昔から“住めば都”と言われますが、筆者は東京都の「多摩ニュータウン」に住んで約30年になります。
◆ニュータウンの予備知識
さて、国土交通省が2018年(平成30年)度に作成した「全国のニュータウンリスト」によると、戦後の高度経済成長時代における人口の増加と都市部への人口集中を受けて、都市郊外の田畑や山林、埋立地等で住宅確保と公共施設の整備を目的として、区画整理や新規宅地開発が活発に行われました。こうした地域は「ニュータウン」と称され、計画人口数千人程度から10万人を超えるものまで大小合わせて全国47都道府県に2,022地区もあります。その総面積は18.9万㌶で大阪府の面積(19.0万㌶)に匹敵し、全国の住居系用途地域の面積の15.1%にもなっています。
その中で、計画人口が10万人を超えるビッグプロジェクトは4つあり、事業開始年順に、1960(昭和35)年の大阪府の千里ニュータウン、1965(昭和40)年の大阪府の泉北ニュータウン、1966年(昭和41年)開始の東京都の多摩ニュータウン、1974(昭和49)年開始の神奈川県の港北ニュータウンです。
高度経済成長時代において、人口の多い団塊の世代(1947~49年/昭和22~24年生まれ、現在76~74歳)が結婚し、団塊ジュニア世代(1971~74年/昭和46~49年生まれ、現在52~49歳)を育てるために、日本には数多くの「ニュータウン」が必要だったと言えます。特に地方出身者が集中した首都圏や関西圏ではそれが顕著でした。
しかしながら、「ニュータウン」は1990年代のバブル崩壊以降、失われた30年ともいわれる経済低成長の下で、建物・施設の老朽化が進むとともに、子供たちが成長し団地を離れ、出生率の低下・少子高齢化・人口減少の時代を迎えて、「オールドタウン」化の問題に直面しています。
◆住めば都の多摩ニュータウン
オールドタウンの典型と揶揄される「多摩ニュータウン」ですが、昔も今も、子育て世代にもシニア世代にも住みやすい自然環境に恵まれた街です。鉄道や道路等の交通機関も利便です。
日本は国土面積の67%が森林という世界有数の森林大国です。自然環境の観点から、緑に囲まれた美しい景観とそこに生息する豊かな生物多様性を持つ国です。多摩丘陵地帯を開発した多摩ニュータウンは、立ち並ぶコンクリートの団地群がイメージされますが、実は日本らしい森や林、公園等の緑豊かな自然環境に恵まれ、それらが市やボランティア住民らによって年間を通じて良く管理されている、まさに住めば都の街です。
①公園案内図。
◆八王子長池公園
一例として、2023年10月に大きな団地群が隣接する八王子長池公園(写真①~⑩)を散策してきました。雑木林や芝生広場、池や小川、管理施設等があり、整備された散歩道を歩いて四季折々に里山の自然環境が楽しめます。最寄駅は京王相模原線南大沢で徒歩20分の距離です。ニュータウン内の少し遠い方でもバスやマイカーで10分~20分程度で来られます。自然保全型公園として天然の自然を活かしながら計画・開発され、現在は市から委託され、地域住民や近隣企業等が会員となっている「NPOフュージョン長池」が環境保全の活動を行っています。
②長池公園入口。
③天然の雑木林。
④草花も咲く。
⑤キノコもあり。
⑥栗やドングリ。
⑦池に鳥,魚,亀。
⑧看板も親切。
⑨公園内の見どころ案内。
⑩環境保全です。
以上
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