粗忽・アラカルト
落語には「粗忽」を扱ったものが多い。というわけでもあるまいが、噺家には粗忽の失敗談が多いようだ。
自宅の庭木に登って枝の剪定をしているうちに、自分がのっかっている枝を切り落として、地面に墜落したとか……
夕餉のオカズにする魚の干物を買うついでに、途中で葉書を投函しようと出かけた。
干物を買って帰りに、郵便ポストに何を思ったか干物を投函してしまった。だが後の祭り。慌てて逃げ出したそうだが、なにも逃げることはない。
で、うちへ逃げ帰ってきてから、葉書を焼いて喰ったという・・・
筆者も、随分粗忽だ。先日、硬いセンベイを食べていた。
旨かったので、センベイを指で摘んで口へ入れながら、力強く噛みつつドンドン喰っていた。そのうちに、指を口から抜くのを忘れて、思い切り噛んでしまった。当然、怪我をした。粗忽故の災難だった。
筆者の仲間にも、粗忽では引けを取らない人びとがいる。
A氏などは、眼鏡を掛けたまま、目薬を差したとか、マスクをしたまま痰を吐いたとかの噂が絶えない。
こんなのは未だ序の口で、B氏は愛人宅からの朝帰りに、コンドームを装着したままご帰還になったとか。
C氏はもっと救いがたい。トイレで、ズボンを脱いだだけで、“大ちゃん”をやってしまったのだ。
パンツの後日譚は聞いていない。