫もクーラーも文明の利器と呼ばれるものは、庶民には凡そ縁がない世界で、あんなに活き活きと生活出来るのだ。
05.10.17
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