くたびれた本革張りのソファの張替えです。
写真は低いソファの様ですが、これは重厚な木枠にハマっていた物を外したものです。
シンコールとサンゲツの椅子生地サンプル帳を預けて、ゆっくり交換生地を選んでいただきました。
選定されたのは、シンコールのエーデルスムースのエンジ色のポリウレタン樹脂レザーです。
日本技術の一級品、海外品と戦う旗手、と
サンプル帳にも記されています
抗菌とか、難燃とか、手入れのしやすさとか機能も良いのですが、大手家具メーカーも
採用しているように質感、耐久性も良く、私的には折れシワも本革に近い風合いが魅力だと
思います。
今回の大判の本革の様に綿をかさねて、優しい弛みシワの風合いを出すには
とても向いている表皮だと思います。
このレザーを化繊綿と不織布を3層に各パーツを製作していきます。
今回は、特に指示が無いので元イメージを残して型どりをします。
本革のソファーは経年使用でオーナーさんの生活スタイルのクセが付いていたり
革素材が延びて、縫製が雑でも合ってしまう事もあって、裁断型もルーズで????って感じです
3人掛けなど、目視では、はがす前では中央が左右より狭いのはあきらかでした
しかし、カバーとは裏腹に、ウレタンの張り合わせ継ぎ目を見ると、3列均等です
ここは、私の判断で「基本は元形状で」ときめて、ヘタって微妙なウレタンの継ぎ目を
計測して型紙を作成していきます。
設計者の意図、製作現場の様子を想像しながら、元シルエットを目指しました
冒頭に書いたエーデルスムースの素材の良さに助けられてなんとか形になったかと思います。
このソファの特徴のキルティングを兼ねたステッチについて、
おまけで専門的な話を内緒で書きます。
これは現品を忠実に再現しました。
起伏感を出すために、伸びない不織布を3層の下面に使っています。
パターンは、元パーツをスキャンしてイラストレーターで再現して、
レーザーカッターで型紙化して裁断&マーキングして手で追って縫います。
そして、2列のステッチは2本針ミシンで縫っています。
私の所では7台の2本針ミシンがあります。 工場ですので量産品で常用している
ミシンと出番待ちのミシン、そして今回の様に単発の特殊依頼対応用のミシンがあります。
簡単に2本針ミシンと言っても、その2本の間隔は色々です。
確かドイツのアドラー製はミリ単位だったかもしれませんが、基本的に針幅は
インチで区分されています。
自動車シートではセンターの縫い合わせから両脇へ約5㎜外の3/8インチを10mm間隔として
使っています。
各種の飾りステッチ、マジックテープを同時で縫う工数減などで針幅を変えることができます。
これには5点の専用組部品を同時に交換することになります。
今回はこのソファーのために、1/2インチ(12.7mm)幅のステッチを入れる為だけに
部品交換&調整しました。
使用糸は、エースクラウン、フィラメント糸、太さ5番です。
色も、手持ち在庫で、まかなうことができました。
長くやってると、部品も資材も積もっているものです(苦笑)
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