独特のエグゾーストノートを響かせてやってきました
元スバリストの憧れ、空冷水平対向エンジンのポルシェがやってきました
ポルシェ ナロー911Sです。
依頼は硬化して破れたシートの張替えです。
聞いたところ、オプション設定のレカロらしい。
オリジナルをできるだけ維持した形で復元して欲しいとの事です。
レザー、白黒の千鳥生地をサンプル帳から確認していただき、調達します。
パイピングの太さの承認、劣化した樹脂部品がはがし作業で破損した場合の承認など
色々と話をさせていただきました。
今どきのカバーと異なり、レカロなどで見かける、メイン部分が分割のシートです。
写真では判りませんが劣化した塩ビレザーがバリバリ&ツルツルです
まず、クッションです。鋼線のワイヤーでなく、ソファーなどで使われるウェービングテープで
メインパットを受けています。当然、ゴムはよれて伸びていますが、反面、ウレタンは
ダメージが少なく保たれています。
まず、ウェービングテープを新しいものに交換します。
そして、破れた箇所の抜けたウレタンの補修を行いました。
この後、カバーの型どり&縫製からカバーリングをして、気になる事態が発生しました。
コーナー部分とメイン部分が分割して組付ける為、こすれ音が発生します
今の静粛性の優れた車両だと完璧アウトだと思い、オーナーさんに来ていただき
説明して了解をいただきました
そして、フロントバックです。 ヘッドレストのステイ穴部のプラスティック部品を
破損しなくて抜けるか? カバーを製作するより、分解する作業の方が工数的には
かかったかもしれません
ヒンジを止めている、なめて外れないネジ・・・・
復元を意識しながらの分解なので無理はできません。最後の一本のネジの空転・・・
なめているのでなく、フレームの受けナットの溶接はがれでした
ヒンジを残したまま、飛び火に最大限の注意を払い、カバーを剥がし、ウレタンも剥がし、
苦戦してはずしたナットを元の位置に溶接復元しました
今では、樹脂ファスナーと呼ぶオスとメス形の樹脂フレートを嚙み合わせて
閉じ込む部分を、写真の様に角パイプにプラ板を巻いてステープルで打ち付けて閉じてあります。
問題は、そのプラ板の厚さです。私の所でバイクシートで使っている6㎜ステープル針でも
浮いてしまいます
そこで、6㎜の合板をレーザーカットしてピアスネジで肉盛りしました。
これで、しっかりステープル打ちで張りこむことができます。
ヘッドレストはダメージは少なく、違和感の少ないレザーで製作したので
旧品のままです。
このシート、フロントバックは前方へ倒れません
シート後部のロックをはずしてシートごと起こす方式なんです(笑)
今日の午後、引き渡し、装着して早速、工場に来てくれました
せっかくなので、座って、まじまじと見てしまいました(ウキウキ)
パワステで無しの細い革巻きハンドル(タイヤは195・65の扁平率)
クラッチは重く、すごい跳ね返り(驚)
そして、一番気になるRRのエンジンルーム
スバルとはちょっと違うけど、安定した水平対向の音
このドア後ろになる開口部、なんとオイル注入口
燃料口は左ボンネット脇にありました(笑)
なかなか、レアなシートを勉強させていただき、ありがとうございました
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