そのひとのためなら、自分を犠牲にしてもかまわない
そのひとのためなら、どんな嘘でもつける
そのひとのためなら、なんでもできる
そのひとのためなら、人殺しにもなれる
あのとき、大切なひとのことだけ考えた
大切なひとが、いちばん傷つかない方法を考えた
後悔なんかしていない
どんなことだってやる
起こったことのすべてを
わたしは
受け入れる
書店の入口で大量に平積みされていた「Nのために」
読んでみようと決心させたのは
「告白」を思い出したからに違いない
余計なことをつけ足してしまうが
カバーのないまっ白なハードカバーの本が出現して
二度と触れることのできないものに触れることができるような
錯覚を起こしたのだろう
このひとの作品は読まないルールにしていたのに
逆に働いてしまったようだ