洋服を縫わない縫製工房

ミシンを使って、洋服以外で、できることは何でも挑戦!
薄物から、厚物、金属?関わったものを紹介します。

1972年式 ポルシェ911の張替え(50年前のクルマ)

2022年02月01日 | ものづくり

独特のエグゾーストノートを響かせてやってきました

元スバリストの憧れ、空冷水平対向エンジンのポルシェがやってきました

ポルシェ ナロー911Sです。

依頼は硬化して破れたシートの張替えです。

聞いたところ、オプション設定のレカロらしい。

オリジナルをできるだけ維持した形で復元して欲しいとの事です。

レザー、白黒の千鳥生地をサンプル帳から確認していただき、調達します。

パイピングの太さの承認、劣化した樹脂部品がはがし作業で破損した場合の承認など

色々と話をさせていただきました。

今どきのカバーと異なり、レカロなどで見かける、メイン部分が分割のシートです。

写真では判りませんが劣化した塩ビレザーがバリバリ&ツルツルです

まず、クッションです。鋼線のワイヤーでなく、ソファーなどで使われるウェービングテープで

メインパットを受けています。当然、ゴムはよれて伸びていますが、反面、ウレタンは

ダメージが少なく保たれています。

まず、ウェービングテープを新しいものに交換します。

そして、破れた箇所の抜けたウレタンの補修を行いました。

この後、カバーの型どり&縫製からカバーリングをして、気になる事態が発生しました。

コーナー部分とメイン部分が分割して組付ける為、こすれ音が発生します

今の静粛性の優れた車両だと完璧アウトだと思い、オーナーさんに来ていただき

説明して了解をいただきました

そして、フロントバックです。 ヘッドレストのステイ穴部のプラスティック部品を

破損しなくて抜けるか? カバーを製作するより、分解する作業の方が工数的には

かかったかもしれません

ヒンジを止めている、なめて外れないネジ・・・・

復元を意識しながらの分解なので無理はできません。最後の一本のネジの空転・・・

なめているのでなく、フレームの受けナットの溶接はがれでした

ヒンジを残したまま、飛び火に最大限の注意を払い、カバーを剥がし、ウレタンも剥がし、

苦戦してはずしたナットを元の位置に溶接復元しました

今では、樹脂ファスナーと呼ぶオスとメス形の樹脂フレートを嚙み合わせて

閉じ込む部分を、写真の様に角パイプにプラ板を巻いてステープルで打ち付けて閉じてあります。

問題は、そのプラ板の厚さです。私の所でバイクシートで使っている6㎜ステープル針でも

浮いてしまいます

そこで、6㎜の合板をレーザーカットしてピアスネジで肉盛りしました。

これで、しっかりステープル打ちで張りこむことができます。

ヘッドレストはダメージは少なく、違和感の少ないレザーで製作したので

旧品のままです。

このシート、フロントバックは前方へ倒れません

シート後部のロックをはずしてシートごと起こす方式なんです(笑)

今日の午後、引き渡し、装着して早速、工場に来てくれました

せっかくなので、座って、まじまじと見てしまいました(ウキウキ

パワステで無しの細い革巻きハンドル(タイヤは195・65の扁平率)

クラッチは重く、すごい跳ね返り(驚)

そして、一番気になるRRのエンジンルーム

スバルとはちょっと違うけど、安定した水平対向の音

このドア後ろになる開口部、なんとオイル注入口

燃料口は左ボンネット脇にありました(笑)

なかなか、レアなシートを勉強させていただき、ありがとうございました


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