
おれおれ警官
某先輩が、例によって都内の某所を逍遙していた。ご本人によれば、断じて「徘徊」ではないそうだ。

とある交差点の信号を「青の点滅」で渡り終わったところに巡査が待ちかまえていた。「おじさん、おじさん、点滅で渡ると危ないよ」と云った。

この「おじさん」なる不用意な発言に、某先輩はカチンときた。
「おめえなんぞに、おじさん呼ばわりされる謂(い)われはねえ」というので、抵抗の姿勢を示した。
これがイケナカッタ。住所、氏名、電話番号、挙げ句の果ては家族構成などなど・・・訊かれて、某先輩の神経はカンスケの極点に達した。
おまけにお巡りは、無神経にも無造作に、粗末なザラ紙に聴取事項を乱雑に書き付けている。このお巡りの鈍感で非礼な態度は、繊細な某先輩を打ちのめすのに充分だった。
ようやく解放された先輩は、数歩歩いてハッと我に返った。今のは“おれおれ警官”ではなかったのか?! 個人情報を盗みとられた?!・・・時既に遅く、お巡りの姿は影も形もなかった。
某先輩が、“偽警官疑惑”で二日間悶々と悩んだ次の日の夕刻、若くて綺麗でチャーミングな女性が、某先輩宅の玄関に現れた。

彼女は「警察手帳」を示して、前述の“おれおれ警官”が聴取した事実を確認し始めた。本署交通課の警官なのだ。交番からの報告を確認するため、現れたのだった。

カワイコチャンに極度に弱い某先輩は、「美人」というだけで一瞬の間に舞い上がった。そして我を忘れた。
年甲斐もなく、30分間も若き美人にクダクダ文句を言い続けた。辛抱強く聞いていた彼女は、某先輩宅を辞去する際に、ニッコリとしてひとこと宣うた。
「これでようやく溜飲が下がったでショ?」…
平成17年5月4日 YBB
某先輩が、例によって都内の某所を逍遙していた。ご本人によれば、断じて「徘徊」ではないそうだ。

とある交差点の信号を「青の点滅」で渡り終わったところに巡査が待ちかまえていた。「おじさん、おじさん、点滅で渡ると危ないよ」と云った。

この「おじさん」なる不用意な発言に、某先輩はカチンときた。
「おめえなんぞに、おじさん呼ばわりされる謂(い)われはねえ」というので、抵抗の姿勢を示した。
これがイケナカッタ。住所、氏名、電話番号、挙げ句の果ては家族構成などなど・・・訊かれて、某先輩の神経はカンスケの極点に達した。
おまけにお巡りは、無神経にも無造作に、粗末なザラ紙に聴取事項を乱雑に書き付けている。このお巡りの鈍感で非礼な態度は、繊細な某先輩を打ちのめすのに充分だった。
ようやく解放された先輩は、数歩歩いてハッと我に返った。今のは“おれおれ警官”ではなかったのか?! 個人情報を盗みとられた?!・・・時既に遅く、お巡りの姿は影も形もなかった。
某先輩が、“偽警官疑惑”で二日間悶々と悩んだ次の日の夕刻、若くて綺麗でチャーミングな女性が、某先輩宅の玄関に現れた。

彼女は「警察手帳」を示して、前述の“おれおれ警官”が聴取した事実を確認し始めた。本署交通課の警官なのだ。交番からの報告を確認するため、現れたのだった。

カワイコチャンに極度に弱い某先輩は、「美人」というだけで一瞬の間に舞い上がった。そして我を忘れた。
年甲斐もなく、30分間も若き美人にクダクダ文句を言い続けた。辛抱強く聞いていた彼女は、某先輩宅を辞去する際に、ニッコリとしてひとこと宣うた。
「これでようやく溜飲が下がったでショ?」…
平成17年5月4日 YBB