チビのおしゃべり日記

お星さまになったチビへ
どんぐり母ちゃんが語りかけます。
ねえ、チビ・・・聞こえる?

親ガラスが、ヒナ達に命じた最後の行動とは・・・

2016年05月06日 | 日記
これまで、カラスをテーマにいくつかの記事を投稿させて頂きましたが、
今まで、書こうと思っても中々踏み出せない一つの出来事が有ります。

もう、ずいぶんと昔の事ですが、いまだかつて忘れられない衝撃的な映像です。

この事については、記事にするかどうか随分迷いましたが、
野鳥達がヒナを育てる今の時期ゆえに、知って頂きたいと思い書く事を決めました。

今回の記事は、20年前にテレビに写し出された映像です。
画像は有りませんがご容赦頂ければと思います。

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 【20年前のTVの映像】

その日、わたくしは何気なくTVのスイッチを入れ、画面に映し出された一本の街路樹を
ボーっと見ておりました。

と、その時、甲高い声と共に一羽のカラスが画面に映し出されました。

途中から見た映像なので最初は何が起こったのか分かりませんでしたが、
徐々に画面が上の方を映し出した瞬間!

黒いゴミ袋を持った軍手が画面に現れました。

今、まさに何が行われようとしてるのか、その時、初めて全てを理解しました。

街路樹の上にはカラスの巣があり、その中には3羽のヒナがいました。
まだ、羽も十分に生えていません。ヒナ達はブルブル震えながら目もうつろです。

親鳥は、作業員たちに盛んに攻撃を加えようと、必死に羽をばたつかせて、
向かっていきますが、なす術もありません。相手はヘルメットをかぶってます。

そして、ヒナ達の頭上に、軍手をはめた長い腕が伸びた瞬間!

それまで必死になってヒナをかばっていた親鳥が、
今までに聞いた事が無いような悲鳴に似た絶叫を上げたのです。

と、同時にヒナの首が、ガクッ!と、折れました。
そして目もシッカリ閉じています。

作業員たちは、まだヒナに手をかけてはいません・・・なのに・・・なぜ・・・。
しかし、それは直ぐに分かりました。

もう、これ以上無理と思った親鳥は、最後の賭けにでたのです。

ヒナに命じた一声は『死んだふりをしなさいッ!!』多分そんな意味だった思います。
現にヒナ達は、ピクッ!とも動きませんでした。

そして、もう一つ衝撃だったのは、首を真横にガックリと折った事です。
人間でも怖い時は顔を覆い隠すと思いますが、
ヒナ達は、完全に死んだと見せかけるように、シッカリ目を閉じたまま
作業員の方に顏を向けたのです。

でも、鼓動の動きまでは隠しきれません。
激しく波打つように、3羽のヒナの小さな胸が大きくブルブル震えていました。

こんなに小さな体で、こんなに小さな頭で、ここまで考えて行動が出来るのでしょうか。
しかも鳴き声一つ上げず・・・。

そして、作業員の一人が、ぽつ・・・とつぶやきました。
『死んだふりしてる・・・』

最後は親鳥もヒナ達に全てを任せ離れてしまいました。

これは、わたくし個人の勝手な解釈かも知れませんが、
人間の親なら最後まで盾になり、身を挺しても子供を守ります。

でも、野性の生き物は、子孫を残そうとする本能があります。

万が一自分の身にも危険があれば子孫を残す事も出来ません。

最後は離れた場所で、事の始終を見てるほかなかったのでしょう。
あの時の親鳥の叫び声が今でも耳に残ってます。


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わたくしは、これ以上、映像を見る事が出来ず画面のスイッチを切りました。

保護の観点からも、生きてるヒナ達を始末する事は禁じられてますので、
どこか人目の付かない場所へ移す計画だったと思います。

でも、カラスたちには、そのような事は理解出来ませんから、
これが最後の賭けと、覚悟を決めて行動に出たのでしょう。

そして撤去作業を行った、作業員の方も仕事ゆえの辛い作業になったと思います。

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これから夏にかけて、多くの野鳥のヒナと共にカラスのヒナも誕生します。

カラスの巣に関しては色々ご批判もあると思いますが、
ヒナが巣立つまで優しく見守って頂ければとても嬉しいです。